〔人間〕
許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。
私は悪魔を、絶対に許さない。私の夫は、悪魔に殺された。濃い黒い服を纏った、人の形をした化け物の白い肌に、赤い血がへばりついている。今でも、時折フラッシュバックする。
私に美しさを、天使を、音楽を、幸せを、神様を、そして何より愛おしい彼を教えてくれた彼を、その化け物は殺したのだ。
復讐を誓って数十年、ようやく私は悪魔の居場所を見つけた。意外にも人間のアパートに住んでいた。そして今、私は、そのアパートの前に立っている。手には刃物を握って。悪魔の外出を待っていると、部屋の中から金管楽器の音が聞こえてくた。一、二音を鳴らしただけの拙いものだが、彼が教えてくれた、優しい音楽に、とてもよく似ていた。
思わす聞き入ってしまうが、すぐに音が弱々しくなっていき、遂には消えた。心の底からの感想が、口から溢れ出る。
「綺麗」
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