第8話従妹登場そして幼馴染

 そろそろ夏休みも近づこうといていた時の事だった。


 中学3年の従妹が1人でさとる達のマンションに遊びにきた。名前は石田楓。母の弟の娘だ。楓はさとるとりのの事をお兄ちゃんとお姉ちゃんと言う。

「え、まだ付き合ってないの。じゃあ私がお兄ちゃんの彼氏に立候補しちゃおっかな。」

 楓が冗談で言った。


「馬鹿言うな。俺は今年絶対に告白すると決めてるんだよ。」さとるが楓に言った。


「そうなんだ。残念。でも無理だったら私と付き合ってね。お兄ちゃん。」楓がさとるに言った。


「無理なんて言うなよ。今仲良くなろうとしてる真っ最中だ。」さとるが楓に言った。

 楓とさとるはそんな会話をしていた。


 楓はいい奴なんだがさとるに対してだけ、たまにこういった嘘をつくが、なんかちょっとほんとに聞こえるからたちが悪い。


「お姉ちゃんは彼氏とかできたの?。」楓がりのに言った。


「できたよ。中学からの先輩だよ。勉強も部活もできてすごい人だよ。」りのが楓に言うと楓はりのに答えた。


「そうなんだ。よかったね。」

 楓が答えた後りのが答えた。


「ありがとう楓ちゃん。」

 逆にりのには、女友達みたいに接しているし、外で2人をみたら本当の姉妹みたいだった。


 そんな時だった。

 インターホンがなった。ピンポン

「さとる出てよ。」りのがそういうとさとるがでた。

 インターホンに出るとそこにいたのは、もなだった


「どうしたんだ。」


「どうしたも、なにも今日は勉強教えるって約束してたじゃない。」もながさとるに言った。


 さとるは思い出して、準備をした。


 準備をしている間女子3人で喋っていた。


 楓ともなは昔から面識があるから人見知りとかではない。


「大きくなったねぇ。来年高校だっけ。どこ行くの?」もなが聞くと楓は答えた。


「お兄ちゃん達と同じ高校に通おうと思ってる。電車で30分くらいだし。でもまあ受験受からないといけないけどね。」


「受かるよきっと。」もなは楓を励ました。

「ありがとう。」楓はもなに言った。


「昔はさとるの後ばっかついていたのにねー。」りのが昔話を持ち出した。


「やめてよお姉ちゃん。」楓は少し恥ずかしそうなそぶりをみせた。


「あ、そういえばお兄ちゃんが今年中にもなちゃんにね。あ、これ内緒だった。」楓は喋りそうになった口を止めた。


「ごめん。なんでもない忘れてもなちゃん。」そう言って楓は話を最近流行のネット動画の話に変えた。

 話が盛り上がっていたが、さとるが準備を終えて、もなと家を出ていった。


「なんの話してたんだ。」さとるが質問するともなは答えた。


「楓ちゃんの進路とかそんなかんじだよ。あとさとるがなんかとか。よくわからないや。」


「なんだそれ。」

 そんな会話をして、もなの家がある5階に行った。


 久々に、もなの家に入ってさとるは緊張した。ふだん他人の女子の部屋なんかは普段入らないからだ。


「とりあえず入って。」もながそういうと、お邪魔しますと言って入った。


 もなの部屋に行き、勉強を始める準備をした。


 その間もなは、お茶をもってきてくれた。


「それじゃあ始めよっか。」もながさとるに言った。


「うん。」さとるはもなに返事をした。


 そう言って科学の教科書を机に広げながら教えてもらうのだった。


 さとるは気になって何気なく、もなに聞いた。

「なんでいつも勉強教えてくれるの?」

「それは、勉強の復習とかにもなるからかな。あとは、さとるが留年とかなったら困るでしょ。」もなはさとるに言った。


「なるほど。いつもありがとうな。」さとるがお礼を言った。


「どういたしまして。」もながそう言って勉強に戻った。



 気づば、夜になっていて、もなの母親が用事から帰って来て帰宅していた。


「さとる君。今日食べて帰る?」もなの母親が言ってきた。


「ありがとうございます。でも今日従妹が家に来てて、家で食べます。」


 さとるは断って家に帰った。


 家に帰ると、楓とりのがお笑い番組のテレビを見ていた。


「おかえり。」2人のおかえりが重なった。


 さとるはただいまと言って自分の部屋に荷物を持っていった。


 その後楓と親とりのとさとるで食卓を囲んで夕ご飯を食べていた。


「そういえば楓俺達と同じ高校通うんだな。もなから聞いたぞ。」さとるがそういうと楓が冗談を言った。


「そうだよ。もし受かったら毎日お兄ちゃんにお弁当持っていくね。」


「それだけはやめてくれ。」さとるは即答した。

 さとるはもなだけでも、かなり周りの男子から嫌な目で見られているのがわかるのに、もなが卒業して今度は年下かよとか思われたくなかった。


「わかった。」楓はちょっと不満そうな顔をした。


 そしてその日は、楓はりのの部屋に泊まっていった。

 夜。

 りのの部屋で楓とりのが就寝前におしゃべりをしていた。


「お兄ちゃんさぁほんとにもなちゃんに告白する気あるのかな。」りのに楓は聞いた。


「どうなんだろうね実際の所。いい感じだとは思うんだけどね。あの二人喧嘩とかしないし。」

「喧嘩しないってマジ。私なんて隣の席の男子と喧嘩しまくりだよ。」楓はびっくりしていた。

「その子と仲いいんだね。」りのがそう言うと楓が答えた。

「そんなことないけどいっつもちらちら見てくるんだよね。」楓がりのに言った。


「楓ちゃんの事好きなんじゃないの?」そういうと楓は否定した。


「全然タイプじゃないし。お兄ちゃんみたいな優しい人がいい。振られたら私告白しようかな。」


 それを聞いてりのは笑った。


 そんな会話をしているうちにいつの間にか2人は就寝するのだった。


 次の日の昼頃昼食にそうめんを食べて楓は帰っていった。


 駅までさとるとりのが歩いて送っていった。


「がんばりなよ。告白。」楓はさとるの肩を押した。


「ありがとう。」さとるは楓にお礼を言った。

 そして、楓は電車に乗って帰っていった。


 家に帰ると楓がいなくなったのもあり、少し寂しくなった。


 そしてまた学校が始まる。


 相変わらず、高橋はうるさかった。


「これみろよ。さとる。よくないか。」


 それは有名アイドルのグラビア写真だった。

「そんなのばっか見ないで勉強しろよ。最近俺より成績悪くないか。」

 そういうと高橋が言い返した。

「そりゃ白石先輩に教えてもらってるお前よりは成績悪くなるよ。」


「なんで知ってるんだ。」さとるは突っ込んだ。


「りのちゃんから聞いた、部活の時。」


 さとるはりのがほんとにおしゃべりだなと思った。


 今度なんかばらしたら、売店のパンでもおごらせようと思った。


 さとるは一応りのに釘を打った。


「今度なんか喋ったら売店で昼飯おごれよな。」


「嫌だよ。」りのは言った。


「じゃあ言うな。」さとるがそう言うとりのは言った。

「わかった。」

 りのは少し不満そうなお顔をしたが、そういう事になった。


 学校が終わり、さとるはもなと一緒に帰っていた。


「あいつすぐペラペラしゃべるんだぜ部活仲間とかに。だから今日釘を打ってやった。」

 さとるがそういうと、もなは笑いながら言った。

「そうなんだ。でもりのちゃんらしいね。」


「そうなんだよ。すぐ喋るのほんと余計だわ。誰に似たんだろ。」


 あまり会話には出てこないが、お父さんがたまに友達の事をペラペラとしゃべることがある。多分そういう性格に似たんだろうとさとるは思った。


 そんな会話をして、いつも通りエレベーターの4階で二人は別れた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る