015.ヒーロー養成ギプス

 確かに、子供の頃、父に将来の夢を聞かれて、戦隊モノのヒーローになりたいと望んだ。

 だがこんなことは望んでいない。


 ヒーローになりたいのか、それならまず体力と体作りと戦闘方法だ!と格闘技を複数習わせてくれたところまではいい。

 だが、体が出来上がってきたころから、次はこれだ!とつけさせられた養成ギプスがおかしい。

 抵抗しなければ、常に決めポーズになるように矯正してくる。成長するたびにギプスが作り直され、そのたびにだんだん強力なバネを使われ、一日中、なんなら風呂や寝るときまでつけさせられている。

 結果、ギプスを外して楽なポーズを取ろうとしたら、勝手に決めポーズをとってしまう。

 普通に日常生活を送る為に、常にギプスに逆らうような力をこめているので、全身筋肉痛の日々だ。


 ヒーローは遅れてやってくるものだという言葉を聞いたことがあるが、実は筋肉痛で動けなくてすぐ来れなかったんじゃないかと疑っている。


 つーか、決めポーズしか出来ないなら戦えないだろ。ヒーロー登場しただけで終わるぞ。習わされた格闘技を出したくても筋肉痛で体動かん。


 ヒーローの本当の敵が悪党じゃなく筋肉痛だとは思ってもみなかった。

 つーか、ヒーローなら可愛いヒロイン出してくれ。そしたらまだ頑張れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る