12月6日(水) 士郎


「おれにまかせとけ」

 と言ってけい士郎しろうの肩をばん、ばんと叩いた。


 やすいと評判の居酒屋で、すでにふたりともたっぷり酒が入っている。皿に大盛だったオムライスはあらかた片づいてしまってとなりのソーセージはすっかり空だ。

 なにしろふたりとも大食いの大酒飲みなのだ。圭と士郎は大学時代を柔道部でずっといっしょに過ごした。といっても弱小で栄光には縁遠く、どうしてこんな報われねえことおれたちつづけてんだろってふたりでよくわめいてた。


 きょうもつい声が大きくなるのを店の兄ちゃんが肩をすくめて見まもっている。ふたりにつられて奥の厨房まで活気づいているようだ。兄ちゃんの見た目はちょいイカツくって、柔道させたらいいとこまで行くんじゃねえかなと士郎は思った。


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