第4話 祝福の花
あれから経験値を貯めていき、次の進化先がふたつ出てきた。
天国花
地獄花
物騒すぎる花もあるもんだな。
しかしこれではどんな能力が手に入るかわかったものではない。
能力名天国とか地獄ならば、尚更である。
しかし今まで取ってきた能力を振り返っていくと、まず間違いなく戦闘系のものではない。端的に言えば、カーストの1番上で寝ながら後のことは任せてるような能力なのだ。
それならば地獄と天国の2択、天国の方が相性が良いような気はする。地獄で魅了とかサキュバスに違いないし。
てことで俺は狐に守らせるように言ってから、天国花に進化するように念じて意識を失う。
そして目が覚めると純白すぎる花になっていた。まぁ見た目なんてどうでも良いので、守ってくれたナキにご褒美の蜜をあげてからステータスを確認すると、新しい能力が現れていた。
祝福 Lv.-
従属しているモノに潜在値を覚醒させる祝福を与える(1)
祝福を受けているモノが吸収した『核』の半分を同時に自分も吸収する
うーん強すぎる。もう完全にニート生活真っしぐらな気しかしない。
現在俺は手足も動かせない、可能な事は蜜と花粉を操るだけの花である。なので核を手に入れる方法は魅了してから自殺を促せばもしかしたら…?程度だし、何より従属できるならば可能な限り護衛にしたい。
そんなあなたに自動核収集機!って言えるほど痒いところに手が届く能力だ。
それに潜在能力によって力の上昇率が変わるというのも少し面白い。
俺はすぐナキへ祝福を与えると、前のような進化というほど形は変わらなかったが、姿が以前よりも純白に近づく。
そして雰囲気からしても、かなりの強化がされているように感じられた。この状態で今、従属せずに現れとしたら間違いなくなす術なく敗れるとだけは断言できるくらいには強くなっている。
"今なら誰にも負けないです!!"
絶対に竜には勝てないとは思うが、本人も力の上昇がわかっているようで、俺により一層仕えられると喜んでいる。
しかし俺は『核』の確認のためにも、いつも周りで食事として狩っているような獲物をお願いすると、可愛く「わかったです!」と言って動き出した。
それから数十秒後にステータスとは違う半透明な画面が開いた。
初めて『核』を獲得しました。
天国花(32/100000)
所持核 32
超成長 Lv.32
光合成 Lv.32
睡眠 Lv.1
経験値獲得(100)
魅了 Lv.10
魅惑の花粉を撒く(1000)
支配 Lv.1
従属させる蜜を出す(1000)
祝福 Lv.1
従属しているモノに能力値を上げる祝福を与える(1000)
従属獲得核の半分別途吸収。
いやそういう変わり方するの?てか祝福の解説も簡略化されてるし。
まぁ他はおそらく()の中が核の必要値で、レベルがそのままレベルの値に繰り越したのだろう。
確かに核を知らない状態で、進化しても上がらないレベルってのは悩みの種にはなっていただろうけど……そう思うと仕方ないのか?
それで次は今後の方針か。とりあえず100の核を手に入れて睡眠のレベル上げ、進化の効率を上げるのが1番良い気がする。
だけど核を効率よく稼ぐために従属たちを強くするのもひとつ……いやそれだと竜に目をつけられるかもしれないし、それは進化も同じか。
悩みに悩み抜いた末、結局は獲得数値が低い順に満遍なく上げる事にする。
ていうか今思ったけど、この獲得した核の数字が経験値倍率と同じになっている。
俺は恐る恐る超成長の詳しい解説を求めるように念じてみると、思ったとおり、獲得経験値に加えて獲得核も倍率がかかるようになっていた。ちなみに調子に乗って睡眠も確認してみたが、そちらに変化はなかったので核による強化で追加されることを期待しておく。
でも改めて感じたが、やはり超成長こそがこのシステムにおいてのバランスブレーカーだった。いや、まず花に自我やステータスがある時点でおかしいんだが。
てことで俺は核の効率も上げるために、狩りから戻ってきたナキへ、自我があってナキと同じくらい強い生物を生け取りか、誘い込むようにお願いする。
"やっとお花さまのお役に立てるようで嬉しいです!!"
そんな愛くるしい返事に癒されながら、俺は無理をしないように言い聞かせながら見送る。
それから数分後、ナキは憔悴しきった1匹の黒い狼を口に咥えて持ってきた。その狼は殺される覚悟を決めているようにうっすらと目を開けていたので、どうやらナキとの戦闘に敗れたのだろう。
そういえばナキのステータスとか聞いた事無かったし、狼を魅了したら色々と今の戦力とか確認してみるか。
という事で俺はナキに拘束を解かせ、久しぶりに魅了の花粉操り、そこそこの濃度で狼の口元に集中させる。するとレベルが上がったのもあって強すぎたのか、狼は凛々しい表情から打って変わり、ベロを出して表情をぐちゃぐちゃにした。そして蜜の方向へと誘い込まれ、遂にはお腹を上に向け、口を開けたのだった。
そうなれば後はその中に蜜を一滴垂らしてあげるとあら不思議。いかつい黒い狼が従順な白い狼へと変わったとさ。変わりすぎだろ。
まぁおそらく同時に祝福も与えたから天国要素多めで進化したのだろう。
"ハァハァ!なんなりとお申し付けください主様!命をもってお仕えさせてください!"
興奮しながらもしっかりと従順なのがわかる文言。しかし見た目ではわからなかったが、声色的に凛々しそうなメスのようだ。まぁ魅了されて凛々しいのは声だけになってしまったが。
そういえばナキも声色が高くて、子供のオスなのかメスかを聞いた時にメスだと言っていたので、前世の性別が加味されて魅了が異性限定の可能性はある。
そうなると今後戦う時に勝手が変わっていくので、早めに実験しなければいけない。そのためにも多くの生物で花粉と蜜を試していくべきだろう。
それからどうやらナキが連れてきた狼はこの森の黒狼という種族の族長だったらしく、まだ部下たちが沢山いるそう。
この白くなった狼がナキに負けたのは仲間にも見られているので自動的に族長は次に強い人物を変わるらしいので、また花粉やら蜜やらの工程が必要だそう。
てことで銭は急げ。そうと決まれば、2人の能力を確認する前に黒狼族を白狼族にして、俺たちの護衛隊にするしかない。
1日に使える蜜の回数も決まっているので一度にはできないが、徐々に実験もしながら増やす方針にする。
という事で、ナキと白狼…はこれから増える事になるし、管理も一任する予定なので名前必要だな。
よし、適当にシルにしよう。
"ありがたき幸せです!主様により一層の忠誠と、必ずや主様に平服しない同族のアホどもを捕らえてきます!"
これまで守ってきた同族にそんな言葉が言えちゃうこの魅了って能力、久しく忘れてたけどおかしいよね絶対。
俺は新しく生まれた配下に少し引いてしまいながらも、たまに飛んでいる竜にバレないよう細心の注意を払って他の狼を連れてくるように命令する。
さて、たくさん蜜出すぞー!!
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