第2話
「ここどこ???」
私は気づけば、真っ白な空間にいた。
周りを見渡すと他のクラスメイトたちも一緒だ。
あれ??私死んだんじゃなかったの??未練残しながら死んだよね??体をペタペタ触って見るがどこも焦げてないし、痛くもない。もしかして今までのこと全部夢だったとか??
クラスメイトたちも同じことを思った者が多かったのか私と同じ行動を取っている奴が多い。
でも夢ならみんなが出てくるのはおかしい。
なんたって、私の夢はイケメン以外はモブらしくヘノヘノモヘジになるからだ。
みんなして悶々と考えていると、場に似つかわない陽気な声が響いた。
「はーい、並んで並んで〜」
声がした方に一気に全員が振り返る。
そこには今までなかったであろうガチャガチャがあった。
なんだろう、これ。
すると白い空間の空がブブブと揺れて大きな大きなさっきの転校生が出てきた。
「はーい、皆様。改めまして、僕は君らの世界で言う神様だよ〜この度は僕の不手際でそっちの世界に送っちゃってごめんね〜。君らは本来は違うところに行くべき魂だったのに間違えて送っちゃったテヘペロ☆」
なんか軽いな。
菜鈴なんかイラついてるのか靴脱いで今にも投げそうな顔してる。
「俺たちはどうなったんだよ!!!?」
「ここどこなの!!?ピカって光ったと思ったらこんなところにいたのよ!!!まさか……死んじゃったの!!?」
クラスメイトがワーワーと騒ぐ。
それは私も気になった。結局私達ってどうなったんだろう?
「君らはね、確かに死んだよ。ついでにその世界から存在していた事実だって消えてる」
「嘘っ!!?」
「嘘じゃないよ~現にほら、君らは雷に打たれたんだから」
そう言って、自称神様は意地悪く笑った。それを聞いてクラスメイトの何人かは泣き崩れる。
まぁそれもそうか、親とか残してきてるだろうし。
私??私は元々昔親を亡くして親が残した貯金ぐらしだったから未練といえば夢を叶えていないことぐらいだ。
「でね!!僕優しいから君たちに新しい人生をあげようと思ってるんだ。しかも有利な情報付き!!」
そう言ってガチャを指差す神様。
「あれを回してその中の紙を見てね。それが君らの転生先だ。ちょっとその人生についても書いてある。ただし、誰かに見せちゃ駄目だよ、まぁ他人には見えなくなってるから無理だろうけど(笑)。さぁ、引いた引いた!!」
周りはおどおどしたり泣きじゃくりながらも、諦めたのか順々にガチャを引きに行く。
今思ったのだがこういうのって好きな人生選ばせてくれるのが鉄板ではないだろうか。
悪いのはあっちな訳であるし。
「ちょっと、何ぼーっとしてんの」
コツンと頭を小突かれる。
菜鈴だ。
「あんた最後よ。早く引いてきなさい」
菜鈴の声にも少し元気がなかった。
あの菜鈴が落ち込むなんて……確かに父母とは仲良かったし応えているのだろう。
周りのみんなも表情が暗い。
多分私ぐらいなのだろう、そういう人間関係の未練がないのは。
あ、でもアイスもう一回食べたかった。
どうでも良さそうな未練を思い出しながら私はガチャガチャに手をかけた。
あれ、でもこれチャンスでは??
頭にドーンとイナズマが走った。
私の夢は少女漫画のヒロインになること。ならこの転生でまた美女になってイケメンを捕まえれば……
夢叶ったりしない??するよね、しちゃうよね!!?
後ろから早くしろと言わんばかりに菜鈴の靴が飛んできたが、痛くない。だって死んでいるんだもの。
「ウオッシャ!!転生ガチャ当たり来いィィィィ!!!」
「(なんであんなテンション高いんだろう)」
クラス全員がそう思った。
ガコンと音がしてカプセルが出てくる。
なんかこの感覚懐かしい。ガチャガチャなんて小学生以来だ。
まぁ大事なのは中身だ、中身。
「レッツラオープン!!!」
パカッと音がしてカプセルが開く。
私は開いたカプセルのカラを投げ捨てて中にある紙を貪るように見た。
どんな人生かな???
どうやら転生先の世界は中世の世界。
でも水道や、ガスはあるし、今までいた世界をを中世風にしただけのような感じらしい。
そして……お!!魔法もあるじゃん!!
ザ・ファンタジーって世界だね。
で、私が転生するのは……やった!!貴族令嬢!!
しかも公爵だ!!王族の次に偉いじゃないか、えへへへへへへ。
で、人生は……あぁなるほど、かなり裕福に過ごせるらしい。まぁ、貴族令嬢なのだし、当たり前か。
ここまでは万全万全。
あれ、なんか下に書いてある。
”死因 父親が王の暗殺を企だてたため、一族諸共処刑(享年16歳)”
な……なんですとぉぉぉぉぉ!!!?
思わず目が世界一周旅行の旅に出てしまう。
え!!?え!!?どゆこと!!?どゆことなの!!?誰か説明して!!?
私、今の年齢まで生きたら死んじゃうの!!?
しかも処刑!?暗殺!!?ウチの父親(予定)は何やってんだゴラァァァァァァァ!!?
恨みたっぷりに神を見ればニコニコと嬉しそうに笑っている。こいつ、多分私の反応を楽しんでいやがる。
なんか恨み言でも言ってやろうか。
「このクズ野郎が……「はいはい、みんな引いたから転生させるよ〜」え、ちょっ「さん、に、いち、いってらっしゃ~い」恨み言一つでも言わせろやァァァァ!!!?」
かくして、私は転生したのだった。
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