《凡聖》凡人でも剣聖にはなれますか?

暇杉 小次郎

凡人

その日は突然訪れた、突如として世界中で発見され始めた未知の建造物。その造形はシンプルな一軒家、巨木、天高くそびえ立つ塔、果てには空飛ぶ船まで。


中に入ればたちまち怪物が襲いかかりバラエティーに富んだその姿形からと呼ばれるようになる。


数々の国が部隊を送り攻略を試みたが小型のダンジョンは攻略できるものの中型、大型、果てには例の塔のような超大型と呼ばれるダンジョンを攻略するには軍隊と呼ばれるほどの数の軍人、そして数日中に入り尽きないほどの弾薬、そして食料が必要となったのだ。


数ヶ月間はなんとか軍人だけで押さえていたが後に士気も物資も人も足りなくなる。


死人はます一方……そしてなんとしても懸念されるのが迷宮崩壊ダンジョンブレイク


未だに憶測の範囲をでないが間違いなく驚異、そこで九月の国連サミットにて議題とされたのが戦闘経験のある民間人がダンジョンを攻略する権利。


度重なる議論の果てに結成されることとなったのが「World Dungeon Conquer Association」(WDCA)

俗に言うダンジョン協会のようなもの。


そうして来る10月にて探索者の第一陣がダンジョンへと潜る事になる。その中には俺も入っていて理由としてはダンジョンに潜り怪物達を狩り続ければいずれ超常的な力が目覚めるという話を聞いたからだ。


さらに強く、二度と失わないために。


俺は……ダンジョンに潜る。


10月1日


今回俺達が攻略するダンジョンは秘境グンマーに点在する群馬の森、群馬の森全てがダンジョンになっている摩訶不思議なダンジョンだ。


ダンジョンの入り口に張られた巨大なテント群の中心に集まりシンプルな挨拶が始まる。


「此度はお集まり頂き誠にありがとうございます、今回この中型ダンジョン、群馬の森の攻略に参加してもらうC隊D隊の皆様には始めに——」


そんなこんなで長い長い説明が始まった訳なのだが、簡単に要約するとうん十万と来た応募者達はA、B、C、D、E、Fと戦闘力順に分けられABが大型CDが中型EFが小型のダンジョン攻略へと割り振られさらに分けられてとそんなことがありこの群馬の森ダンジョンには現在D級350人C級150人の合計500人の探索者が割り振られているとのこと。


そのあとこのダンジョンに出てくる怪物についてのプレセンテーションが行われたあとドッグタグが配られる。


銀色に簡素なデザインのそのタグに【田村仁】D級とだけ記されたそれはもしもの時、死亡か行方不明かの判断に使われる。

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群馬の森ダンジョン

元々あった群馬の森がダンジョンに覆われてできた中型ダンジョン、グンマーの名を冠するだけあり野生生物のような怪物が主に出現する。

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話しはトントン拍子に進みパーティーを作るときが来た。


C級はC級と共に、D級はD級と共に、徐々に徐々にとグループが作られていく中、俺は


――ただ一人だった。


「ソロで行かれる場合は立ち入れる階層の上限は下がりますがいいでしょうか?」


受付嬢がそう言った


ここで一つ解説を挟もう、一層以上の階層は推奨レベルが存在していて例えば二層ならレベル4複数名で可能など色々制限がある。


ソロの場合は大体パーティーのレベル条件の2倍は必要になってしまうのだ。


受付のそんな質問にはいとだけ返してダンジョンへ入っていった。


中には既に複数のパーティーが入っていて……今のところ怪物と遭遇しているパーティーはないようだ。


利き手に脇差、もう片方には太刀を握り進んでいく。


奥へ奥へと進むうちに周りの植物の造形が奇妙な物へと変わっていった……


これがダンジョン...更に警戒を強め突き進む……そうして気づいたら囲まれていた。


数は気配的に五匹だろうか?群れで行動してることを考えると狼系の怪物、スライドで見たグレイウルフかもしれない。


そんなこんなで考えていると姿を表した。どうやらビンゴのようだ、グレイウルフ五匹共仲良く一緒にお出まし。


ノータイムで一匹が飛びかかりもう一匹が走ってくる。サイドステップで飛びかかってきた方の横腹を脇差で切り片方は太刀を振り頭を叩き切った、もう一匹仲間の屍を飛び越え飛びかかってきたのでまたまたサイドステップからの切り。


——まるで知能が無いな


仲間の死も自分の死をも恐れぬその姿に恐怖を覚えながらも残りの二匹に集中する。


さっきと同じようだ……一匹が飛びかかり片方が突進、あっさり倒せたが単純なルーチン故に武道の心得がないものには驚異であろう。


倒したはずの狼の屍が霧へと変わり霧散していった……これがダンジョン。


不思議なもんだ、あの怪物達が落としていったなにか、と言うのも違和感があるのでプレゼンテーションで使われていたドロップ品と呼んだ方がいいだろう。


見た感じ今回のドロップには三つの種類があるようだ、あの狼の物と思われる毛皮、牙、そして不安定に微弱の光を発する魔咳と呼ばれるもの。


全て袋にしまい少し休もうと抜刀したまま木へともたれ掛かるように立っていたときふと思い出した。


ステータス、と言う物があったはず、これにはさすがの俺も納刀せざるおえない。


わくわく、わくわく


ステータスはロマンなのだ、幸い敵の気配はしないので見てもいいはず――若干興奮気味にこう唱える。


「ステータスオープン」


田村仁 レベル1

職業 剣士

スキル 無し

称号 【凡人】

攻撃力 25 【平均16】

防御力 17 【平均15】

素早さ 12. 【平均10】

魔力 1 【平均6】

精神力 22 【平均15】

精神防御力23 【平均15】

SP 1. 【平均8】


【凡人】

あなたは凡人だ。

転職条件 難

スキル獲得 難

経験値減少

レベルアップ時ステータス上昇極小


——は?


その日、中型、小型ダンジョン攻略キャンプ地からこんな報告が来ていた……小型からは探索者の3/2が、中型からは探索者の3/1のステータスにて称号【凡人】が確認されたと。


それ故に問おう、凡人でも剣聖にはなれますか?

その答えは……


――まだ無い。








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不定期更新になりますがよろしくお願いします_(..)_










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