12月17日(日) 明莉
「変わっちまったよ、
そんな捨てゼリフを残して
ついさっきのことだ。ドアはきょうも沈黙している。
そんなつめたいドアを明莉はやっぱり睨んでいるのだが二週まえのように絶望的なきもちではなかった。
たしかに自分は変わったのだと思う。社会に出てまいにち働いて、そこらじゅう壁にぶつかりあたらしい世界や考え方やいろんな人がいるのを知った。そして気がついたら、いつまでも変わらない和人がおさなく見えてしまっていたのだ。
金曜からまたいっしょに過ごした短いあいだに明莉はいやというほどわかってしまった。ふたりが
自分の変化を明莉は肯定的にとらえている。そしてこれからも変わっていくことを止める気はない。その変化が和人にはおもしろくないし、認めることができない。たぶんこのさきも。
和人もいっしょに変わっていければよかったのにね。
ドアを見つめながら明莉は思った。
白い壁にかかったアドベントカレンダーのクッキーは、もう七つしか残っていない。ぜんぶ食べきるまでにこの恋ごころを弔おう。
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