12月4日(月) 士郎


 同僚と飲んだあとの帰り路、アスファルトを浚う風に吹かれてきゅっと身をちぢめた士郎しろうはこんなとき身を寄せあう恋人がいたらと思ってすぐ打ち消した。

 最後の恋が破れてからもう三年になる。

 その間いいなと思う女性がいないわけではなかったけれど、いやむしろ目移りするほどだったのだけど、そのだれに向かっても一歩を踏み出すことはついになかった。

 恋愛は面倒だと思う。じつは臆病になってるってのもあるかもしれない。まえの恋でじゅうぶん傷ついてしまったから。


 だいじょうぶ。そのうちおれにもあらわれるさ、運命のひとが。


 士郎は自分をなぐさめる。この三年だれにも行動を起こさなかったのはだれひとり運命の女じゃなかったからだ……たぶん。

 でもクリスマスの飾りつけをした幸せそうな家の灯りを見てると、そろそろ本気で運命をさがしに行くべきかもって思う。いいひとがあらわれるのをただ待つだけじゃなく。


 ことしはクリスマスを一緒に過ごすひとがいるといいな、と士郎は師走の夜空を見上げた。

 クリスマスまではあと二十日しかない。


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