第2話 イメージした物が手に入る能力

俺は草原に座っていた。

女神様が言うには事故?に巻き込まれ異世界転移してしまったようなのだ。


最初は穏やかな日差しで気持ち良かったけど、眠くなってきた。

寝る前だったから当たり前か。


「くしゅん!」


パジャマのまま外にいたら風邪ひいてしまう。

服も用意してもらえばよかった。

せめて上着があれば。


「ん?」


とっさにイメージしたのが持っていた上着だったからなのか、部屋にあったお気に入りの青いパーカーが手の上に現れた。


「能力ってこういうことか!助かる~それなら!」


裸足だったので、俺は持っている靴をイメージした。

今度は靴が出現する。


「出てきた。良かった~」


寒さはしのげそうだ。

寝る場所が欲しい。


「空き家無いかな…」


そう思っていると、目の前にバーチャルな地図が現れた。


「数メートル先に空き家があるみたいだな」


地図を頼りに、とにかく眠かった俺はその空き家に向かった。

小屋は草原を抜けたところにあった。

すぐ近くに森があるようだった。


「布団無いな‥」


木で作られているベッドは薄い布が被さっているだけだった。

いつも使っている布団をイメージしてみる。

ベッドに俺の部屋の布団が出現した。

結構便利な能力だな。

ちょっと部屋が埃っぽいけど、今日は我慢して寝よう。


いつもの布団で眠れるって結構幸せなのかもしれない。



****



俺は布団の中で目が覚めた。


「寒い!ストーブ…っと」


あれここ…家じゃないんだっけ。

家にあったストーブをイメージする。

ストーブが出現した。


「石油は入ってるはずだから、あるだけ使えるはず」


周りに燃えるものはないよな。大丈夫。

俺はストーブを付けた。


「それにしても、ここどこだろ」


異世界というのは分かるんだけど。

窓を開けて、外を見た。


チュンチュン…


「さっきから鳥の鳴き声が聞こえるな」


元いた世界とあまり変わらないといいんだけど。

ゲームみたいなモンスターとかいたら無理!

逃げるしかない。


俺は持っている洋服をイメージした。

思い出す感じで。


「TシャツとGパンでいいか」


着なれたTシャツとGパンが現れる。

着替えながら考える。


「洗濯とかもしないとだよな・・」

実は自分でやる事が結構多いのかもしれない。


ぐう~。


お腹すいたな。

”イメージ”ってどこまでなのかを聞いておけばよかった。

食べ物も考えれば出てくるのか?

でも食べ物は怖いからやめておこう。


収納魔法アイテムボックス


とりあえず声に出して言ってみた。

ウィンドウが表示されるが・・。


「からっぽだ」

何か入ってればいいなって思ったんだけど。


「とりあえず水があったほうがいいかもしれない」

バーチャルな地図を出してみた。


「川‥とあった、あった」


割と近くにありそうだ。

ラッキー!

俺は持っていた水筒をイメージする。


コロンと青色の水筒が現れた。


取り合えず水筒に水を入れて…食べ物は後で考えればいいか。

俺は水筒を持って、川に向かった。



****



「何なのよもう!今日はツイてない!」


私はミカゲの森の中を走っていた。

シルバーウルフに会うなんて、ついてない。

とにかく逃げないと。

いつもは薬草が取れたら、すぐ家に戻っていたのに、今日はもっと取れるかもって欲張ってしまった。


この先はどんな地形だっけ。

木に登った方が逃げれるかな…。

思いを巡らせるが、焦っていい考えが浮かばない。

息が切れる。


「「誰か助けて!」」


私は必死に叫んだ。

運が良ければ冒険者が通りかかるかも・・しれない。

そんな奇跡を願うしかなかった。

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