第9話初バイトそして尾行

 さとるは学校にも馴染んできて、そろそろバイトでも始めようと思って求人雑誌を学校で見ていた。


「どこにしようかな。」


 求人雑誌を見て悩んでるさとるの所に、高橋がやって来た。

「どうしたんださとる。バイトでもするのか。」


「そうなんだけど、どこがいいか悩んでるんだよ。」


 さとるがそう言うと高橋が求人雑誌をちらっと見て言ってきた。


「こことかどうだ。目つきの悪いお前にはぴったりじゃないか。」

「目つきが悪いは余分だぞ。」さとるは言い返した。

 高橋が指をさしたのは、ファミレスの裏方バイトだった。

 近所の店でさとるには、ちょうどよかった。

「時給もいいしちょうどよさそうだな」

 さとるは高橋の意見に耳を傾けた。


 さとるは放課後さっそく面接をするために電話をした。


 後日面接をして、無事合格の連絡をもらった。


 次の週から遅番で入るようになった。


 夕ご飯はファミレスのまかないをもらって食べていた。


 そんな時だった。


 休憩中外で空気を吸って休憩してると山口と高橋が店に夜やってきて、店に入っていくのが見えた。


 外で休憩していると、先輩がやって来た。


「友達来てるらしいぞ。行ってあげたら。」


「わかりました。」そう言ってさとるは高橋と山口の元に向かった。


「よ。ちゃんと働いてるか。」


「言われなくても働いてるさ。お前たちは部活帰りか。りのは誘わなかったのか」さとるは高橋にいうと高橋はさとるに言った。


「空気読んでくれたんだよ。」


「お前たちもそういう感じになったのか。」さとるがそういうと、嬉しそうに高橋がちょっとてれながらこそっと耳元で言ってきた。


「そうなんだけどよ。まだ告白とかはしてないんだ。むずいな。」

 それを聞いてさとるは頷いた。


「何2人でこそこそと話してるの?」山口がそういうと2人は誤魔化した。


 そうしていると休憩時間も終わりさとるはバイトに戻るのだった。


 バイトが終わって家に帰るのはいつも8時くらいだった。


 さとるが帰ると父親がリビングにいた。


「おかえり。」


「ただいま。」


「そういえばバイト始めたんだってな。欲しいものでもあるのか。」父親はさとるになんとなく聞いた。


「いや、別ににないけど今度友達と海行くからってのもあるかな。」


 そういうと父親はがんばれよ。とだけ言ってテレビの続きを見た。


 さとるたちは放課後そろそろ夏休みの企画を立てることにした。

 もなと藤崎もさとるのクラスにやって来た


 もなと藤崎はお互い知っていたが、初対面で少し緊張していた。


 1年のさとる達が先導して話を進めていた。


 結果的に電車で1時間くらいの海に行くことになった。


 近所には泊まれる宿もある。


 話は進み1泊して帰ろうと言うことになった。


 当たり前だが、男女別々の部屋になった。


 そういう話になり、みんなで学校を帰宅した。



 後日、さとるはもなに頼まれて2人で水着を一緒に買いに行くことになった。


 それを陰から隠れて尾行してる人たちがいた。


「だってさ、気になるんだもん。さとるともなちゃんだけ進展ないし。」

 それは高橋とりのと山口だった。


「そうだけど。なんか悪ことしてるみたい。」山口は不安そうにりのに言い返したがしたが高橋がさらに言い返した。


「いいんだよひなの。あいつがどんな風に過ごしているか試しているんだ。」


「そうなの?」山口はあんまり乗り気じゃなかった。


 そしていつも通りさとるともなはマンションの玄関で待ち合わせをして電車に乗って買い物に出かけた。


「なにかつけられてる気がしないか。」街でりのたちの気配に一瞬気づいた。


「気のせいだよ。有名人じゃあるまし。」もなはさとるに言った。


 それを聞いてりのたちは学校では十分有名人だよと声を出して突っ込んだ。



 さとるたちは楽しそうに買い物をしていた。


 いつものチェーンの喫茶店でもなが夢を語っているとさとるはそれを嬉しそうに聞いていた。

 それを見て、りのたちは罪悪感に見舞われた。


「なんか私たち悪いことしてない?」りのがそういうと、高橋と山口は共感して、先に店をでて帰ることにした。


 りのたちは先に家に帰った。



 一方のさとるたちはまだ喫茶店で喋っていた。


「でね、英語って結構苦手なんだよね。」もなさとるにが言った。


「意外だな。もなででも苦手とかあるんだな。」さとるがもなに言った


「あるよ。でもいろんな国の言葉はなせるようになりたいんだよね。だから今頑張ってるの。」


 さとるはそんなもなを見て改めてすごいと思った。


 後2年で自分も夢を見つけたいと思った。


 会話をしていると時間を忘れていた。



 そして、2人は電車に乗って家に帰って、いつも通りマンションのエレベーターで別れた。


 次の日。

 学校で高橋とさとるは昨日テレビでやっていた映画の話題で盛り上がっていた。


 そこにりのと山口も入って来た。


「何の話してるの?」りのがいうと高橋が答えた。


「昨日の映画の話だよ。2人ともみたの。」


「みたよ。面白かったよね。」


 そんなくだらない話をしていると先生がきた。


 学校が終わり、さとるはバイトに向かうのだった。



 バイトにも慣れてきて、さとるは調理に入るようになっていた。


 調理と言ってもレンジで温めたりするのが多い。


 さとる的には皿洗いに調理まで増えて忙しくなって内心嫌だったが、バイトだし仕方ないと思うのだった。


 休憩室で休憩していると、大学生の先輩がさとるに聞いてきた。


「高校生なのにバイトばっかりして彼女とかいないの?」

「いないですよ。」

 さとるは笑って誤魔化した。

 周りはみんな距離が縮まっているのに自分だけ距離がまだまだな感じがしたからだ。

 その日は早く帰れた。


 ちょうど入れ違いで、もなが家族でご飯を食べに来ていた。


 声をかけようと思ったが、声をかけずに自転車でその日は帰った。


 後日俺はもなと帰ってる時言われた。


「こないださとるが働いてる店にいったよ。」


「そうなんだ。」さとるは知らないふりをした。


「さとるはいなかったみたいだけどね。」


「シフトない日だったんじゃないかな。それか早く帰った日か。」


「なるほどね。今度はさとるがいるときにいくね。」


「行っても裏方だからいるかわからないよ。」

「そうなんだ。」

 2人はそんな会話をしてマンションのエレベーターでいつも通り別れるのだった。

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