アオバも青葉
リーフェスタ城最上階の、展望フロア。
私は青葉と並んで、リーフェスタ王国を見わたしていた。
「う、わぁ……!」
海も、森も、太陽も、宝石みたいに輝いている。
「ここは、ぼくのお気に入りの場所。芽衣姉ちゃんも気に入った?」
「うん。すっごくきれい」
戦争が終わって、もうすぐ一週間。
青葉たちは、ねる間も惜しんで国のために働いていた。
こわれた建物を修理したり、スパイの処分を決めたり、やるべきことは山積みだった。
ようやくひと段落ついて、私は青葉にお気に入りの場所に連れてきてもらっていた。
「……ぼくがキューターリーフになった理由は、アカネ姉さんや王国を守るためだった」
「うん。アカネから聞いたよ。すごいね、みんなのために」
「それだけじゃないんだ。ぼくは、芽衣姉ちゃんのいる世界に帰るため、キューターリーフになった」
「え?」
キューターリーフになることが、現実世界に帰ることにつながるの?
「三年前、シロウ兄さんが行方不明になったとき、ぼくを次期国王にしようっていう話が出ていたんだ」
「青葉が、国王……」
私は、大きな椅子に座って、マントと王冠をつけた青葉を想像してみる。似合うかもしれないけど、青葉が手の届かない存在になってしまうみたいで、ふくざつだ。
「国王になると、お城から出ることもできない。それに、こうやって芽衣姉ちゃんが来てくれても、王様が国を投げだすなんてできないよ。だって」
その先の言葉は、私が続ける。
「アニメの中だろうと、アカネやシロウ、みんながここに生きているから。でしょ?」
「さすが、芽衣姉ちゃん」
「それで髪の毛を伸ばして、女の子の格好をする? すごい発想するなぁ」
「昔、芽衣姉ちゃんが着させてくれたおかげで慣れていたよ。スカートって、結構動きやすいんだよね」
へへ、と笑ってから、青葉は私を見つめてくる。
「それにさ、キューターリーフになれば芽衣姉ちゃんに、見つけてもらえるって思ったから」
「……うん。そうだね」
私は青葉と、王国を見おろす。
「さらに明るくなったなぁ、リーフェスタ王国」
「中心にいるのは、アカネ姉さんだよ。もう姫じゃなくって、国王だけどね」
「え? でも、国の決まりで、国王は男の人だけって……」
「この非常時に、悠長なことは言っていられません」
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