おとこの娘にはコスプレ……もとい、軍服を

「ス、スターシャちゃん。この衣装は恥ずかしいです」


「ええぇ~? イリーナちゃん。素敵じゃないですの。あの部屋から発掘したイラストを元にダリアちゃんが丹精込めて作ったのよ。大丈夫ですわ」


「で、でもこのひらひらスカートが短くて。まだ五月。寒い帝国の春だと風邪をひきます。できれば軍服の方が……」


「それもそうですわね。では今度は軍服のコスを探してダリアちゃんに作ってもらいますわ。思いっきり可愛いくね」


「はい! ダリア、頑張ります。だから可愛い軍服を着てくださいね、イリーナちゃん」


「へりょ」



 ◇◇◇◇



「くっ、囲まれたか。仕方ない。古武士の意地を見せてやる。総員西へ向かって突撃! 敵司令部を狙え。全部隊、玉砕突撃~! 前へ」


「無茶口中将殿。方面軍司令部から着電。総員東へ転進せよ、であります」


「何を抜かす。敵司令部は手薄。ここが勝負どころだぞ」


「いえ、それは罠だとのこと。殲滅のウリエルがその方面に控えていると。なぜかはわかりませんが、その対策に撤退経路とは別のところに和三盆をまいておけという通達が」


「塩ではなく砂糖だと? 全くわからん!」


 注)ジンギスカン鍋のたれは甘い、ふふふ。おぬしら、わからぬであろう。



 ◇◇◇◇



「求ム、魔導兵。帝国は危機に瀕している。四方を敵に囲まれ、海路は封鎖。陸路はにっくき敵と交戦中である。我ら臣民には南方の紅茶・砂糖・カカオなどの産物が不可欠。それらシーレーンを奪還するため、敵地奥深くに侵攻する勇猛果敢な兵を募集する。毎日、美少女の罵倒を聞きながら、適度な運動と美味い飯でお国を守るために筋トレ。勝利の暁には少しの酒と大量のスイーツを手に入れるであろう。皇帝陛下に栄光あれ!」


 そしてだれも志願しなかったのである。

 どこぞのアニメとは大違いである。



 ◇◇◇◇


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