12月7日(木) 明莉


 午後ウェッブ会議に出ている最中やたらとスマホから通知音が鳴って、会議が終わったらソッコーでトイレに駆けこんだ。

 個室のドアをばたんととじると急いで画面をひらく。和人かずとからのメッセージだ。ずらりと十件ばかり連なるメッセージをむさぼるように読んでいく。


 ――ごめん

 ――やり直そう

 ――おれにはやっぱり明莉あかりしかいない

 ――おれにも直すべきところがあるってわかってる

 ――なんか言ってくれよ

 ――明莉がいないとだめなんだ

 ――会いたい

 ――おれ、変わるよ。ちゃんと働くし

 ――返事待ってる


 返事を打とうとして、でも一文字も打たないでやめた。なにをどう書いたらいいかわからなかった。

 ただ胸があつくなって、すぐにも和人に会いたいと思った。同時にあおいの言葉が脳裏によみがえって明莉の衝動を押さえこんでいる。理性がささやくのだ。和人とのずるずるした関係に健全な未来なんてない、吹っ切るのはいまだと。

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