12月15日(金) 明莉


 きのうは朝からふつか酔いで最悪だった。それよりまずかったのはおとといだ。

 いつもの店であおいと飲んでたはずなのに気づけば駅の事務室でよこになっててとちゅうの記憶がほとんどない。明莉あかりは酒ぐせはわるい方ではあるのだがさすがにこれほどの失敗はかつてなく、生まれて以来最大最悪の醜態だったと思い出すたびあの夜の自分を……きゅっと絞め殺したくなる。


「ほんとに危なかったんですよ。さいわい助けてくれたひとがいたからよかったですけど」

 気をつけてくださいね、と介抱してくれた女性の駅員さんに言われて家路についたのが終電のみっつ前だった。


 だれかに助けてもらったというのはかすかに覚えがある気もするけど霞がかかったみたいにはっきりしない。

 おもわずしがみついた体ががっしりしていてなんだか安心できた……ような気がする。たぶんだけど。


 人肌が恋しい。和人かずとと別れたのは十二月さいしょの日曜だった。

 そのときチャイムが鳴って――インターホンを見ると和人が立っていた。


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