第8話 奇跡の夜景
夜は深まり、空は晴れていく。明るい月明かりが燃える魔物とそれを静かに見つめる彼女を照らす。
私は静かに彼女に歩み寄り、肩に手を置く。彼女の体は小刻みに震え、小さなしずくが雪に落ちる。彼女のしずくが落ちるに合わせ、魔物を包む炎が徐々に小さくなり、そして炎は消えていった。そこに残ったものは、魔物の消え残った素材だけ。
そこには静寂が訪れた。家族の魂が星に還ることを祈りながら、口を閉ざして祈る。そして風が吹いた時だった。
雪が舞うと同時に、月明かりに照らされて中に舞う輝きを見た。それはどんどんと空に舞っていく。私はそれを追って空を仰ぐ。私たちの頭上の遥か天には、星々の命の輝きを背景に、光り輝く流れ星が雨のように降り注ぎ、その雨の下、色鮮やかな空のカーテンのようにオーロラが姿を現していた。
私は彼女の肩を叩き、彼女も遅れて空を見る。彼女は一瞬で空にくぎ付けになり、空から目を離さない。
流れる星に願いをかけ、垂れ下がる七色のカーテンに心奪われ、宙を舞うダイヤモンドダストに心包まれる彼女の表情は、どこか救われたような、健やかな表情をしていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます