第18話学園祭三日目

 学園祭3日目。


 学園祭が始まって、3日目になっていた。


「暇だな。」高橋が学校のベンチに寝ころびながら言った。


「そうだな。」さとるが返事をした。


 この二人がこうなった経緯を説明しよう。


 さとるは、2日間頑張りすぎてクラスの子に休んでいいよと言われた。


 そして、高橋は山口と学園祭の休憩時間が合わずに暇をしていた。ということだ。



 そんな時だった。かわいい他校の女子生徒が高橋の前を通った。


「今の子かわいくなかったか。どこの学校だろう。」高橋は気になって後をつけようとした。


 それをやばいと思ってさとるは言って止めた。


「やめとけよ。山口にまた怒られるぞ。」


「そうだな。でもばれないならいいんじゃないか。」高橋が暴走しそうになったのをさとるが止めた。


「ほんとに止めとけ。」


「周りが女の子だらけのさとるにはわからないよ。」高橋がさとるにそう言うとたまたま通りかかった藤崎が声をかけてきた。


「君たちなにしてるの?」


「聞いてくださいよ。」そう言ってさとるは藤崎に事情を説明した。


「それは高橋が悪いね。」藤崎が高橋につっこんだ。


「そんなぁ。でもりのちゃん意外に可愛い子いたら先輩でもそっち行っちゃいますよね。」高橋が藤崎につっこんだ。


「そんな事しないよ。高橋お前浮気性だな。山口に愛想つかれても知らないからな。」藤崎は高橋に言った。


「そんなぁ。」高橋がそう言ってため息をついていた。


「まあ色々あるけどお互いみんな頑張ろうぜ。」藤崎は2人にそう言って用事に向かった。


 2人はまた暇になった。


 すると桜が今度はやってきた。


「男2人で何やってんのよこんな所で。暇なら教室戻って手伝いなさい。」桜が言った。


 そして2人はそれを言われてそそくさと逃げるのだった。


「なんで俺まで逃げてることになってんだよ」さとるは少し高橋に怒った。


「ごめんごめん。謝罪をこめてなんかおごるわ。」高橋は謝った。


「じゃあクレープ奢ってくれ。」


「わかったけどセンスかわいいな。」高橋は思わずクレープという言葉にくすっときた。


 1年の他のクラスがクレープを売っていたのでさとるは高橋におごってもらった。


 さとるは値段の高いやつを選んだ。


「また小遣いなくなったわ。学園祭で遊び過ぎた。」高橋はショックをうけてその場で倒れた。


 高橋はすぐ元気になってまた学校内を2人で探索していた。

「男2人でクレープなんか食べて彼女いないと思われてる気がしてきた。」高橋はさとるによくわからないことを言い出した。

「は?」さとるは意味が分からなかったがなんかむかついた。


「やっぱ俺教室戻ってひなの手伝ってくるよ。」そう言って教室に高橋は戻った。


 1人になった。

「モテないってつらいな。」クレープを食べながらさとるは思うのだった。


 夜になり、学園祭も終わった。


 3日目の最後はみんな待ちにまったキャンプファイアーだった。


 先生達がキャンプファイアーの準備をしていた。


「いよいよだね。」桜が言った。


「桜ちゃんは誰もいないの?」山口が聞いた。


「私はいないよ。そういえば私以外彼氏いるんだね。」桜が答えた。


「そうだね。で、問題児のさとるはどうするの?」りのが聞いてきた。


「俺はクリスマスまでに告白するからパスかな。」さとるは言うと桜が言い返した。


「まだ言ってるの?これ逃したら言うタイミングほんとに失うわよ。」


 さとるは帰ろうとしたが桜に足止めされてキャンプファイヤーの会場まで無理やり連れていかれた。


 準備がおわり、みんなそれぞれ男子と女子のペアになってキャンプファイヤーを囲ってフォークダンスを踊っていた。


 さとるが諦めて桜に内緒で帰ろうとした時、もなの姿が見えた。


 もなの後ろには背の高い生徒会長が一緒に立っていた。

「あとは俺はしとくから好きにクラスの子と絡んできなよ。」生徒会長が言った。


「でも、まだいっぱい後片付け残ってますよ。」もなは生徒会長を心配した。


 心配だったが、もなはその言葉に甘えて友達の所に行こうとしていた時の事だった。


 もなとさとるは目が合った。


「行ったら。」桜がさとるの肩を押した。


 さとるはもなに声をかけた。


「一緒に踊らないか?」


「別の子にしたら。ほら同い年の桜ちゃんとかいるし。」もなはさとるにそう言うとさとるが答えた。

「もなはそれでいいのか?」そう言うともなは答えた。

「嫌だよ。」もなは泣いていた。


「もう一度言うからちゃんと聞けよ。」さとるがもなにそう言うといきなりさとるは叫んだ。


「すきだああああああああああああああああああ」周りは騒然とし、もなは泣いて喜んだ。


 そして2人はフォークダンスを踊った。


「下手だな俺達。」さとるがそう言うともなが言った。


「こう言うのは気持ちの問題だから大丈夫だよ。」


 さとるはその言葉に納得してもなと終了ぎりぎりまで踊っていた。


 帰り道りのは空気を読んで2人きりにしてくれた。そして帰り道歩きながらもなとさとるは2人で喋ってマンションに帰っていた。


「まさかあんな叫ぶとは思わなかったよ。」もなはさとるに言った。


「まああれしかなかっただろ。もな言い訳ばっかだし。」さとるがそう言うともなが言い訳した。

「そんなことないよ。私意外と正直者だよ。」もながそう言うとさとるが言い返した。


「嘘つけ。今日も桜にしろとか言ってたじゃんか。」もなはそれを聞いてごめん。と謝った。


「そんな事よりさ。いつから俺の事好きだったんだ。」さとるはもなに聞いた。


「内緒。」もなはかわい子ぶって言わなかった。


 そんな会話をしているとマンションに着いた。


 いつも通りマンションのエレベーターで別れた。


「またね。」お互いそう言って別れたが、今までと違う。そんな感じになったが、2人はまだわからなかったのだった。

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