ジェントルマン

放心していた、一体何分放心していたかはわからないが、ただただ放心していた。


ステータスに浮かぶ【凡人】と言う称号、そしてその効果を見て……凡人と言ったらなんの補正も掛からない程度でいいんじゃないか?


なんでマイナス補正なんかが……


そして後に俺は知ることとなる、いま、この瞬間三つの称号が外で確認されていたことを……


マイナス補正が掛かる凡人、なんの補正も掛からない有志、そして最後にプラス補正が掛かる勇者。


――どうやら俺達凡人は、世界からダンジョンを攻略できる人間とは思われていないようだ。

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11月7日

多くの【凡人】が攻略を諦めていき、少なくない数の探索者が犠牲となった。中型ダンジョン【群馬の森】攻略は全50層ある階層のうち37層まで進んでいる。


ここ一ヶ月とちょっとで変わったことは二つある。


一つ目はダンジョンブレイクの確認、科学者達の推測通りダンジョン攻略を様子見程度に放置していた国の小型ダンジョンが一斉に崩壊。


国は滅び今や魔物が闊歩する魔境となり果て日本を含む複数の国でも管理されていなかった小型ダンジョンが崩壊し、いずれもが探索者の手によって最悪の事態を免れた。


二つ目は凡人の扱い、凡人が居なくなるといずれ人手が枯渇すると判断した協会はレベルが上がりにくい凡人のために適正レベルを無視して上の階層へ進む方法を考えた。


その方法とは有志以上の称号を持つものを試験の監視者、もしくは監督として上がりたい階層の怪物を数十匹狩ること【特別昇層試験】。それでもなお俺達凡人のポテンシャルはあまりにも低い、ある記事の調べによると既に凡人の7割りは諦めるかどこかのパーティーで雑用として働くかになってしまったようだ。


ただ俺は諦められない、認められない。


例えスキルを獲得できる確率が低くても成長が遅くてもこの場所ダンジョンは確実に強くなれる場所なのだから。


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ジョブシステム

初級ジョブと呼ばれるものは探索者がダンジョンに入ったとき持っている武器で決まる、例としては刀剣類を持っていた場合は剣士と言った感じ。

中級、上級果てには最上級職に就くためにはジョブ固有の条件とレベルを達成する必要がある。希に勇者などのユニークジョブが存在するようだが...

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悪いニュースがいっぱいだったが一ついいニュースもあった、着実にレベルを上げていった甲斐があり俺は今7層にまで進出できているのだ。


そう……7層だ


――7層だが?


これでも凡人の方ではなかなかの戦績を上げている方なのだがやはり周りからの評価は良くない、食料を無駄に消費するだけの無能だのいつまで経っても全線に追い付けないゴミだの。


色々言いたいだが事実なのが悔しい...


はてさて7層まで来た俺だがさすがにレベル上昇が遅すぎて泣けてきたので【特別昇層試験】を受けるための監視役を探しに今や某モンスターをハントする集会所のようになっているダンジョンの入り口前へ来た。


やはり見つけるのは難しいか、ガヤガヤと無能が来るなとか言われてるけど意地でも帰るものか、俺は強くなって攻略に参加する、そしてもっと強くなるのだ、諸々理由はあるが色々厄介なことにもなるし……


何度も何度も声をかけた、無視をされることもあるが時々来る威圧スキルがひどい。


威圧スキル持ちか否かは区別が付かないのが本当にもう嫌になってくる。


やがて夜になったが一向に見つからない、こうなるならばダンジョンに潜った方がもっとよかった、そんな後悔が溢れるがこの一日だけでも粘ってやる。


見つからない、22時を過ぎよっぽどの廃人じゃないとダンジョンに入らないような時間になってしまった、ちなみに俺も同じようなものなんだけどそれでも最前線に追い付けないんだぜ?


泣きたくなってきた


そんなこんなで帰ろうと思ったとき、一つ、野太いようで繊細などこか気品を感じる声が響いた。


「君が噂の少年かね?」


声をかけて来たのはまるで執事のような服装に身をを持った青年とも老人とも言いがたい中年と言ったところか...一つ一つの所作が丁寧でまるで本物の執事、それかどっかの国の紳士だとも思えてしまう。


「あなたはいったい?」


そんな疑問を直球に投げ掛けると中年は申し訳なさそうにして名乗り始めた。


「おっとすまない名前を聞くならまずは私から名乗るべきだったね、私はちまたでとは言ってもこのダンジョンで【ジェントルマン】と呼ばれてるただのおっさんだ、ジェントルマンと言うが別に特別ジェントルでもなんでもないですがね」


ハッハッハと笑い自己紹介を終えた中年、否ジェントルマンはその優しげな瞳でこちらを見るが。


驚きを隠せないで硬直してしまった……何しろジェントルマン、彼はこの群馬の森最前線で戦う猛者なのだから。


いつまでも待たせるわけには行かない、正気に戻った俺は改めて自己紹介をする


「す、すみません驚いてしまって俺は田村仁、一応職業は剣士、凡人です」


自分で自分の事を凡人と呼ぶのはなかなか変な感じだがそういう暗黙の了解があるのだから仕方がない。


「あっ敬語じゃなくていいからね」


...まさか凡人相手にもこんな親切にしてくれる人が居るとは...


やばいちょっと待って感動してきた


目尻に涙が浮かぶがとりあえず本題だ。


「それでyouは何しに俺へ?」


おっとあまりにも突然な声掛けと少し早めな深夜テンションによって既視感がある名前が...


そういえば今日録画してたっけな...


あっ....


エヘンッ


それはとにかく本当に不思議だ、普通なら底辺を行く凡人と彼ら最前線の有志、勇者達とは絶対的な壁がある。


まあほぼほぼ彼らが形成してる威圧と言う名の@Tフィールドのせいなんだけどもねッッ!。


「君が試験の為の監視役探してると時いてね」


さっき言った事が見事にスルーされた事は置いといて、彼は手に持っている傘を構えこう言った。


この構えは確か...


とっさに太刀を抜き、流れるがままに構える。




「私に、一泡吹かせてみなさい」


俺の反応を見てジェントルマンは、笑っていた...

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田村仁 レベル 18 『7層パーティー推奨レベル9』

職業 剣士

スキル 無し

称号 【凡人】

攻撃力 29

防御力 20

素早さ 15

魔力 1

精神力 24

精神防御力25

SP 1


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作者は海外在住なんですが今もあの番組やってるんですかね


あれですよあれ


Youは何しに日ry

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