第24話 紅茶とコーヒーなのです!
8月24日―A.M.6:40―大西洋上空―
中米で輸送機に格納されたノワール・ファルコンとジュエルセクションの一同はのんびりイギリスへと帰る。
その道中でハプニングは起こった。
「ふぅ…コーヒーでも飲むのです」
輸送機の居間にてダイヤが棚からインスタントコーヒーの素を持ってポットへと向かう。
そして湯を沸かしている最中、
「うーん…やっぱりイギリスの輸送機には紅茶セットはしっかり置いてあるけど、コーヒーはいっつもインスタントなのです。やっぱり豆から飲みたいのです………」
と、呟いた。
それにルビーもノッて、
「わかるわー。私もココ紅茶しか無いのよね。もう少しバリエーション欲しいよね」
と言うとサファイアとトパーズが
「いや、紅茶とスコーンがあれば他はいらないだろう」
「そうですよ。あんな苦いものそうそう飲めませんよ」
紅茶のみでいいと言う。
それに更にルビーが「それがいいんでしょ」と返すと、ダイヤは「別にカフェオレもあるのです」と付け加える。
そしてついにサファイアが言ってはいけないことを言った。
「そもそもなぁ、私にはコーヒーをうまいとは思えないんだよ。あんな泥水を飲めるのが不思議で仕方ない」
それにカチンと来たのがルビー。
「はーぁ!それを言うならなんであんたらは紅茶なんて飲んでるのよ。あんなの葉っぱの出汁でしょ」
と言い返す。
コレにヒートアップしてきたサファイア。
「おい、イギリスの伝統ある紅茶を葉っぱの出汁だと!?拝金主義とアメリカ帝国産物みたいな泥水飲んでるお前には言われたかないわ!」
「そうですよ!葉っぱの出汁とは随分な言い分ですね!」
「おいおいおい、その葉っぱは中国にアヘンを流して手に入れたモノでしょ。なにが伝統よ。ねぇ、ダイヤ」
「え?私に振るんです?」
「おい」
なにげにこのダイヤという人物。
確かにコーヒーが好きだが、紅茶もそこそこ好きである。
よってこの紅茶コーヒー論争には参加しないのである。
「ハハハ!孤立無援のようだな。ルビー。ほれ、言ってやれエメ。イギリス人の誇りってものを」
「え?私はコーヒーの方が好きですけどぉ〜。あっ、でも紅茶も同じぐらい好きですよぉ〜。その点私とダイヤちゃんは一緒ですねぇ〜」
「なのです」
ここで中立派が誕生。
すなわちチョコチップクッキーとスコーンを間違えても怒らない派の誕生である。
さて、
「はいビールなのです。もちろんドイツのシュバルツなのです」
「はい紅茶ですよぉ〜。茶葉は本場のダージリンですよぉ〜」
スススっとスコーンも付けて渡してやると、まずイギリス人コンビが満足する。
「うむ、やはり紅茶とスコーンのコンビは偉大だ。ホームズにワトスン、ボ◯ドにボ◯ドガール、悟◯にベ◯ータ、サ◯シにピカ◯ュウに続く名コンビだな」
「ですね~」
この様にイギリス人は紅茶さえ与えれば大人しくなります。
だが、まだドイツ人は満足しないため、ダイヤが簡易キッチンで、ソーセージ、ポテト、玉ねぎをカレーパウダーでササッと炒め、温めておいたスキレットに盛り付け、仕上げに追いカレーパウダー、ケチャップ、パセリ、胡椒かければドイツ人のソウルフード『カリーブルスト』の完成である。
「はいカリーブルストなのです。一応ここは空の上だから、特製パウダーじゃないけど許してほしいのです」
「待ってましたッ!」
フォークで、ソーセージを刺し、口へと運ぶ。
すかさずビールをぐびっと飲む。
するとものの見事にとろけきった顔になる。
「ぷはぁぁ〜…!これが堪んないのよ〜!」
これでドイツ人も墜ちる。
ドイツ人にはビールとカリーブルストを与えておけばいい。
はっきりわかんだね。
「ふぅ…疲れたのです…」
「お疲れさまですよぉ〜。はい、コーヒーですよぉ〜」
バカ三人の争いをおさめた二人も紙コップに注いだコーヒーを飲む。
ダイヤもエメラルドもジャマイカ産のブルーマウンテンが好みだが、ここ、上空何百メートルにおいてあるはずがない。
そもそも、この輸送機は英国空軍からの借り物。
飲み物が紅茶中心なのは言うまでもない。
さて、一悶着ありながらも、のんびりそれぞれの飲みたいものを飲んでいたらエメラルドが中の入ってないダイヤのガンケースを開けながら、
「ダイヤちゃん。AMP45の件は残念でしたけど、また、新しいものを用意させてもらいますねぇ〜。で、なんか希望はあったりしますかぁ〜」
と、訊く。
実際広大なカリブの海に落ちたAMP45を拾うのは難しいだろう。
まぁ、重みはあるから沈んでると思うが、少なくとも穴が開いたボディでかつ、塩水漬けになっている。
直すには多大な時間がかかる。
いくら特殊な加工がしてあっても長時間は厳しい。
それなら新しいものを用意したほうがいいとエメラルドは判断した。
もちろんダイヤもそうしたほうがいいと思っている。
ぶっちゃけ、任務をこなす中で銃が壊れる、なくすはよくあるとジュエルセクションの面々は思っている。
長いこと使うというのはいいことだが、任務のためには装備をなくすことはよくあることである。
だが、やはり用意してもらったものをなくすのは申し訳ない。
そんな事情があって、ダイヤは少し回答をためらった。
「うーん…何でもいいのですよ……」
そんなダイヤを見てエメラルドは、
「いや、それじゃダメですよぉ〜。ダイヤちゃんは壊しちゃって申し訳ないと思ってるかもしれませんが、ぶっちゃけ私は兵器ですよぉ〜。だって、銃って消耗品ですからぁ〜。それにぃ〜、予算もたくさんおりてますからねぇ〜」
と励ます。
それに対して、ルビーも面白おかしく返す。
「なら私のも変えてよぉ〜。私はやっぱりイギリス銃より、ドイツ銃がいいよ〜!」
「はいはい、気が向いたら変えますよぉ〜」
「そんなー(´・ω・`)」
「なぁ、私も結構銃撃つ機械があるからなんか私ももらえないか?」
「サファイアさんにはSPPだけでいいですよぉ〜」
「そんなー(´・ω・`)」
「あの、私あんまり射撃得意じゃないのでもっとなんか無いですか?」
「練習してくださ〜いぃ〜」
「そんなー(´・ω・`)」
残りの二人も乗っかる。
ダイヤもこの光景を見て気が和んだのだろう。
少し、笑顔が戻った。
「ハハハ、なんか悩んでたのが馬鹿らしくなってきたのです」
「そかー」
「で、要望はなんですかぁ〜」
「言いたいこと言わせてもらうのです!」
「どんとこいですよぉ〜」
「まず、弾は.45ACP、次にもっと軽いのがいいのです。そして、もう少しコンパクトにお願いするのです」
「ふむふむふむ…以外に欲無いんですねぇ〜」
「むぅ」
「まぁいいですよぉ〜。いいの作らせてもらいますよぉ〜」
「頼むのです」
コレにて銃の一件も済み、いよいよイギリスの大地が見えてきた。
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よんごーです。
はい、今回の話はイギリス人とかドイツ人を貶めるものではございません。
そしてコーヒーと紅茶は両方いいものです。
あくまでもフィクションです。
エンタメです。
一応次でFILE2は終わりで閑話を挟んでFILE3です。
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