第17話学園祭2日目

 文化祭2日目

 朝学校に来て昨日の売り上げを会計担当のクラスメイト男子が計算していた。


「計算速いな。」さとるが声をかけた。

「簿記3級夏休みに取ったからな。計算楽しいしな。」あまり喋ったことなかったが、いわゆる数学オタクの生徒だった。

 会話を終えて、さとるは宣伝のチラシを整えてた。


「今日は何すればいい?」さとるがそう聞くと宣伝のチラシを配る係になった。


 宣伝か。さとるはクラスにいないから今日はすこしさぼれそうだなと思った。


 学園祭が始まって、さとるは宣伝のチラシを校門前で配っていた。


 つまんねーなと思っていた。


 さとるはさぼるつもりもなかったが、少しだけいいだろと思い、2年の藤崎がやっている粉もの屋に行ってたこ焼きを食べてさぼっていた。

「藤崎先輩食べに来ましたよ。」さとるがそう言うと藤崎はたこ焼きを焼いていた。

「来てくれてありがとうさとる君。でもさぼったらだめだよ。」

 チラシを持っているのを見てばれた。

 たこ焼きを買って藤崎の教室で食べていた。


 食べていると珍しい組み合わせの2人がやって来た。

「あ、さぼってる。だめだよちゃんとチラシ配らないと。」新庄が言ってきた。

 すると隣にいた相沢も注意してきた。

「ほんとだよ。」

「お前らこそ何してるんだ。」2人にさとるは言った。


「わからない?付き合ったんだよ。だから一緒に回ってるんだよね。」新庄が説明してきた。

 さとるはびっくりして一瞬腰が抜けた。


 さとるが腰が抜けたのをみて周りの生徒はびっくりしていた。


「嘘だろ。スピード交際みたいじゃん。初めてリアルで見たわ。」さとるは新庄と相沢に言った。

 どうにも、新庄の一目ぼれだったらしい。


 確かに今思えば、林間学習から帰って来てからずっと新庄が相沢に声をかけていたなぁと言う事を思い出した。


 俺はさぼっているのを黙ってくれと言って新庄と相沢と別れてすぐ、チラシ配りに戻った。


 チラシ配りをしていると、母親と父親が1日遅れでやってきていた。


「昨日来なかったの?」さとるが聞いた。


「昨日はお父さんが仕事の急用が入ってこれなかったの。」母親がさとるに言った。


「りのなら教室で受付してるから行ってあげたら。」さとるはそう言って母親と別れた。


 校門でチラシを配っていると交代の男子生徒が来た。


「相原君交代するよ。」


「ありがとう。でもあんまりさぼるなよ。」さとるは冗談を言った。完全にブーメランだが。


「さぼらないよ。」男子生徒は真面目に答えた。


 1人になってクラスに戻ると桜が暇をしていた。


「なにぼーっとしてるんだ。」さとるがそういうと桜は答えた。


「誰と回ろうかと悩んでいたところよ。」


「そうなんだ。」さとるは言った。


「俺も暇なんだ。一緒に回るか。」さとるがそう言うと桜が言った。


「別にいいけど。あんた彼女とか誘わないの?」


「いたら良かったんだけどな。いないしな。」そう言うと桜が言った。

「もなちゃんに決まってるでしょ。誘いなさいよ。」桜が言ってきた。


「あいつは忙しいから無理だよ。」諦めながらさとるはもなに言った。


 結局さとると桜の二人でまわることになった。


「どこ行く?」桜が聞いた。


「別にどこでもいいぜ。」そういうと、桜が言ってきた。


「じゃあ講堂でやってる軽音部のバンドでも見に行かない?」


「面白そうだな。」さとる達は二人は、講堂でやってる軽音部のバンドを見に行った。


「あれ藤崎先輩だ。」さとるはびっくりした。


「藤崎先輩ってりのの彼氏の人だよね。」桜はさとるに確認した。


「そう。だけど何してるんだろ。」さとるは答えた。


 そう思っているとりのがやって来た。


「間に合った。あ、桜とさとるじゃん。」りのがこっちに気づいた。


 するとライブが始まった。


 藤崎はMCしてしゃべったり、ボーカルで流行りの曲をカバーして歌っていた。


 頭がいいからMCできるのはわかるが歌もうまくて真逆だなと思ってさとるは少し自信をなくした。


 軽音部のライブが終わり、さとる達は教室に戻った。


 すると高橋がさとるに寄って来て言ってきた。


「お前また女の子と学園祭回ってたな。なんでお前だけそんな感じなんだよ。」

 そんなことを喋っていると山口が寄って来た。

「そんなに私じゃ物足りないのか。」山口は鬼のように高橋に怒った。


「ごめんひなの。冗談だよ。冗談。」半笑いで逃げる高橋を山口は追いかけていった。


 さとるは相変わらず仲いいなと思うのだった。


 教室で休憩してるのもなんだしと思い、調理を手伝っていた。


 1日目にあんなハプニングがあったおかげとファミレスのバイトが生かされてさとるはフランクフルトを誰よりも早く焼けるようになっていた。


「速いね。商売できそう。」一緒に焼いていた男子生徒に言われた。


「それは無理でしょ。まだ高校生だし。」さとるはつっこんだ。


「それもそうだね。」男子生徒が言ってきた


 その会話をした後、お互い作業を黙々と進めた。


 学園祭も終わり。帰る支度をした。


 帰り道さとるは考えていた。最近ファミレスで働いていた時も思った。


「料理人って意外と面白そうだな。」


 そんな事気持ちをなんとなく胸に思い、家に帰るのだった。

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