第35.5話 番外 男の貸し借り

大変な事が起こったわ。あたしたち貧乏駆け出し冒険者にとって、死活問題中の死活問題なの。周りの同じような子たちも、唖然としてる……。


「そんな訳で、悪いがワインは店で今後、1本銅貨10枚だ。…悪いな」


馴染みの卸専門店の店主。ここらでは酒場を通して1番安売りしてくれる、天使のようなおっちゃんが、死刑宣告のように、無慈悲に告げてくれやがったの。


高い。本っ当に高いの。

そりゃ貯金はあるけど、仕事終わりに1本のワインを水で薄めて、せせこましく何人も飲んでる私たちにとって、死活問題が過ぎる、過ぎるわ…。


「そっ、…そんな…!」

「くそぅ…、歪み夜明けめ…!」

「いっそ俺たちも、下界で下働きするか…?」


信じられない。とっても、信じらんない。だってワイン。ワインなんだよ? 1日中、鉄鋤スコップでくら〜い下水道でドブさらいして、汗だらけになった服着替えるの。


服洗って長靴洗って、へとへとになった身体に、火が付きそうなカリー流し込んで、甘露の1杯をキメる。

1日のリセットをする。大事な大事な儀式だよ…?


あっ、隣の子なんて泣き出してる。袖で涙を拭ってあげた。目の下ちょっと汚れちゃったわ。


「そん代わり寺院の炊き出しは、しばらく昼も増やすそうだ。まあ、しばらくの辛抱だ。樽潰れた奴とかあったら回すからよう…、泣くなって…」


おっちゃんは見るに見かねて、今夜だけは以前と同じ値段で、いつも通りの本数を売ってくれた。


やっぱりおっちゃんは天使だったけど、みんな最後の晩餐みたいに暗い。真っ暗闇だ。


空気が重いよぅ…。

そろそろ貯金も貯まって装備の更新を、オレンジガベラの安売りセールに合わせてしようと思ったのに、計画が早くもパーだわ。


あのお店は下界特需で湧いた道具を、整理するために安売りをしているの。今がチャンスってわけなのね。


何匹かネズミ退治してるし、先輩方にもスジが良いって言われて、駆け出しの駆け出し脱却って、昨日息巻いていたあたしはどこ…?


あと一稼ぎ、一稼ぎの辛抱だけど、辛いぃ…!

辛いよぉお…!


「冷やかしに来るなよ、シャベル小娘。安売りしてる以上まけねえぞ」

「親方ぁ……、可愛い後輩がピンチなんですよぅ、御慈悲をぉぉ…!」


ドルフ親方は長靴を修理しながら、うざったそうに文句を口にしている。

長靴はもう、何度も修理してもらってる。


穴が空くたびに詳しくその時の事を聞かれて、すごく丁寧な手つきで修理してくれる。

ちょっとだけ、真剣な顔がカッコイイと思うのは、秘密だ。


その度に店を手伝ったりしてたけど、安売りセールも終盤で、今はそれほど忙しくて無くて、駄賃にもなりゃしない。


ああ、あたしの周りで良質な商品が、どんどん買われていく、今日もオレンジガベラは大繁盛なのに、あたしの懐は寒いまま、よよよよ…。


「ふん。良い冒険者なら、稼げる運も向こうから………、来たか」

「ハイ?」


親方の視線を辿ると何か慌てた様子で、薄汚れた格好の女性が1人、店内に押し入ってきたの。


特徴的な毛の生えた垂れ耳で、小柄な妖精種セウンクルの女性ね。

手先が器用で、工芸師とか鍵屋さんとかが多い人たちだ。


片目に眼帯をつけてるみたい、短い金巻き髪の、一見気合の入った人ね。

でも口から覗く歯は1本抜けてるし、どことなく抜けた雰囲気もある人かしら…?


彼女は店内から外を執拗に伺って、手元には何か箱のような物を持ってる。


ガチャリと、傍らで、音?


びいんと張った弦に、ぐぎぎとしなった弓。

黒光りする弩弓クロスボウ……はぁあ!!?


「ちょ、親方!?」

「がはっ……!!?」


親方は無表情で、警告もなくぶっ放した。

小さな身体をくの字に曲げて、女性は吹っ飛んで、雑多な商品棚に、頭から突っ込んだ。


「ヒィ……人ぉ……!」

「殺しちゃいねえ、おい」

「へい」


声をかけられた店員さんは、ポンっ、という間抜けた音と共に、女性に突き刺さった矢を引き抜いた。


よく見ると矢の先端には、矢尻の代わりに、まあるい吸盤のような物が付けられていて、中央を覗くと、短い針が4本仕込まれてた。


「護身用、暴徒鎮圧用の麻痺毒矢さ。1本銀貨3枚だ、矢尻を外して裏返せば、小さな罠にも使えますぜ」


店員さんは、律儀に商品の説明をしてくれた。

彼はげんなりして黙っている親方に、くたっとした女性を小脇に抱えて連れてきた。


「で、今度はどこに手出した、アイ」

「お、おら、そんな事してねえだよ!今回は無実だい!」

「ほー…、じゃあ、後ろの客は、なぜテメェを殺しそうな顔で見てんだ、ん?」


青筋を立てて店に入ってきたのは、涼やかな目元の、顔全体を丸い魔術刻印を施された。

若い魔術師さんが、かなり剣呑な表情で、彼女を見つめていた。



話を聞くと、誤解ではあったようなのよね…。


若い魔術師さん。ルマンドさんの話によると、家族の葬儀でこの街を訪れて、葬儀が終わったあと、付き合いの深い図書館を訪れたら、強盗が逃げる現場と鉢合わせしたらしい。


強盗は、図書館に善意で寄贈されていた。ルマンドさんの姉同然の人物が、昔恋い焦がれた人から贈られた。

とても大切な耳飾りを盗んで行ったのだと言うの。


乙女の1人としては、ロマンス溢れる話でドキドキするけど、率直に言って犯人は死んでしまえば良い。


ルマンドさんたちは怒り心頭で、犯人を追いかけて、スラム街でアイさんとその犯人らしき人物が、何かを手渡しているのを目撃した。


二手に分かれて逃げられてしまい、強盗はルマンドさんの元教官さんが今追跡してるの。

ルマンドさんのすごい形相に、驚いたアイさんは、思わずこの店まで逃げ込んでしまったらしい。


実際に女性店員さんが身体検査したけど、耳飾りらしき物は何1つなかったわ。

持っていたのは大工道具みたいな、小道具箱だけだったのよね。


「じゃあ、いったい何を手渡されてたんだよ」

「貸してた道具だよぉ!、盗みなんて、おらとっくに足洗っただぁ!」

「本当かよ嘘くせえな、仲間じゃねえのか…?」


「面倒だ、手貸してやれ小娘共。疑いも晴れる」


1度撃ったクロスボウを解体しながら、ぶっきらぼうに親方は言い放った。


「え、あたしも!?」

「冷やかすよか良い。上手くやれば奢るか、値引きしてやる」

「ハイ、ヨロコンデ!」


「さっきの誤解と、これで貸し2つ返済だ、アイ。いいな?」

「あうぅ…、わかっただ」

「いや、俺は…」

「なんだ?」


ギロッと残った目でルマンドさんを睨みながら、親方は弓の張り具合を確かめてる。

怖っ。すっごい迫力。

ルマンドさんはフッ…、とニヒルに笑って見せ、ポケットから銀貨を数枚取り出した。

そのまま親方の目の前に、わざと音を立てて置いて、ただ1言短く告げた。


「傷薬くれ、それで貸し借り無しだ」


すっごい度胸。一部始終を見ていた店員さんは、ヒューっと口笛を吹いて。すごい機嫌良さそうに、傷薬を会計に持っていった。


…、お前、挑んだな?」

「ああ、少し前にね」

「…クッ。なら、終わったら奢ってやる。どうだったか、聞かせな」

「わかった、また後でな」


親方は人を殺しそうな満面の笑みを浮かべながら、むちゃくちゃ機嫌良さそうに私達を送ってくれた。


彼のあんな無邪気な様子は、初めて見たわ。

まるで、古い親友に偶然再会した。老人か子供のようだった。



聞き込みを行って街中を駆け回ると、どうやらルマンドさんの連れである教官さんは、既に当たりをつけていたらしい。


露店街を歩き回っていると、露店の従業員さんが、短い手紙を預かってくれていた。

手紙には強盗が、倉庫街の廃れた建物に居座っているらしいと書かれてる。早速3人で向かった。


アイさん…、アイパッチさんは、おどおどしながら私達の前を歩いてる。

臆病な人みたいで、しきりに周囲を気にしてる。ちょっと可愛そうなくらいに。


「そんなに怯えんでも、とって食いはしないぞ?」

「うぅ……、性分だから、ほっといてくだせえ!」


小さな身体でおどおどビクビク。背中から思いっきり声をかけたくて、ムラッ…としたけど、仮にも依頼中だから自制した。


倉庫街は、均等な大きさの建物が沢山並んで、中からは据えた麦の匂いがするの。

聞き込みをしながら、目的の場所へと進む。

道行く草食竜と、馬に引かれた荷車の列。

それがどんどん減って行って、まったく居なくなる頃。

隠れるようにオンボロな、崩れかけの建物が目についた。


そこに、1人の小さな御老人が、変わった剣を腰に差して佇んでいたの。


「教官」

「うむ、ほほう…」


スラッとした丈の長い、民族衣装の布衣服を着たお爺さんに、ルマンドさんが話しかけた。

変わった剣だなぁ…、真っ直ぐだけど細くて、柄は綺麗な荒縄巻きね。

結構長い剣だけど、体格に合ってない気がする。このお爺さんに振れるんだろうか。


「気になるかのう。お嬢ちゃん」

「あ、すいません。テテニスと申します」

「あ、アイパッチ…」


「申し遅れた。儂は元教官。復帰して冒険者、コッヘイ・キキヤマじゃ、以後お見知り置きを願う。して、捕物の追加かのう?」


「いや、協力してくれるんです。オレンジガベラの店長さんが…」

「ほほう、蛇眼バジリスク殺しの伝か、古馴染みじゃのう」

「バジリスク?」

「渾名じゃ、かつては名の通った、蛇殺し達よ」


なんとなく、大蛇の首をぶっとい腕で、笑いながら締め上げてる親方たちが、頭に浮かんだ。似合う。似合いすぎる…!


「憲兵には連絡済みじゃ、目撃してから外に出た気配もなし。下も探ったが抜け道もない、まぁ素破の類なら、峰でよかろうかの」

「俺は燃やす。同じ輩が湧いても、到底赦せない」


ルマンドさんは暗い瞳で、建物を見つめていた。

なんとなく、人相から思ったのだけど。

普段の彼は、ここまで他人に怒らないんじゃないかと思う。

そんなに大事な耳飾りなんだろうか。

それとも姉みたいな人に、特別な感情があるのだろうか……?


「…じゃろうな」

「こ、殺すのけぇ…!?」

「流れ次第かな。でも、容赦は一切できない」

「な、中は薄暗いだ。隠れる場所も多いだよ。ど、どうすんべ…?」

「気配はわかる。じゃが素早くとっちめるには、目を一瞬でも奪う物が欲しいとこじゃな。ヤケになって耳飾りを壊されても敵わん」


「注目を集めれば、いいんですよね。なら…」




コッヘイお爺さんが見つけてくれた、鳴子を解除しながら薄暗くて、ホコリだらけで。

きったない部屋を、見つからないように進む。

窓も割られて、ゴミだらけだわ。踏んじゃって音を出さないようにしなきゃ。


「テメェなんてとこからとってやがんだ!あぁ!?」


いきなり打撲音と、誰かの媚びた笑い声が聞こえてきた。なんだろ?

崩れた壁から頭を上げて見る。

顔から血を流した人相の悪い男性が、何人かに囲まれて、体格の良い男性に殴られたようだ。


強盗達だ。しめしめ、こっちに気づいてないぞうぅ!


「へ、へへへっ、でも旦那、余程のことがない限り、見つからないとこに隠しやしたぜ」

「大馬鹿野郎! 数年前のノルンの大事件知らねえのか!黒髪のフェアリーつったら、有名人だろうが!」

「旦那ぁ、ただの盗みっしょ、何がそんなマズいんです…?」


こっちの好きで初めて良いってお爺さん言ってたし、アイさんの準備も万全。

ふぅ………。やるぞ。

右足から左足に体重を移動させ、腰をひねるように、シャベルを思いっ切り振りかぶって、


「…新聞、読んでねえのか。いいかよく聞け、あの図書館は、さる大作家、鱗の団盟友の────」


それに、ガッギイン!と、打ち当てた。


「いっっってぇえ!?」


なんてことはないの。

かき集めたゴミと、私が持っていた小さめの石ころを、アイさんに投げ浮かせてもらって、シャベルの平で、思いっ切り打ち出しただけ。


強いて言えば、石は休みに1個1個砕いて、丸く磨いて投石機で使いやすくしたやつなの。

石磨きは駆け出しの通過儀礼の1つで、綺麗にできると気分良いのよね。

マナギさん…、紙切れ教官いわく、仕事の成功の是非は準備が7割。現場は3割ってわけね。


「なんっ…、うおおっ!?」


2回目、全部ハズレ。…っちぇ。狙ってやってるわけじゃないから、やっぱり当たんないや。

当たっても女の細腕だから、威力もないわ。

いや、大人の男性がやっても軽い怪我ぐらいで、派手で嫌がらせにしかならないけど…。


「ふざけやがって!」

「わわっ、わ!」


数人が懐に手を伸ばした……、げぇっ!てっぽー!てっぽーだぁ!?

実物なんて初めて見た! ヤバい殺される!何か、何か………!

以外にも間抜けっぽいパッスン、パカンとかいう音がして、頭上をヒュンヒュン、壁にバスバス音がした。


でもアレが当たれば死ぬ…、らしい。怖っ。

すっごい怖かったので、シャベルの平で適当に瓦礫を掬って、壁越しに投げつけた。

放物線を描いて飛んでく。アレ?、これすっごく良いわね。隠れながらできるのが良いわ。アイさん次………、うずくまってる。無理そうね。


「馬鹿野郎!見え見えの……!」

「左様、囮じゃ」

「ごぁっ…!」


うおっ、なんかすっごい打撃音が聞こえて、誰かが吹っ飛んだみたい。

銃撃が止んだ。恐る恐る、顔を上げて見る。

そのまま何人も小さな影から伸びた、鈍く長細い煌めきに倒されてる。

お爺さん強っ。あんな、一方的なの!?


えっ。


確かに聞こえた。悲鳴と打撃音の中で、小さな恨めしそうな声が、後ろから囁いた。


振り返る。…………嘘。

まるで、彼の怒りを示すような、逆巻く獄炎の業火が、頭上を通り過ぎて。


もう一度振り返って、熱波に目を細めた。

見渡す限り、全てが、燃えてた。


「ぎゃ、ああああああああああ!!?」


人が燃える。容赦なく。

まるで、燃える液体でも、ずぶ濡れにかけられたみたい。


生き物が死ぬ所を、見たことは、ある。

小さなナイフで、生き物は死ぬ。

首を絞めるだけで、生き物は死ぬ。


けど。だけど。


「安心して良い、あの耳飾りは特別製で、ドラゴンの火でも、焼け跡1つ付かない」


こんなの、人の死に見えない……!


「焼け死ぬか。死にたく無ければ、這いつくばれ。…下劣共」

「バッキャロー…」


諦めたような涙声で、男性は最後まで罵倒してる。

たぶん、彼がリーダーだったのね。

武器を投げ捨てて、強盗たちは降参していった。


私達は、事の前後を憲兵さんに詳しく聞かれる事になった。

相手が先に違法なてっぽーを乱射してたことで、一応は正当防衛で、お咎めはまったく無し。


憲兵さん達は、何か言いたげだったけど。

ルマンドさんの顔を見て、何も言えなくなったみたい。

彼が怖かったわけじゃ無いと思う。きっと憲兵さん達は、哀れんでくれたの。

それぐらい。迷子の小さな子供か、まるで、略奪された女性みたいな、酷い表情で………。


「その耳飾り、そんなに大事な物だったの…?」

「もう居ないんだよ」

「え…」

「もう、居ないんだ。…ここに、居てくれ無いんだ」


彼はとても痛々しく遠い目をして、胸に耳飾りを抱いている。


「……………そっか。じゃあ大事にしないとね」

「うん」


耳飾りは、なんとアイさんが強盗から手渡されていた、道具箱から出てきた。

強盗が勝手に改造して、仕込んでいたらしい。


自分たちが捕まっても後で回収する気で、最悪アイさんに罪を擦り付けるつもりだったのを、全部彼らは自白した。姑息な……。

捜査に協力的な方が、減刑されるとでも思ったのかしら。


アイさんはむちゃくちゃ動揺してたけど、ずっと一緒にいたから当然無実だった。

彼はずっと大切そうに、胸に耳飾りを押し付けていた。




「鳥と走る手札亭」で、御エール様。なんと御エール様のおなーりーである。


「カンパーイ!」


…っ…あー…………、至福。この喉越し。人の金で飲む酒ほど、上手い物も無いわね!

正直呑むまではトラウマになりそうな光景が、結構きつかったけど、生きてるだけ目っけもんだね!


私の活躍をお爺さんから聞いた親方は、親指を立ててエールを奢ってくれた。

余程お爺さんとの再会と、ルマンドさんの話が嬉しいのか、アイさんにも同じく奢ってくれた。


なんと、話の内容は、ドラゴンに挑んだ話だった。

親方達はルマンドさんが話す前に、勝手に賭けを始めていた。

賭けはどれだけルマンドさんが、ドラゴンに挑めたかで、本命。武器の投げつけ、対抗。魔法攻撃、大穴。全力の魔法攻撃、だった。


「マジか…!」

「うむ。一切の偽りなく、全力で妥協なく張り合っておったぞ」

「もう一回やれって言われても、したくねえけどな」

「ガッハッハッハッハ! そりゃそうだ!」


傷薬を売ってくれた店員さんと、親方だけが大穴狙いで、見事に当てて、大盛りあがりでルマンドさんごと讃えられてた。


ドラゴン。

草食竜とは違うのかな。角みたいな鱗の大研蜥蜴とかもいるけど、もっと大っきくて火を吹くって、そんな感じかしら?


「モノ投げつけてりゃ上等だ。最初は餌になったからな。俺を除いてだが」

「う、へぇ…」

「ま、普通は街総出じゃからな。角回し、人と生命のやりとりをした気分は、どうじゃ?」

「嫌で、酒が不味く成りそうっすね…」

「だろうな。駄目なら寺か、教会行ってこい。厄除けの話は効くぞ」

「うっす…、まあそんな気にして無いよ。向こうが先に撃ってきたんだしな」

「口だけでも言えりゃ上等だ。今は飲んどけ。アイ、テテ、お前らも今日は遠慮すんな」

「あ、あい…」

「珍しいですね、親方?」

「泡銭は持たねえ主義だ。今夜だけだぞ」


うふふふふっ、あー…、この泡と、琥珀色に幸せが詰まってるわね。

ぬるめの一杯を、妥協せずに身体に染み渡るように飲み干す。

酒場の遠慮ない呑んだくれの笑い声は、その日、絶える事は無かった。




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