第34話 授かりもの

暗い部屋の中で、誰かに身体を弄られる事を感じ、俺は気絶から目を覚ました。


「あ、おはよう…んっ」


部屋で目が覚めると、ラランが一糸纏わぬ姿で、毛布の中で、俺の下半身を弄っていた。

というか咥えていた。


「何日たった?」

「2日ね、…んっ」

「そうか、世話かけたな」

「んぅ…どういたし、まして」


思ったよりも時間は経っていないようだ。もう少し気絶してるかと思ったが。


「何回した?」

「にはは、3回目…」

「なら次は俺の番な」

「うん…」


相手が寝てると大胆だが、起きると途端に恥ずかしがるんだよな、本当に可愛い奴だ。


恋人同士の逢瀬をベッドの上で、満足するまで楽しんだあと、俺の腹が空腹で大きな音を立てた。

服を着て食事をしようとしたが、左手が上手く動かなかった。


「着させてあげよっか?」

「いや遠慮しとく、動かさんと治らんよ、背丈も届かんだろ?」

「台を使うわよ、でもそうよね」


後で医者に見せねえとな。めんどくせー…。

キマイラ共め、あの癇に障る笑い声が俺の脳裏をよぎった。


「キマイラ自身が持て余して、毛穴から中身が全部とろけ出る毒ですもの、お医者さまも驚いてたわ」


「俺の身体に毒やびょう…げふっ、は効かねえよ、よく知ってるだろう」


右手で口を拭うと、軽く吐血していた。

持病のことを話そうとすれば、いつもコレなので、ラランは一切驚かなかった。


「よくは知らないわよ、そんな嬉しそうな顔の事情なんて…」

「話せばこの通りだからな、嫉妬深い事にさ」

「こっちも嫉妬しちゃうわよ、そんなの」


ラランはとても面白くなさそうな顔を浮かべて、俺に寄りかかってきた。すまねえな、俺の事情で。


「悪いな。よし、飯食いに行こうぜ」


宿の寝室から出て部屋を出ようとしたら、少女が1人机に突っ伏して眠っていた。

机で眠っていたのは、キマイラの一件で助けた、血だらけだった15歳ほどの栗毛の少女だった。


「ステラちゃんよ。傭兵団もお金も、もう無くて。行く宛も1人だけ無いそうだから、ここにね」


「そうか、キマイラの時にか?」

「団長さんは死亡して、荷物も何も投げつけちゃったんですって」

「そっか、気の毒だな…」


よく見ると、かなり泣いたであろう涙の筋が頬についていた。

無理もない。年端もいかない身で、身体と生命しかほとんど残らなかったんだ。

世話見てやらないとな。

ドルフの親方が、マナギが居なくて仕事が増えるとかボヤいてたし、そっちに仕事紹介するかね。


「ファティマちゃん…、あの泣いてた娘は、団の孤児院で預かることになったわ。主人も高級奴隷証文も、なくなっちゃったから…」

「晴れて浮民の身。って言うのは流石に野暮か…。進展は?」


「膠着状態ね。死者は出てないけど、向こうも死なないから…」

「厄介だな。押さえられてるだけマシだが」


「いっそ、天敵を誘致して追い払うか。一か八か夜襲でごり押しするかね。粉微塵にしても復活するなら、意味ないけど。ただ飛んで追撃されると、キリが無いのよね…」


「くぁ…おはようですん、わっ」


ステラが目を覚ました。隣に座り込んでいた俺に、驚いたらしい。


「ああっ! 良かった! ウチてっきりクックさん、死んでしまったかと、気が気でなかったですん!」


「この通り、腕上がらんがピンピンしてるよ、飯食いに行こう、奢るぜ?」


「え、いいの!?」


俺はラランに目線で確認した。金のない子に飯ぐらい奢ってもいいだろうと考えての事だった。


「もちろん、このまま放り出すのは目覚めが悪いし、この街にいる間くらいは、遠慮なく頼りなさいな」

「よけりゃ働き口もあるぞぉ、ちと強面共だがな」


「…大恩、必ず報います」


胸の前で彼女は親指を立てながら拳を握り、左手で受けて見せた。自由都市同盟領の作法で、最敬礼の意だった。




姫さんには、例の事で腹が立って決闘を挑むなら、挑んで良いと伝えた。

できれば親類の者には、手を上げんでくれとも言い含めた。


何より、もう随分と過去の話だ。

現状が侮辱を受けたり脅かされるなら話は別だが、変えられない過去の事に拘り過ぎても、しょうがないのが事実だ。


とはいえ、付き合いも長くなってきた。頭目たちも知っているし、そろそろ事前に概要だけでも言っておいた方が、心構えができるのも事実だった。


彼女は機嫌を相当損ねていたが、一応はそれで納得してくれた。


タロッキとはその後、何故かリザーウッドの反対側から飛んできて合流した。

どうやら1度硝子の森まで、戻って帰って来てしまったらしい。


子供たちが気づいてくれてよかった。

半泣きになりながら白く輝いて飛んでいたので、危うく見逃す所だった。


今度地図の見方も教えないとな。うっかりしてた。


製薬は順調で、ホルターの容態も安定したらしい。依頼達成できて、俺達は安堵していた。


リザーウッドに辿り着く前に、狼の集団と遭遇した。

彼らは遠巻きに、俺たちを包囲していた。

牙をむき出しにして、威嚇する狼もいた。

だが、群れの長だろうか、一際傷だらけの狼は、じっと俺の目を見つめているだけだった。


俺たちは剣をすぐ抜かず、コボルトの子達がすぐに遠吠えしてくれて、一触即発の戦闘は回避できた。


狼や野犬、コボルトは共に暮らしている事も多い。

子供攫いか何かと、勘違いされかけたのかも知れない。

つくづく、剣を抜くか抜かないかの判断は冒険中、常に綱渡りだと感じた。


俺達はリザーウッドの村に、無事帰還する事ができた。




ホルターの治療も終わり、彼は4日後目を覚ました。

真っ青を通り越して、色落ちしたように白かった顔は、血色を取り戻している。

処置が早かったので数日食事を制限すれば、健康に戻れるらしい。


「楽なった、オジサンたち、本当にありがとうございました」

「おう、早く元気になれよ」


ホルターの感謝は、俺達の何よりの報酬となった。

フランさまに大変感謝されたあと、多額の報酬金を渡されそうになったが、現金は規定通りの金額を頂いた。


「本当にいいの? これだけもらっても罰は当たらないと思うけど…?」

「規則ですんで、今回少し諸経費分高いですし、その世話持ってくれるだけで、助かります」


「そう、ありがとう。コボルトの子達についてだけど、私コボルト語、言葉だけなら少しできるし、しばらくここで過ごしてもらって、薬草の恩返しをしようと思うわ」

「身重の身体で、大丈夫…?」

「孤児院の人たちもよく来てくれるから、大丈夫よ。心配しないで、タロッキちゃん」


出産予定日もかなり近いらしい。

俺たちは村の宿に泊まりながら、しばらくブロウレス家を、出産まで手伝う事に決めた。



そして、今日は宴会が催される事になった。この村の住人なら問題無いだろうが。

一応姫さんから、目を離さないようにしないとな。

タロッキも遠慮なく飲むだろうし、見てないと。


「行こうぜ、みんな待ってる」

「ええ、行きましょうか。あんまり飲んじゃだめですよ」

「どっちかって言うと、そりゃ俺のセリフだろ?」

「あたしはいーっぱい、飲むもーん!」


きゃっきゃわいわいと、姫さんと笑い。

腰をかがめてまで肩を組んで、タロッキは酒宴会場に乗り出した。

もう出来上がってんじゃねえか、ふたりとも。


「カンパーイ!」


勢を尽くしてくれたようで、1頭丸々豚の丸焼きがその日、振る舞われる事になった。

大変感謝して頂こう。

この村特産の豚らしく、青みがかった美しい毛色をしていた。帰る途中に見た牧場のヤツと一緒なのだろう。

厚みがあって、筋も柔い、噛めば肉汁が鼻に透き通るように爽やかだ、大変美味だった。


開会を告げる言葉が告げられ、焼豚が配り終わると、早速俺達に村人が押し寄せた。

そこそこ大きな村でも、平穏な日々に退屈している者たちは多いのだろう。


「じゃあ、ドラゴンの髭切ってきたのか、凄えな!?」

「いや手伝っただけだよ、配下も居なかったしな」

「アハハハ!、森のウォークマッシュのほうが下手すると厄介でしたよね、あの後2人とも、背中から茸生えてましたし」

「痒くて仕方なかったぜ、除菌薬持ってて助かったよな」

「背中は翼だけで十分だよ。茸はしばらく食べたくないや」


「アンタたち、フリッグスから来たんだって?」

「ええそうです、直前に…」

「そりゃ大変だったな。豚しかねえような村だが、ゆっくりしてくと良いぜ」


宴もたけなわになり、うろうろ料理を取っていると、車椅子のフランさまも楽しげに過ごしていた。

子どもたちや、ウザ絡みする姫さん、タロッキにお腹を触られて、幸せそうに笑っている。


「あははっ、蹴った。今蹴ったよこの子!」

「アン!アン!クウゥン……」

「そうですねぇ、元気に生まれると良いですねぇ…」

「コボルト語。ヒメサン知らないのに、会話してる…!」


姫さんは酒瓶片手に、コボルトの子供たちと肩を組んで会話していた。

犬のような顔でも分かる。彼らの顔には?マークが顔中に踊ってる。

通じてる訳ねえだろうに、もうどうしようもなく呑んだくれだぁ…。


ホルターがフラン様の身体を気づかって奮戦していたが、逆に魔法で身体を浮かされていた。

ケタケタ笑ってあしらわれて、まるで相手にされていなかった。

この姿だけなら、まさしく魔女だな。うん。


「いいのかねぇ、病み上がりで?」

「呑めないしいいの、いいの〜。うふふふっ」

「フラン…」

「…もー、ほらおいで。そんな目ぇしないの、ほら、甘えていいから、ね?」


ホルターはフランさまの膝の間に、顔を乗せて少し泣いていた。

彼女と赤ん坊が心配で仕方ないのだろう。

危うく幸せの絶頂で、生死の境を彷徨ったあとだ、無理もない。


周りのコボルトの子どもたちも、嬉しそうに料理を食べている。


俺はホルターの肩を数度叩いってやって、その場を少し離れた。


「ぐふふふふぅ、羨ましいですねぇ…」


耳まで真っ赤にした酔っぱらいフェアリーが、しなを作って寄りかかってきた、姫さんだった。


タロッキは頭目みたいに、腕相撲してる。

いや、ありゃモテてるだけだな。腕相撲も強いが、村の若衆好みの顔立ちだしな。


「そうか、今度してやろうか?」

「えっち…」


「おい、待ってくれよ!」


村の若い男が、数人こちらに歩いてきた。

そのうち1人が、しつこそうに姫さんに手を伸ばした。あっ、バカ!


「ぐぅあぁあああああ!?」

「ふぉっふぉっふぉっふぉ、フメがままいのう」


姫さんは容赦なく彼の腕を取って極めた、彼女は俺より柔術も拳法も、剣も下手すると強いんだぞ。

クック頭目と、ラランさん直伝だからな。

寝込みでも襲わねえと勝てる訳ねえわ、可哀想に。


「ろれつ回ってないぞ、やめい」

「しつっこいんですもん、うりうりうりうり〜」


今度は矛先が俺に向いた、酒癖悪いんだよなぁ…。

彼女は俺の肩に得意げに額を擦り付けている。

猫か何かか、お前さんは。


「お、俺達はただ、あっちで話そうって…」

「ヤですよ、ここでお話して下さい、うりうり〜」


長い耳が踊ってるから、この状況楽しんでやがるなな?

普段淑女の癖して、酒入るとこれだ。

いたずら好きなんだよな、根っこがさぁ。

まさしく妖精の姫君様だ、決して俺は嫌いじゃ無いが。


「おかしいだろ! そんなハゲかけのオヤジなんざ!?」


うん、まあ禿げてる部分はあるよね、そりゃ。

若い頃に比べれば、俺の頭部は確かに薄くなっている。


十分毛はあるが、それでも回りの若い連中に比べれば薄い方だろう。


「おい! お前!!」


流石に過ぎた言葉に場が凍りついて、俺達に恩を感じている連中が険しい目で、罵倒した青少年を睨みつけていた。


姫さんもじっ…、とりとした目で彼を見ている。

やめて差し上げろ。彼らが居た堪れねえから。

俺は懐から7つ星の煙草を取り出した。


「1本吸うか、 君?」

「あ、ああ」


俺は罵倒した彼に1本奢って、いつも自分が交渉用に咥えている、1本を咥えた。

鍋の火からもらって、彼の分だけ火を付ける。俺の分はいつも通り火をつけなかった。


「…何が悪かったか、わかるか?」

「いや、だってハゲじゃん」

「おう、ハゲだがどうした?」

「え」


「続けてみそ」

「…………」

「何も言えんだろ。これ以上何言っても、自分で自分の男を下げるからだぞ?」

「う…」


彼らは伏して下を向いてしまった。全員叱られた子どものようだった。


「…でも、みっともねえよ」

「そうだな、ここが宮殿とか王室なら、俺も毛染めぐらい整えるが…」


周りを見渡したが、肩を組んで踊っている者。飲み比べで気絶しかけの者。

腕相撲の賭けはホルターがいい線行っていた。

せいぜい愛すべき飲んだくれ共が、好き勝手に過ごしているだけだったんだ。


「あいにくここは、ただの村酒場だ」


こらそこ姫さん、ホルター君にウザ絡みしない。

フランさまに身体浮かせてもらって遊ばない、ああもう。

クッソ自由な姫様だな。タロッキも呆れてんのにもー、しまらねえぇぇ…、ええいっ。


「勝負の土台から自分で下ったんだ、 いつか自分で女に火をつけられるぐらい、頑張りんさいな」

「…はい」


彼らは肩を落としてトボトボ歩いていった。数人が慰めるように肩を組んでいる。


「火、付けます?」

「まさか、付けねえよ」


「それは、もう火が付いてると、思っても?」


彼女は先程までの騒がしい様子を潜めて、俺に艶い視線で聞いてきた。長い耳は垂れ下がっていて、赤くなっている。

酒のせいだけでなく、きっと面映い思いを抱えているのだろう。


「御想像は御自由にどうぞ。だ、妖精の姫君」


俺は気障ったらしく煙草を咥えたまま、妖精の姫に恭しく礼を捧げた。


「…口の減らない、1枚紙ですこと」

「貴女の前で減らねえのは、いつだってこの煙草だとも」

「…ふふっ」


笑い合える。姫さんと共に。たとえ過去に何があろうともだ。

恨みを背負おうとも、今はそれで良い。

それだけで良いと、思える夜だった。



狩人兼村兵であるホルターに、弓のコツを教え合っていたある日。

フランさまに呼び出された。どうやら見てもらいたい魔道具があるらしい。


屋敷の納屋前までホルターと共に、カラスに案内されると、ある篭手ガントレットが日を浴びて、虫干しされていた。


「これは?」

「暴れ竜の篭手、奴隷戦士の篭手、角棘竜の篭手、呼び方は色々あるけど。代々魔女に受け継がれてきた、戦士の篭手よ」


一見、黒ずんで、1度溶けたような篭手だった。

黒い威圧感のある爬虫類のような皮と、トゲが付いているツノに包まれている。

荒々しい作りだ。まるでドラゴンの頭部を見ているような気分になる。


触ってみるとしっかりしていて崩れず、一体どれだけの時を重ねたのか分からないほど、年季の入った気配を感じさせた。

腕下の部分に光をまるで反射しない、灼熱色の縁と漆黒の丸印…、いや焼印か? がある。

なんの印だろうか?


「うえぇ…っ」

「ホルター、無理しないでいいわ、目を逸らして」

「ど、どうした、ホルター?」

「いえ、あの印を見てたら、吐き気が…」

「少し下がっていて、ふたりとも」


言われた通りフランさまよりも下がると、彼女は突然、杖を取り出して、篭手を容赦なく灼熱で焼き始めた。


紅蓮の炎が勢いよく舌を巻き、彼女は何度も篭手を攻撃した。

まるで意に介さないように、篭手には焼き跡1つ、つかなかった。


「凄えな、なんて篭手だ…」

「並の魔剣でも傷付かないわ。これを持って行ってほしいの、報酬は前金で、この篭手自身とスクロールをいくつか、どう?」


「そりゃ構わないが、ホルターの様子は一体…?」


「伝え聞いた話では、暴れ竜の素材を使用したせいらしいわ。よほど見続けないとだけど、印をずっと覗いていると、吐き気がするのよ」


ドラゴン素材の篭手か、そりゃあ人の炎程度じゃ傷つかないわな。年月こそ重ねちゃいるようだが、いい材質で出来ているんだな。


「俺は吐き気がしないみたいだが、何故俺に?」


「そうだとはなんとなく思ったけど、相性のせいね、たまに居るらしいわ。つい持って来ちゃったけど、この村に置いておくには、厄介な輩が湧くかもしれないモノなの、だから…」


これも彼女の引退者としての行動なのだろう。

遺書の下りではないが、スクロール書きである俺にも共感できる話ではあった。


「あと、この篭手ね。よいしょっ…と」

「おいおい、フラン。俺がするって…!」


ホルターは篭手を持ち上げようとした、フラン様を気づかって手伝い始めた。

彼に手伝ってもらって、フラン様は左腕に篭手を装着した。


彼女が地面に篭手を向けて、丸印の部分をなぞるように、くるりと触った。


ビシュッ。


何か鋭い音がした。

長いトゲがツノから1つ、地面に撃ち出された…、のか?

トゲは地面に深く突き刺さって、ビィィィィ……ンと弓矢のようにしなっている。


「見ての通り、投矢銃ダートガンみたいな事もできるのよ。棘は勝手に生えてくるわ」

「生えるのか…」

「生えるのよ、なぜか。限度はあるけどね」


「これ、合法の品なんですか…?」

「火薬は使ってないし、簡単に隠せる訳でも無いから、一応言い訳、立てられるわよ」


微妙な所だな。門兵に見せれば、文句は無いだろうが。

仮に店の商品棚に飾るなら、怪しい顔で親方が磨いてそうな品だ。

もちろん、依頼とはいえ、貰い物を売るつもりは毛頭ないが。


「なるほど、わかりました。その依頼、オレンジガベラの店員。マギナ・ペファイストが、確かに請け負いましょう」


物言わぬ篭手はただ静かに沈黙して、気持ちよさそうに燦々と太陽を浴びて、程よく虫干しされていた。


「さて、……………あ、れ?」

「どうした?」

「おなか、…いだい」




大騒ぎになった。

フラン様の陣痛が、予定より早く始まった。

そりゃもう、村中大騒ぎになった。


大急ぎかつ慎重にホルターと青い顔して、屋敷のドアを開けると、幸いにも姫さんとタロッキが居た。

子供達に、簡単な会話を教えていたようだ。

一目見ただけでタロッキは、状況を察してくれたらしい。


「よし、落ち着いて、よく聞いて!みんな!」


フラン様をベッドに寝かせて、右往左往する俺たちを注意したあと、指示をくれた。


「ヒメサンは可能な限りお湯作って!、ホルターお兄ちゃんは産婆さんに速く!コボちゃんたちは、紙を渡すから、みんなに見せてきて!」

「俺は!?」

「あたしの手伝い! 片っ端から、布と実験用のでいいから、消毒液を集めて!」


「予定日的には、どうなんですか!?」

「ギリ許容範囲内のはず……! でも、破水も始まってないし、待つことになるかも…!」


タロッキの指示は、驚くほどに的確だった。

産婆のおばさんが驚く程度には手際が良く、彼女が来る頃には、お湯も多く用意されていた。


リザーウッドの村は、そりゃもうひっくり返したような、大騒ぎになった。




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