ワールズ博士の周遊記

麦枝

第0話 プロローグ

 世界には科学的に説明のつかない事象がよく確認されている。

 いわゆる幽霊やUMAのような未確認物体や奇妙な形の雲のような……

 まあ例を挙げると限りないのだが、誰しも人生の中で一度くらいは不思議な体験をしたことがあるんじゃないだろうか。

 

 それらの”謎”は果たして真実なのか、幻なのか。

 人類はいまだ掴むことができていない。


***


「先生さよなら!」


 伝統的なつくりをした教室の中で学生が僕に声をかける。


「ああ、さよなら。

 気をつけて帰るんだよ」


 僕の名前はレイク・ワールズ。

 この国最古の大学、ブラックストーン大学で教鞭をふるう教師の一人だ。


 教師といっても、僕は学生とあまり変わらない歳で、よく学生からいじられてしまうんだけどね。


 主に民俗学や考古学について教えている。

 ごくごく普通の大学教師といった平凡な人間だ。


「ふう、今日も疲れたな……」


 一般講義棟から長い廊下を抜けると、僕の研究室がある。

 この部屋には世界中から集めた重要な資料を押し込んでいるため、半ば倉庫のようになってしまっている。


 僕は研究室の扉を開けるとすぐに、自分の椅子に座った。

 もう7時を回っている。

 今日一日の疲れがどっと押し寄せた。


「今日も疲れたなー、ああそうだそうだ」

 

 僕の目に留まったのは、机に置いてあった粘土板であった。


「これを調べてほしいってことだったっけ」


 この粘土板は先週くらいに学生の一人が持ってきたものだ。

 考古学の分野ではよく見る普通の粘土板である。

 ただ表面にはヒトデのような絵が刻まれている。


 そしてその中央には、あきらかな目が描かれていた。


「何なんだろう、この絵は。

 この粘土板は内陸で発掘されたはずなんだけど……」


 僕は普通の大学教師だが、裏ではこのような謎の物体を調査している。

 人類はまだまだ見えていないものが多い。

 

 この物語は僕がそんな謎を追い求める話だ。

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ワールズ博士の周遊記 麦枝 @sasakikakaka

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