第7話音楽祭と試合

 さとるの通っている学校には音楽祭がある。


 音楽祭とは、放課後や音楽の授業で合唱の練習をして、全学年の前で合唱をするという学校行事の事だ。もちろん全学年全クラスがやる。


 さとるはめんどくさがっていたが、りのは結構楽しんでそうだった。


「さとるやっぱ音痴だね。」りのに言われて言い訳できなかった。


「音痴だから仕方ないだろ。」そういうしかなかった。


 さとるは毎年こんなのが行われるくらいならボイトレに行こうか一瞬悩んだ。


 結局いかないが。


 そんな感じで本番当日の日。


 さとるのクラスは合唱をした。


 音痴なりに頑張った。



 全学年の発表が終わり、講堂からの帰りの途中にもながさとるたちによって来た。


「よかったよ発表。さとるも音痴だけどすごく頑張ってたし、それにりのちゃんうまいね。」

 もなは2人をほめた。


「もなだってがんばってじゃないか。ピアノ演奏。」さとるはもなを褒めた。


「久々だったから緊張したよ。」


 もなのお母さんはピアノが得意で、もなもその影響もあってピアノを演奏できた。


 ピアノを演奏できるが、受験があるのであまり最近は触れてなかったらしい。


 そんな会話をしながらお互いの教室に帰った。


 教室に帰ると、さっそく高橋が声をかけてきた。


 どうやら朝言い忘れたことがあったらしい。


「お前さ。もしだよ。もし、幼馴染が自分の事好きだったらどうする?」


「え、そうだな。わかってるなら告白するかな。でもそれがどうした。」さとるが高橋に言った。


「そういえばさ、ひなの。山口の事なんだけどさ。どうにも俺の事好きそうなんだよな。」高橋がさとるに言った。


「そんなのわかるのか。」さとるがそういうと高橋は答えた。


「わかるよ。何年幼馴染やってると思ってんだよ。俺が、りのちゃんに振られてからずっと機嫌いいし。」高橋がそう言うとさとるはつっこんだ。

「いや、告ってはないけどな。そもそも俺の妹に手を出すな。」


「そうなんだけどさ。俺に対する態度は変わってないんだけど、最近学校の帰りによく遊びに誘われたり、街でかわいい子いたら他の女の子見ないでとか言ってくるんだぜ。」高橋はさとるに言った。



「とにかくさとるはどう思う?」高橋はさとるに相談した


「俺なら告白するかな。その感じなら先に告白されそうな感じするからな。」


「わかった。じゃあ俺は旅に出て身を隠すことにする。」高橋がわけわからないことを言い出した。


「なんで身を隠すんだ。」さとるが高橋につっこんだ。


「だってひなのっていつもは楽しそうにしてるけど、結構部活とか厳しくて怖いもん。」


「なるほどな。」



 そんなしょうもない会話をしていると、先生がやって来た。


 ホームルームの時間も終わり、下校した。


「とにかく、まあ頑張れよ。」さとるはそれだけ高橋に伝えて学校を後にした。


 次の日、さとるはいつもの4人で喋っていた。


 さとるは、みんなの前であることを提案した。


「そういえばまだ先の話なんだけど夏休みみんなで海行かないか。」


 1番最初に反応したのは、高橋だった。

「いいな。もちろん白石先輩連れてくるよな。」


「そのつもりだけど。」さとるがそういうと高橋はガッツポーズをした。


「白石先輩の水着最高だろうな。」口に出しながらに高橋がにやけているととすぐさま山口が突っ込んだ。


「おい。」

「ごめんなさい。」高橋もすぐ謝った。

 りのは藤崎先輩を連れてくるみたいだった。

 そんな感じで夏休み海へみんなで行くことが決まったのだった。

 さとる的には、もなと一緒に水着を買いに行けて、海にみんなでいけて一石二鳥だと思った。


 とある休みの日。


 さとるはもなからメッセージをもらった。


 メッセ―ジ 今日暇なら近所のグラウンドでりのちゃんの試合やってるからみにいかない?」


 さとるはすぐさま返信した。

 メッセージ 行ってもいいよ。

 りのの応援に行くのはなんか違う気がするが、もなと2人でいられるなら別にいいかと思い、すぐ連絡した。


 そして支度をして、マンションの玄関で待ち合わせをした。


 待ち合わせて、近所の大会が開かれる大きなグラウンドがある公園に行った。


 そして2人で応援をしていた。


「思ったより成績伸び悩んでないじゃん。少し心配して損した。」さとるはそう思った。

 さとるが見ても同じ学年の中ではかなり早く走っているほうだった。


「速いね。りのちゃん。ダントツだね。」もなもそう言って安心していた。


 りのは結局気づけば決勝まで行っていた。


 決勝で勝てば今度は県大会だ。


 走っているりのよりさとるともなのほうが緊張していた。


 結果。負けてしまった。


 りのより少し早い女の子がいたからだ。


 りのは遠くから見てもわかるぐらい悔しんでいた。


 観客席からだったからわからないが、藤崎先輩にも励ましてもらっていた。


「帰ろうか。」さとるがそういうともなが言ってきた。


「さとるはもう陸上しないの?」


「俺はしないよ。センスがなかったんだ。りのみたいに。」


「そうなんだ。すこし残念だな。部活してる姿好きだったのに。」さとるはそれを言われて少し嬉しくて、一瞬またやろうと思ったが、今からじゃ遅いと思って諦めた。


 そして、2人でりのより先に家に帰った。


 帰ってくると母親がパートから帰ってきた。


「どっか行ってたの?」さとるに母親が聞いた。


「ちょっともなとりのの応援に行ってた。」


「珍しいわね。」母親にそう言われてさとるは自分の部屋に行った。


 りのが後から帰って来た。


 グラウンドでは残念そうな顔をしていたが、帰って来た時には次は頑張るぞといわんばかりの顔をしていた。


 さとるは兄妹なのに、自分と違って度胸があるなと感心していた。


 この日から夕ご飯を食べたら、練習に毎日走りに行くようになった。


 朝練も相当きついのによくやるなぁーとさとるは感心していたのだった。

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