第34話 コルマール観光?なのです!
9月8日―A.M.0:04―フランス・コルマール郊外・サンクリート教会―
約束の後、お酒を飲み直していた三人。
すると突然ティファナからこんなことを訊かれた。
「あ、そういえばいつまでここにいるの?ノア」
「大きな一件も片付いたので、しばらく、具体的には一週間程度はいるのです」
「ふーん……それは嬉しいわね。で、何なのその大きな一件って?」
「まぁ、それは言わないお約束なのです」
まぁ、言えないわな。
「ま、大体目星は付いてるけどね」
「そうなんですか?」
「ええ、この子のいるISISはおそらく世界中で色々やってるテロ組織とかなんやらをターゲットにしてるんでしょう。で、最近あったそんな世界を騒がせたニュースと言えばフランスの実業家、フィリック・クルーガー逮捕。罪状は武器の密輸やら何やらだっと思ったけど…。まぁ、ノアがそういう案件を担当してるんだろうなって思うとね、今回はこの一件とは一枚噛んでてもおかしくないってことだね」
「ほー……あのニュースはどこのテレビ局もやってましたもんね」
「ま、そんなところなのです」
「ふーん……なんかまだ噛んでそうね」
「それ以上はいけないのです」
いつもより大げさな笑顔でノアが二人を見る。
二人も流石にこれ以上は踏み込んではいけないと思ったのかこれ以上は何も言わなかった。
笑顔は本来威嚇のための行動だとはよく言ったものである。
「で、明日はなにするのかしら?」
「明日はここで一日のんびりするのです」
「そうね、それがいいわ。最近何かと物騒だしね」
「なにかあったのです?」
「ええ、コルマールで失踪事件があったんですよ」
へーっと言った顔をするノア。
仕事柄特に驚きはしない様子。
「で、個人的には気になるんですよ。それ」
「うーん……まぁ、ノアちゃんも無関係じゃないし言っておこうかな」
「ほぅ、ますます気になるのです」
「えっと、つい一ヶ月ほど前から少年、少女が姿を消すようになりました。もう五人も消えました。遺体も特に見つからず、本当に姿を消したみたいになっています。現在も警察が捜査しているんですけどね………未だに手がかり一つ見つからないんですよ……で、ノアちゃんてロリ体型じゃないですか。だからくれぐれも気をつけてくださいね」
「なるほど……わかったのです」
まぁ、ノアはイカ腹ロリ体型だからね。仕方ないね。
「間違って連れ去られたりしないでねー」
「まぁ、私より孤児院の子たちの方が心配なのです」
「だから最近はあんまり子どもたちだけでどこか行かないようには気をつけているわ」
「それがいいのです」
軽く話してからこの三人も子どもたちと同じ様にベッドに横になりにいった。
◇◆◇◆◇
9月12日―P.M.3:30―フランス・コルマール市街―
あれから数日後、ノアとアンジェは孤児院のちびっこを伴ってコルマールの市街で買い物をしていた。
「へー…こんなところにクレープ屋建ってたんですね」
「ふむ…お姉ちゃんが奢ってやるのです」
「ゴチになりますよー。ダイヤちゃん」
「「「やったー!」」」
ということでサクッと購入。
アルクとアンジェは定番のチョコバナナ。
ノアはブリュレを載せたクレープ。
アンナはストロベリー。
ミーネはストロベリーレアチーズ。
「ふむ、美味しいのです」
「ですね」
「「「もいっこ欲しい!」」」
ちびっこたちは瞬く間に食べきり、もう一個もう一個と催促をしている。
「むぅ……まぁ、たまにはいいと思うのです」
なんやかんやでノアがもう一個ずつ買ってあげる。
「「「ありがとー!」」」
「どういたしましてなのです」
ちびっこが二つ目を食べている横でアンジェとノアはちびっこたちをほんわかと見ていた。
「ねぇ、ノアちゃん。困ったことあったらなんでも言ってね。武器とか国際間の話とかは無理ですけど、コルマールのことや、このあたりの宗教関係のことはある程度わかりますからね」
「わかったのです。そっちもなんか困ったことあったら言うのですよ。多少私もコネやら何やらはあるのです。あと、お金に困ったら言うのですよ。この子達が笑顔でいられるのならいくらでも出すのです」
「なら、この子達の笑顔のためにも死なないでくださいよ」
「もちろんなのです」
決意を再び心に留めたところでクレープを食べ終わり、再び街を歩き出した。
この先でも食べ歩きや買い物等をし、すべて終える頃には太陽は西の空へ消えかかっていた。
「よし、じゃあ帰りますけど、みんな最近物騒だし、絶対にはぐれないでね」
アンジェは失踪の件もあるため、いつもより注意深くちびっこたちを見守る。
教会の近くで停まるバスを待っているとふとノアがアンジェに一言。
「あ、アンジェちゃんゴメンなのです。お仕事でちょっと寄りたいところがあるのです」
「え?明日じゃいけないんですか?」
「今日中にはやっときたいのです」
「むぅ……仕方ないですね。ですが急いで帰ってきてくださいね」
「わかったのです」
そのままノアはその場を去ろうとしたが、ちびっこが今度は呼び止めた。
「ねぇー!ノアねぇのお仕事ってなんなのー?」
「ん?ノアねぇのお仕事は軍人さんなのです」
「でもここに基地なんか無いよー!」
「ふふふ………それは色々あるのですよ……………」
「「「おおー!」」」
ちびっこたちも納得したところでちょうどバスが来てノア以外が乗り込む。
それを見てノアはその場を去る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます