第28話 閑話その6 ボッチキャンプダイヤちゃん。 その3

フォークでまず、ローストチキンを一口。

うん、この濃いめの味付けがいいですね。

鶏肉もちょっといいのにしていますからジューシーですね。


そして何と言っても酒に合います。

これが大事です。

酒に合わなくちゃ今回の料理は失敗ですから。


うん、鶏肉を口に運びそれをウイスキーで流し込む。

たまりませんね。

生を感じます。


「うーん!今まで食べたチキンで一番美味い!!」


「うん、市販品とは違う…」


「だねー!」


二人にも好評な様子。

続いてカリーブルストも口に運ぶ。

こっちはカレーのスパイシーな感じが酒と合いますね。

まぁ、こっちはウイスキーよりビールに合う味ですね。


あの二人はカリーブルストを食べたことが無いらしくてすっごい興奮してます。


「へーカリーブルストってこんなのなんだ!」


「リスn…知り合いが言ってやつだ…」


「そういやそうだね〜」


リス?

まぁ、なんかのいい間違えかなにかでしょう。


そしてお二人が作ったカルボナーラも口に運びます。

うん、こっちも美味しいですね。

クリーミーな感じがなんともたまりませんね。

チーズとタマゴの濃厚な味を酒で流し込む。

いいですねこれ。


同様にサラダもどこか酒に合うよう味付けされていてとても美味しいです。


そして夕飯を楽しんでいると話が酒の話題になりました。


「ねぇ、そのノアちゃんの飲んでるお酒ってなんてやつ?」


「マッカランの12年物なのです」


「…スコッチウイスキー……いいな…」


「私らいっつもビールだもんね〜。たまには違うのもいいね〜」


「じゃあ飲んでみるのです?」


「え〜?そんな高級品いいの?12年物だよ」


「まぁ、酒はみんなで飲んだほうがいいのです」


「じゃありがたく〜」


とくとくとグラスに注ぐ。

二人共せっかくだからストレートで飲むらしい。


「おお、これが俗に言う高級ウイスキー。ザ・マッカラン」


「…これが四億一千万の酒…」


「どこの世界に四十本しかないやつですか」


二人共クイッと飲む。

二人共ちびっと口に含んで飲みこむ。

そして…


「うん、美味しい…のかな?正直よくわからん」


「…同じく。あんまウイスキー飲まないから」


「まぁ、人ぞれぞれ酒の好みはあるのです」


「じゃあ、私のも上げるね!」


といって渡されたのはイギリスでもよく飲まれるエールビールの缶。

まぁ、こっちは普段でもたまに飲むやつでしたが、環境補正やら何やらでいつもより美味しく感じます。


「そういや、二人の職業私聞いてないのです…」


「うーん?個人事業主?かな?」


「…私もそう」


「なんでクエスチョンマークが付くんです?」


「まぁ、区分的にはそうなのかなって?」


なんか変に踏み込まないほうが良かったりするんですかね?

まぁ、いいでしょう。

さて、そろそろ料理もなくなってきましたし、軽く、口直しのものだけ作って今日はお休みですかね。


「さて、そろそろお開きにするのです」


「だね〜。ご飯もなくなったしね」


「…同じく」


にしても強いですね〜。この二人。

もう結構缶を開けてるんですけどね〜。

まぁ、とか言う私も結構強いんですけどね。

え?何が強いって?酒ですよ。酒。


酔を感じさせないほどにスッと立ち、器にご飯、焼き海苔、刻みネギ、ゴマ、鮭フレークを盛り、白だしとお湯を混ぜた出汁を掛けて軽い茶漬けを作ります。


まぁ、お酒のシメってやつですね。

今回はジャパンのお茶漬けというものにしてみました。


今回は嬉しいことにジャパンの人が二人もいるので本場の人に味を見てもらいましょう。


「はい、シメの出汁茶漬けというやつなのです」


「茶漬け!?」


「…まさかの日本食」


まぁ、バリバリのフランス人がお茶漬けを出したら驚きますね。

驚く二人を横目にちょこんと座ってスプーンで一口。


「おお、初めて作ったけど落ち着く味なのです」


実はお茶漬けというの食べるのは今日が初めてだったりします。

白だしと鮭フレークの持つ塩気がほんのり美味しいです。

酒で疲れた肝臓に効きそうですね。


「ふるさとの味だね〜」


「…日本人が作る日本食より美味しい」


「わかる」


随分好評です。


「ねぇ、私ら明日日本に帰るじゃん」


「…18時にヒースロー空港」


「うん、日本に戻ったら実家に帰ろう」


「…だね」


なんか妙にホームシックな雰囲気が漂ってますね。

私もたまにはフランスに戻りましょうかね…

そんなこんなで茶漬けも食べ終わり、眠気も襲ってきたので、管理小屋のシャワーを借りて就寝です…



◇◆◇◆◇



―アヤ side―


はいどーも!アヤだよ!


現在時刻は朝の五時。なんか早く目が覚めちゃったので友達になったノアちゃんに寝起きドッキリを仕掛けるよ!


まぁ、撮影もしないけどね!


ということで横で寝ているユイも起こしていざ鎌倉!


「…寝みぃ」


「まぁまぁ、幼女の寝顔だぞ。絶対寿命延びるって!」


「…わかった。行く」


「よし!」


てくてくと薄暗い外を歩いて着いたのはノアちゃんのテント。

ほう、ワンポールですか…大したものですね。


そんなことはどーでもいいんですが…出入り口のチャック発見。


即席で用意したドッキリ大成功の看板をユイに持たせていざ突撃ー!

ちなみにノアちゃんのテントのチャックは少し開いているのは昨日の夜確認したんだよなぁ…


◇◆◇◆◇



「………みゅ」


朝、何か気配を感じて私は目が覚めました。

誰にも聞こえないレベルの変な声と共に。


おそらく人の気配でしょう。

だが、妙にコソコソとした感じがします。


まぁ、思い過ごしならいいですが、念の為枕元のSPPを手に取ります。

しっかり親指で薬室に弾が入っていることを確認します。

そしてセーフティを解除して息を殺す。


ジーッとチャックが降ろされる音がする。

少し暑かったからチャックを最後まで締めなかったのがまずかったか…


最後までチャックが降ろされました。

そして足が踏み入れられましたからクルッと振り向き銃をむけます。


ですが、すぐに銃は降ろしました。

なぜなら銃口の先にいたのはアヤさんだったからです。


「おっと、ごめんなさいなのです」


そして謝ります。

まぁ、今回はこっちが悪いですしね。

誰も銃口を突きつけられて嬉しい人はいないでしょうし。


「…あ……あ………あ………」


私が謝ると、アヤさんは再起動したようで突如目を見開き、尻もちを着いて後ずさろうとしますがうまく動けないようです。

口から声とも言えないうめき声を漏らし、目からは涙をポロポロとこぼしています。


「…何があった!?」


「あ……あぁ……」


「ノア!?」


あちゃー…こりゃパニックだ。

ユイさんも冷静さが失われている。


「ノア!アヤに何した!?」


ひょっこりテントから出た私にユイさんが詰め寄ります。

肩を掴まれぐわんぐわんとされます。

こういう冷静さを書いている相手には言葉は弱いです。

モノで示す方がよっぽど効果があります。


両手を軽く挙げSPPを持った左手を振る。


「じゅ、銃!?」


「ゴメンなのです。仕事柄…つい……」


「で、でもカラーリング的に……」


「撃てるやつなのです………」


ジャパンはそういや銃規制が英国うちより厳しかったんでした。

そんな国の住民に銃を見せると、まず、場が凍りつきます。

時も止まります。

そして数秒置いて再起動。

起動すれば待っているのはジョークグッズと思い込むか、モノホンと思い込むか。

この二択です。

大体の人間は前者を選ぶが、私は仕事柄寝ている時に忍び込むやつには殺気の一つや二つは送ります。

おそらくその殺気に当てられてアヤさんは後者を選んだんでしょう。

暗闇で銃のカラーリングなど確認できなかったでしょうし。


「そ、それジョークグッズかしら。色も黒じゃないし……でも形状はリアル…リアル系FPSでよく見る形だし……」


「まぁ、変に嘘つくと厄介なので、一応言っとくのです。これは実銃なのです」


「じ、実銃なの?」


「まぁ、公務員と言っても軍部の方なのです。だから一応持ってるのです。これより先を訊きたければ命を売る覚悟はしておくのです」


まぁ、一応私もフランス海軍大尉の地位もあるんです。

嘘じゃないんです。


「え、ええ、聞きたくないわ…」


「ま、世の中には知っていいこと悪いことがあるのです。分かってるとは思うんですけど、このことは私とアヤさんとユイさんのヒミツなのです。他言はなしで頼むのです…」


「わ、わかったわ………」


コクコク。


アヤさんも必死に首を縦に振ります。

まぁ、鬼畜な事やってますが、こうでもしないと、この二人が危ない目にあうと思うのです。

もしここでジョークグッズと言って、彼女らが変に知り合いにこのことを話すと、それこそ危ない目に合うかもしれないのです。

ですが、実銃なら間違っても言うことは無いでしょう。

言ったら命が危ないとは分かっているようですし。

まぁ、影ながら見守ってもらうようISISの日本支部頼みましょう。

あっちはロリコン多いですし。

同人誌のモデルにでもなればいいでしょう。

多分。


さて、そろそろこの目の前で怯えている二人を安心させましょうか。


「二人共、安心してほしいのです。手は出さないのです。と言っても実銃持ってる相手が言っても安心できないと思うのですが…」


「え、ええと……私達どうなるの…?」


「今までと変わらないのです。というか、私はタダの海軍大尉。そこまでの地位も権力も狙われる価値もないのです。銃を持っているのは護身なのです。一応大尉以上は銃の所持が許可されているのです」


嘘っぱちですよ。


「それにお二人に黙っててもらうのはあくまでも、私の仕事と深く関わらないための予防策なのです」


「そ、そうなの…?」


「ええ、特に一生監視するだとか、目が覚めたらどこともわからない監獄の中とかは無いのです」


「…そうなの……」


「ええ、どこかのスタ◯ーン映画みたいな展開は無いのです」


「そ、そう…安心した…かも」


「まぁ、今までと変わらないってことなのです」


「なんなら誓約書も書くのです」


「…そこまで言うってことはホントっぽい」


「納得してもらえたのです?」


「うん、わかった…」


これで少しは二人共楽になったようです。

これで一安心…多分。


「さて、顔洗って朝ごはん作ってくるのです」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



よんごーです。

キャンプ編もう1話だけあります。

早くFILE3を読みたい方は少々我慢を。

まじでおなしゃす。

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