第15話 最奥へ(上)
フロアボスを探すが、一向にそれらしきものは見つからない。
他にモンスターももういないみたいだし、どうなってるんだ……?
「ここが最深部っていうわけでもないよね……?」
ダンジョンの最深部になにがあるのかは、知られていない。
なぜなら、ダンジョンの最奥に到達した人間はまだいないからだ。
だが、科学者たちによって研究は進んでいる。
人類はブラックホールを観測する前から、数式によってその存在を予見していた。
科学者たちの仮説では、ダンジョンの最奥には、ダンジョンコアなるものが存在しているらしい。
ダンジョンコアらしきものも見当たらない。
なら、フロアボスは一体……?
そのときだった。
――ゴゴゴゴゴゴ。
僕の足元が揺れる。
すると、地面から、岩でできた、大きな腕のようなものが生えてきた。
「うわ……!」
僕はすんでのところで、地面からのパンチを避ける。
どうなっているんだ……?
かと思うと、今度はダンジョンの壁から、岩でできた巨大な腕が生えてきた。
そして僕を攻撃してくる。
「わわ……!」
何度も攻撃を避けるが、次々に岩の腕が襲い掛かってくる。
まさか……!
『これ……もしかしてゴーレムか……?』
『だな……ゴーレムだわ……』
『中層のゴーレムと同じ仕組みだな……』
『まあ深層のゴーレムは桁違いに強いだろうけど』
『こいつはデカすぎるな……』
そう、こういった攻撃を仕掛けてくるモンスターに、心あたりがある。
それはゴーレム種のモンスターたちだ。
ゴーレム種のモンスターは、ダンジョンの壁や床の中に住んでいて、ダンジョンの壁を使って攻撃してくる。
なるほど……フロアボスが見つからないわけだ……。
フロアボスであるゴーレムは、このダンジョンのフロアそのものだったのだ。
普通、中層や下層で現れる弱いゴーレムは、ここまでの大きさじゃない。
だから、せいぜいが岩に隠れたりする程度のものだ。
だが、今回の深層ゴーレムは、ダンジョンのフロア全体に巣くっている。
僕は攻撃を避けて、ダンジョンの中を走り回る。
だけど、ダンジョンフロアのどこにいっても、ゴーレムの攻撃はやむことはなかった。
しかし……こいつ、どうやって倒せばいいんだ……?
腕を捕まえて、食いちぎろうにも、腕はすぐに引っ込んで、ダンジョンと同化してしまう。
なんとか攻撃を加えたいが……。
「えい……! 【強打】……!」
僕はゴーレムが出てきた壁を、殴ってみる。
すると、ダンジョンの壁に大きな穴が空いた。
だけど、ゴーレムにダメージを与えられた気はしない。
「だめか……」
ゴーレムの本体、ゴーレムコアがどこにあるのかが問題だ。
おそらくゴーレムコアは、このダンジョンの壁全体を自由に移動できる。
だから、ダンジョン全部を壊せばいいんだろうけど……。
そんなことしたら、このフロアごと僕も埋まってしまう。
なんとかゴーレムを壁から外に追い出せないかな……。
僕にいまあるスキルでできること……。
「そうだ……! 【毒の息】!」
僕は思い切り息を吸い込んで、毒の息を放った。
そして、何度も何度も、毒の息を放つ。
すると、どんどんダンジョン内に毒が充満していく。
『おいおいなにやってんだ?』
『自殺か……?』
『いやまて霧夜は毒耐性があるから平気だ』
そして毒の息は、ダンジョンの壁の隙間にも入っていく。
ダンジョンの壁はレンガのようになっていて、ところどころ隙間が空いていた。
そして壁に毒の息が浸透していき――その奥に潜む、ゴーレムコアのもとまで到達する。
すると、ダンジョンの壁から、まるで染み出るようにして、ゴーレムが浮き出てきた。
岩でできた腕が、ダンジョンの壁から追い出される。
そして腕の先には、真っ赤な丸いゴーレムコアが……。
「そこだ……!」
僕は思い切り、ゴーレムコアを殴りつける……!
――バリィン!!!!
見事、ゴーレムコアを破壊して、ゴーレムを討伐することができた。
僕の足元に、岩でできた腕が落っこちる。
「これも……もちろん食べれるんだよね……?」
僕は恐る恐る、ゴーレムの腕にかぶりつく。
まあ、悪食スキルがあるから、石でも岩でもなんでも食べられる。
あまりおいしくはないけどね……。
「うん……もぐもぐ……いける」
名前:
レベル:1
HP:182,469
MP:30,830
攻撃:31,288
防御:26,949
魔法攻撃:15,364
魔法防御:18,976
敏捷:25,990
運:20,542
スキル:【空腹】【悪食】【毒耐性】【暴食】【嚙み千切る】【神速】【強打】【火炎斬り】【毒牙】【毒の息】【穴を掘る】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます