第6話 窮地の花
とりあえずこのまま戦ったところで敗色が濃厚なのは見て取れるので、どうにか戦いの中で進化させる方針でいく。
狼たちが攻めてくる方向とは反対に湧いている魔物たちを倒し核稼ぎを進めつつ、適当に見繕った鳥のような魔物を使って虎の動向を確認する。
そして俺たちに近づいてきた段階で持ち場につかせ、俺は溜まった核の量に冷や汗をかいていた。
天国花(75006/100000)
虎から獲れる経験値によっては可能かもしれない…そんな丁度よく白熱しそうな展開になっていた。しかしここから新しい策を思いつく訳もないので、当初の予定通り総力戦を実行する。
まちろん無策という訳ではなく、基本的に多対一を言い聞かせたり、俺から出た魅了の花粉を集めたものを敵に当てる事で仲違いをさせる魂胆はある。
しかしそれで勝ち切れるのかと聞かれれば、なんとも言えない。それ程に攻めて来たあいつらの力は強く、今の俺は無力であった。
あとはナキやシルたちの実力に託すしかないのだ。
そうして戦いは始まった。今俺がいる場所からは戦いの全容を知る事はできない。しかし祝福でリンクした事で誰が重症を負い、そして誰が殺されたのかは手に取るように理解できる。
それから数十分後、狼の中で1番強いはずのシルが死んだ。確かに虎とシルとのフィジカルはそこまで変わらない。それでも速さと能力はシルの方に軍配が上がるはずだ。いや、それも有象無象の虎に対してはという話なので、リーダー核の虎が相手ならば話が違うのだろう。
俺は再び自身の無力感に打ちひしがれながらも、シルの犠牲を無駄にしないよう、進化によって勝てるかもしれない可能性を信じて無心を貫いた。
そして目の前にボロボロのナキとリーダー核と思われる一回り大きな白い虎が現れる。虎黒族なのに白なのかよ。
『それがお前たちの守りたかったモノか』
虎黒族なのに白だとか、普通花がトップだなんて思わないだろとか、過去形にして勝ち誇ってんじゃねぇよといった愚痴をこぼしながら、俺は残りの必要経験値を見る。
まだ進化することはできなかった。
ーーー
この作品は毎週水曜日の夜更新です。
毎日投稿ではなく一度にまとめて更新します。
皆さんの中で、水曜日の楽しみになって頂ければ幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます