033.獣人
獣と人の両方の要素を持つ者を獣人という。
どんな要素を持つのか、それは個人差があり、例えば同じ両親を持つ犬獣人でも、頭頂部に犬耳がついている者と、外見は人と全く変わりがないが嗅覚だけは犬並に優れている者が双子の兄弟だった、という例もある。
つまり。
この寒いのに全裸で街を闊歩し、うら若い婦女子に局部を見せつけている目の前のこの変質者も、中身は服を着るのを嫌がる動物ということである。
そもそも獣人の祖は、獣と人が交わった結果産まれたといわれており、
そういう意味では獣人はもともと変態の血を引いているといえよう。
もちろん、人型に変化した上で交わったものが大半であるが、始祖は人型に変化出来ず獣のままだったという記述が残されている一族も少なくない。
まあそれは置いておいて。
ひとまずは目の前のこの変質者をどうするかだ。
中身が動物であるなら、どちらの立場が上なのかをしっかり教え込んで服従させるのが一番だとは思うが、こんなのと同類に見られるのも耐えがたい。
なぜこんなことを考えているかというと、この変質者をミンチにしたいのを堪える為、何かしら自分をごまかす材料が欲しいからだ。
変質者とはいえ見た目は人間なのでさすがに殺ると捕まってしまう。
動物なら裸でも仕方ない、とでも思わなければ、原型留めないレベルで叩きのめすか、1mm刻みの輪切りにしたくなる。
すでに私の殺気を感じとったのか、怯えて逃げようとしているが、変質者を野放しにするはずがないだろう。
リードをつけて崖から落としたり冷たい湖で泳がせるのも一興かもしれない。イヌ科な気がするので、狼の群れに放り込むのも良いだろうか。
ケモナーと裸族の方々に全力で喧嘩売ってるような話です。大変申し訳ございません。
ファンタジー短編集 山都碧 @yamatoheki
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