第8話 奇跡の夜景

 夜は深まり、空は晴れていく。明るい月明かりが燃える魔物とそれを静かに見つめる彼女を照らす。

 私は静かに彼女に歩み寄り、肩に手を置く。彼女の体は小刻みに震え、小さなしずくが雪に落ちる。彼女のしずくが落ちるに合わせ、魔物を包む炎が徐々に小さくなり、そして炎は消えていった。そこに残ったものは、魔物の消え残った素材だけ。 

 そこには静寂が訪れた。家族の魂が星に還ることを祈りながら、口を閉ざして祈る。そして風が吹いた時だった。

 

 雪が舞うと同時に、月明かりに照らされて中に舞う輝きを見た。それはどんどんと空に舞っていく。私はそれを追って空を仰ぐ。私たちの頭上の遥か天には、星々の命の輝きを背景に、光り輝く流れ星が雨のように降り注ぎ、その雨の下、色鮮やかな空のカーテンのようにオーロラが姿を現していた。

 私は彼女の肩を叩き、彼女も遅れて空を見る。彼女は一瞬で空にくぎ付けになり、空から目を離さない。

 流れる星に願いをかけ、垂れ下がる七色のカーテンに心奪われ、宙を舞うダイヤモンドダストに心包まれる彼女の表情は、どこか救われたような、健やかな表情をしていたのだった。

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