第27話 閑話その5 ボッチキャンプダイヤちゃん。その2

あむあむとフォカッチャサンドを齧って、コーヒーを飲んでのんびりしているお昼時。


晴れた空を眺めふっと一息つくと持ってきた本を読み始めます。

内容はイギリス人が大好きな某スパイの話です。


そうやってのんびり過ごしていると先程話した女性二人が話しかけてきました。


「あ、どうも。読書中でしたか…」


「いや、大丈夫ですよ。どうしても読みたいわけではありませんし」


「ではトランプでもしませんか?」


「トランプ、ですか?」


「はい、私ともう一人の黒髪のロングのユイって言うんですけど…その子と二人で色々遊んでたんですけど、もう一人欲しいなって思って…」


「いいですよ」


「で、ではわたしたちのテントでやります?」


「まぁ、私のは一人用のこぢんまりとしたものですし、パーティーゲームならそちらでやった方がいいかもしれませんね」


「では着いてきてください!」


うん、この気候なら外で身体を動かすのもいいですが、自然の中でインドアゲームというのも悪くないような気がします。

まぁ、私もさっきまで本読んでたんですが…


ということで肩から掛けていただけのカーディガンにちゃんと袖を通し、スマホをポケットに仕舞って後ろを着いていきます。

そういえば私に今話しかけてくれた方はアヤさんと言う方らしいです。


そんなユイさんの後ろをついて歩いてほんの少し、アヤさんたちのテントにつきました。


うん、テントもテーブルも大きいです。


「あ、ノアさん。ありがとうございます」


「いえいえ、一人で退屈してたので…」


軽く挨拶を済ませテーブルにつく。


「ではでは、ノアさん、得意なトランプゲームとかありますか?」


「いえ、どれも人並です」


「では定番のババ抜きから始めましょうか」


そう言うとよく切られたトランプが手元に滑ってきます。

上手いですねアヤさん。

きれいに手元に滑ってきます。


ふんふんふん……手はそれなりに悪くはないですね。

はじめに揃うカードもそれなりにありますし………

強いて言うならババが手元にあるぐらいですかね?


ふむ、お二人共私と捨てたカードは大差ないようです。

では、私が少々不利?ですかね?

あんまりババ抜きしたこと無いからわかりません。


「じゃあ私がユイのを引きますね」


「わかりました」


ということでアヤさんがユイさんの手から引いてスタートです。



◇◆◇◆◇



「はい、これで上がりなのです」


「あるえー?」


「また、また負けた……(´・ω・`)」


これで十戦十勝です。

うん、職業柄こういう駆け引きのあるゲームは得意なんですよね………

ぶっちゃけこの二人結構顔に出やすいのもありますがね…

にしてもみんな素が出てますね。

アヤさんは元気っ子、それに対してユイさんはクール系といいますか…対象的ですが仲いいですね。


「うーむ…ここはユイちゃん結託しない?」


「して負けているんですけど」


「もしかしてノアちゃんってマジシャンか何か?」


「いや、ただの公務員パブリック・サーヴァントなのです」


「納得できん」


「もっかいもっかい!今度は大富豪。これ私めっちゃ強い!」


「わかったのです…その前に…大富豪のルールを教えてほしいのです」


「ん、地域差あるからルールの擦り合わせは大事」


地域差?


「じゃあ私等の中では七渡し八切りイレブンバックスペ三返り都落ちありの縛りなしでやってるけどオッケー?」


は?

呪文かなにかですか?

それとも新手の暗号かなにかですか?


「あの…そもそもルールわかんないのです」


「あ、そっちね。ごめん」


ということで色々教えてもらいました。

ふむ、なんかややこしいですね。

まぁ、そこは持ち前の理解力でなんとかしました。


「よし、じゃあやるよ!今回はノアちゃんは初心者だから軽くひねれるね!」


「覚悟…」


「大人げないのです…」


「勝ちゃあいいんだよ勝ちゃあ…」


軽口を叩きつつカードが配られます。

数十枚のカードを確認します。

おっ、スペードの三がありますね。

そしてイレブンバックのジャック、八切りの八までありますから七渡しには気をつければいいんですかね…?

しらんけど。


「うし、じゃあとりあえず様子見の六」


二枚の六が場に置かれる。


「ナイン」


更に二枚の九が置かれる。


「ではテンを」


私が二枚の十を出す。

これで一周。

次回ってきたら出す手が無い。


「はい」


「はい」


はい。

回ってきてしまいました。


「パスなのです」


「「シャッ!」」


二人がガッツポーズ。

そんなに嬉しいんですか…


その後も色々頑張ったんですが…


「あらら…負けちゃったのです」


「うえーい!」


「勝った…!」


おおう…すごい喜びようですね……

ですが次は負けませんよ……ドベですがこのゲームは三マッチの最終の順位で決まりますから、最後に勝てばいいんですよ。



◇◆◇◆◇



「はい、八切りで三出して終わりなのです……」


「なぜ、なぜ勝てん…」


「強すぎる…」


はい、最後は勝ちました。

ちなみに三マッチではじめのマッチは取られましたが、残り二マッチは二マッチ目は二番目に上がり、今回、つまり三マッチ目は一位できれいに階段で上りました。


「かーてーなーいー!」


「こいつ…できるっ…!」


「ふふーん!コツさえ掴めりゃ案外勝てるのです」


それから更に一回やってみましたが、それも勝てました。

ええ、人の目を見たらだいたい行動が読めるんです。


「さて、そろそろお外も暗くなってきましたし、私は夜ご飯の準備に戻るのです」


「え?ここで食べてかないの?」


「え?逆にいいのです?」


「いいよー!」


「うん…」


「二人より三人で食べたほうが美味しいからね〜」


「じゃあ、調理器具だけ持ってくるのです。流石にタダ飯は食わないのです」


「気にしなくてもいいのにな〜。じゃあ、ココらへんに持ってきて」


「わかったのです」


自分のテントまで戻り調理器具食材をキャリーカートに積んで二人のテントの近くにちょこんと置かせてもらいます。


「ねぇ、ノアちゃんは何を作るの?」


「ローストチキンでも作るのです。時間があったらカリーブルストぐらいは作るかもしれないのです」


「へー…私らカルボナーラと軽くサラダぐらいでビールで優勝するんですよ。そこでどうですか…私等と料理山分けしない?」


「はなからそのつもりなのです。ちなみに私はウイスキーで優勝するつもりなのです」


「おおー…いいね」


ということで早速調理です。


丸鶏の下処理からやります。

まず、丸鶏をよく水洗います。

次にキッチンペーパーで水気を拭き取ります。

ここで中を吹くのも忘れないですよ。

で、ハーブソルトと、粗挽き胡椒をよく刷り込み、密封できる袋に入れクーラーボックスにぶち込みます。


この隙にスタッフィングのジャンバラヤも作ります。

まず、玉ねぎ、赤パプリカ、しいたけをおよそ5mm四方ぐらいで角切りにします。

と、言っても玉ねぎはみじん切りでもいいですけど。

ウインナーも輪切りにしておきます。

次にフライパンにオリーブオイルをしいて玉ねぎを中火で炒めます。

玉ねぎがしんなりしてきたら赤パプリカ、しいたけ、ウインナーを入れ、日が通るまで炒めます。

で、米を入れて混ぜます。

さらに、ターメリック、パプリカパウダー、チリペッパー、ガーリックパウダーを入れてなじませます。

この時塩コショウで味を整えておきます。

因みにここで濃いめの味にするとうまくなりますよ。

そして、バターを入れて混ぜます。

最後にバターが全部取れたらフライパンを熱するのを止め、粗熱を取ります。

これでスタッフィングは完成です。


さて、そろそろ丸鶏の方もいい感じになってきたからクーラーボックスから出します。

では、いざ丸焼きです。


まず、丸鶏の足を広げスタッフィングのジャンバラヤを詰めます。

この時スプーンで押すなどして詰めに詰めたほうがいいですよ。

詰めたら、尻の皮を縫うみたいに竹串で留めます。

次に両足を交差させ、タコ糸で固定します。

ここはちゃんと結ばないと中からジャンバラヤが漏れますよ。


では、いよいよ焼いていきます。

まずダッチオーブンに底網を敷きます。

そこに丸鶏をドンと置き、回りに切ったじゃがいもと人参を並べます。

で、タイムとローズマリーを入れ、オリーブオイルを回しかけます。

次にダッチオーブンに蓋をして、上に炭を置きます。

そしてファイア!

始めは上も下も同量程度の炭でおよそ強火で焼いていきます。

ダッチオーブンから湯気が出てきたら下の炭の量を減らし、およそ中火で焼いていきます。

最後に蓋を開け、焼き目がついていたら完成です!


「うん、コレぐらいならカリーブルストも作れそうなのです」


いい感じに材料も余ったからカリーブルストもちゃっちゃと作ります。

まぁ、こっちはおまけみたいなものですから軽く作ります。


「できたのです」


「おおー!本格的ー!」


「美味しそう…」


私がテーブルにローストチキンとカリーブルストを置くと、すでにできていたカルボナーラと野菜の他にナッツ類も入って酒に合いそうなサラダが運ばれてきました。

もちろん酒も忘れず用意します。


「じゃあ、食べるのです」


「ねぇ、ゴメンだけど、写真とってもいい?」


「ん、ゴメン」


「なら私も撮るのです」


三人で料理をパシャパシャしてからテーブルに着く。


「「「いただきます」」」


といって晩餐が始まりました。

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