第32話 帰省なのです!
9月7日―P.M.5:30―フランス・コルマール郊外・サンクリート教会―
「ただいまーなのです」
開け慣れた扉を開け、教会へと入る。
目の前には大きな女神像とステンドグラスが見える。
前来たときより全体的に綺麗になっている。
そんな綺麗な礼拝堂を進み、女神像の前で手を合わせ祈ったのち、脇にある扉を叩く。
すると中から……
「今行きますー!」
聞き馴染みの無い声と共にとってってーっと誰かがドアに近づいてくる。
そしてガチャリと扉を開けられ、中にいたのは全く記憶にない少女だった。
「どちらさまですかー!」
「シスター・ティファナの馴染みのものです。シスター・ティファナはご在宅ですか?」
「ティファナおばさん?ならいるよー!」
「では彼女に伝えてください。ただいまなのです、と」
「??わかった!伝えてくるねー!」
元気よく返事した彼女は奥へと引っ込んでいった。
少しして聖職者の格好をした女性が二人と男の子と女の子が一人ずつ、そしてさっきの女の子の五人が出てきた。
「ノア!」
「ノアちゃん!」
「「ノアねぇ!」」
「???」
「ただいまなのです。みんな」
「一言欲しかったわ。帰ってくるなら」
「アハハ、サプライズってやつなのです」
「そう、まぁ、上がって頂戴」
ダイヤも扉の中へと通される。
廊下を通り、客間に通され……ず、リビングに通される。
そりゃダイヤは帰ってきたのだ。客ではない。
「お茶です」
修道服に身を包んだ若いシスターがお茶を出す。
「ありがとなのです」
「変わってませんね。ノアちゃん」
「そっちもなのですよ。アンジェ。ええと、ココに来るのは確か……」
「三年半ぶりですよ」
アンジェと呼ばれたシスターが答える。
「おお、もうそんなに帰ってなかったのですか」
「ええ」
「ゴメンなのです。お仕事が忙しくて……」
「まぁ、国を守る軍人さんですものね。いつもありがとうございます」
「いえいえ」
まぁ、ダイヤは国連の諜報機関所属だからどこかの国に肩入れはいけないのだが。
そんな感じにシスターと話しているとさっき玄関で顔を合わせた残り四人も出てきた。
「久しぶりね。ノア」
「こっちもなのです。ティファナ先生」
この年を感じさせないいかにも美魔女と言う言葉が似合うシスターはティファナと言ってダイヤの孤児院時代にはすでにこのサンクリート教会でシスターをしていた。
そのためダイヤの先生兼親みたいな存在である。
「あれ、私には先生と読んでもらえないのですか?」
「私にタメを先生と呼ぶ趣味はあいにく持ち合わせてないのです」
そう、なにげにこのアンジェと呼ばれたシスターとダイヤは二人してティファナ先生にお世話になったいわば幼なじみである。
年も同じで孤児院には二人共生まれてすぐ預けられた。
ノアは孤児院を出た後は軍人になり、アンジェはここでシスターとなった。
「一回呼んでみたらどうですか?」
「アンジェリカ先生。シスター・アンジェリカ………違和感がすごいのです」
「確かに。ノアちゃんにシスターとか先生と呼ばれるのは私も嫌ですね」
「なのです」
アンジェはアンジェリカの愛称だったりする。
「「ノアねぇおかえり!」」
「ただいまなのです。アルク、アンナ」
「おかえりー!後でいっぱいお話聞かせてね!」
「ボクも聞きたい…」
ダイヤの軍での話を聞きたがっているのはアルクとアンナの双子。十三歳。
一昨年
二人共六歳でここに預けられ、それから今までずっと七年間ココで過ごしている。
そして、二人してノアの軍の仕事で訪れた諸国の話が好きである。
「おかえり!?ノアさん!?」
「ただいまなのです?」
「ああ、紹介するわね。一昨年からここで過ごしているミーネよ。ミーネ・コラーン、十歳よ」
「ミーネだよー!よろしくねー!」
「私はノア。ノア・シャロームなのです。よろしくなのです」
どこかアンナとアルクと同じ様にわんこ感があるミーネはノアとは初対面。
だがミーネは前からノアのことは聞いていたからかどこか目が輝いてる。
一通り顔合わせと再会が済んだところで…
「さて、そろそろ夕飯時だし、積もる話は食卓を囲んでからにしましょうかね」
「手伝いますねー」
「たまには私も立つのです。キッチンに」
「なら、三年ぶりに手伝ってもらおうかしらね」
ということでティファナとアンジェ、そしてノアがキッチンへと向かう。
後ろからてくてくとちびっこ三人も着いてくる。
決してちびっこは四人だとは言ってはいけない。
顔に9mm弾が突き刺さるぞ。
◇◆◇◆◇
「うん、懐かしい味なのです」
「そう、良かったわ」
ノアにとっては思い出とも言えるシチューを食べながらの夕食。
話題もノアがいない間の孤児院での話や、ノアの職場に着いてなど多岐に渡った。
「そういやみんなはどうしたのです?大学でもしっかりやれてるのです?」
「ええ、みんな頑張ってるわよ。ノアちゃんのお陰でね」
「学費は足りてるのです?」
「ええ、逆に貯蓄できるレベルでもらっているわ」
「ならよかったのです」
実はこの孤児院にはもう少し人がいたが、みんな大学へと通っている。
ノアはその子らの学費を払っているというわけである。
まぁ、ぶっちゃけISISは国連の組織の一つでエリートが多い。
そのためノアは普通に高給取りである。
それにノアは仕事柄危険手当も多い。
さて、そんなこんなでご飯も済み、ちびっこ四人組……ゲフンゲフン…ちびっこ三人組+アルファの四人がシャワーを浴びに行った。
……おっと、紳士淑女の皆さんは流石にこのお風呂シーンを書いたらこの小説がい
そのためこの百合百合しいシーンは読者諸君の脳内補完で頼んだ!
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よんごーです。
風邪引いて投稿遅れました。
皆さんも風邪にはお気をつけて。
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