第19話 潜入なのです!その1
8月23日―P.M.5:45―パニグア・イスラ島近海―
任務を教えられてからしばらくの準備期間を経て、ジュエルセクションの一行はパニグア共和国に来ていた。
目的はもちろん任務のためである。
任務のため、今、ノアとティリアは船上にいた。
その小型船はイスラ島へ向かって海をかき分けて進んでいた。
「ルビー、ダイヤ、そろそろ潜水ポイントだ。準備してくれ」
そのサファイアの言葉を聞いた二人はシュノーケルをつけ、船底部のハッチに腰掛ける。
すの数分後………
「潜水ポイントだ。こっからは300メーターの泳ぎだ。健闘を祈る」
「「あいあいさー」」
「よし、では行け」
小型の酸素ボンベを口に背中に背負って、特注のウエットスーツに身を包んだ二人、ノアとティリア改め、ダイヤとルビーはカリブの海へと泳ぎだした。
二人が泳いでいる間、もう一度、サファイアが任務の確認のため、無線で語りかける。
「よし、潜ったようだな。この隙に確認するが、二人の任務は写真を収めるだけでいい。無理に設備を破壊などはする必要はないからな。だから危険と感じたら、迷わず離脱してほしい。この島にはリゾートに地に似合わないほど、警戒が厳しい。注意してくれ。で、私達の支援はまぁ、アテにはしないでくれ。特に、海から近づこうとすると、自動迎撃システムの魚雷で沈められる。二人が泳ぎで上陸するのもコレのせいだ。まだ、空からの接近はなんとかできそうだが、対空兵器が多く、こっちもやはり厳しい」
「装備は某テレビゲームの様に双眼鏡のみ持ち込んで現地調達で流石に酷だからな、特殊な袋に入れたエメオリジナルを付けといた。もちろんサプレッサーも付けた。だが、それ以外は水でだめになるか、泳ぐときの邪魔になるから持っていけない。二人なら分かっていると思うが、今回も間違いなくキツイ任務になるが頑張ってくれ。Good Lack!!」
無線が切れた。
それと同時に二人の視界になんとか上陸できそうな岩場が入った。
そこまでの十数メーターをサーッと泳ぎ、上陸。
少々でこぼこしているが、動きにくいわけではない。
そんな地面に腰をおろし、重い潜水装備を脱いでいつものスニーキングスーツに着替える。
エメオリジナルも袋から出し、軽く動作確認をしてレッグホルスター※1に戻す。
「ダイヤ、準備できた?」
「できたのです」
「の、前に無線だ」
ルビーが慣れた手付きで無線を掛ける。
「こちらルビー、イスラ島に上陸。ダイヤもいるよ」
「いるのです」
『おつかれさまです』
『おつかれさま。じゃあ準備できたらココから西に進んだら見えてくるリゾートホテルに潜入してくれ。おそらくこのホテル内の地下に武器売買の証拠やらはあるはずだ』
「りょ」
『軽いな…』
ルビーはふぅ、と一息ついてダイヤに一言
「行こっか」
この場には随分合わない気の抜けた言葉を掛けた。
「なのです」
ダイヤもそれに応え、二人して何十メートルの崖を登り始めた。
◇◆◇◆◇
ガシッ、ガシッっと岩を掴み、足を乗せる音のみが響くが、それももう止んだ。
かれこれ、数分間登り続けようやく、崖の上に足を付けたからである。
そのまま中腰でリゾートを眺める。
ホテルを始めとしたリゾートはココとは別世界の様に明るい。
アレでは潜入は難しいを越え、不可能である。
「ねぇ、あのホテルからの潜入は無理だよね」
「ええ、あの明るさじゃバレて蜂の巣が関の山なのです」
「だよね~……じゃあ、別の入口探そっか」
「なのです」
ここで潜入方針が決まったところで二人して歩きはじめようとしたが……
バラララララ!!
「伏せるのです」
どこからともなくヘリの羽音が聞こえた。
おそらく哨戒中のヘリである。
「あー…面倒くさいな〜…」
「なのです」
「いっそ墜としたらだめかな〜」
「スニーキングとは?」
「まぁ、ここで嘆いても仕方ないし、進もっか。とりあえず西に進めばいいよね」
「なのです」
こうして二人は草木生い茂るジャングルを歩き始めた。
◇◆◇◆◇
数分も歩けば船着き場が見えてきた。
ちょうどいいことにその船着き場は小型船のみしか停まっておらず、警備も薄かった。
「たしかここが職員用停泊所…」
「なのです」
「よし、制圧後情報だけ聞き出すよ。残りは殺しで」
「では、左の三人を私は殺るのです」
「じゃあ、私は右の三人を」
とだけ交わしてダイヤはこっそりと船着き場に降り、箱の裏に隠れる。
そしてひょこっと顔だけ出す。
「マガジンは10発入りが3つ。節約してくのです」
呟くとこそこそと近づいて一人の首を後ろから飛びかかって絞める。
少しの間絞めていると気絶したようで男はその場にドサッと倒れる。
その音に気付いた残り二人が振り向くと、ダイヤはその二人が何かをする前に、一人の男を海に突き落とし、もうひとりに銃を向ける。
男が両手を上げた瞬間ダイヤは腕と胸ぐらをつかんで足をかけてヒョイッと投げる。
男はおよそ、180弱の身長で、ダイヤは131だから随分ダイナミックに投げる。
そして、海に落ちた男に銃を向ける。
その男はちょうど船着き場の地面に手を掛けていた。
ダイヤはその隙にまた物陰に隠れ、船着き場に男が戻ってきたところを投げる。
三人が気絶したところでルビーに視線をやる。
すると向こうもすでに終わっていて一箇所に固めていた。
「終わったー?」
「終わったのです」
「よし尋問」
「なのです」
二人は六人を一箇所に集め、起こす。
もちろん腕は縛ってあり、武器も離れたところに置いてある。
「やっはろー。早速だけど、ここって武器の売買してるんでしょ」
「知らねぇな」
「じゃあいらないのです」
ダイヤがそう言った男の首にナイフを突き刺す。
「よし、あんたはなにか知ってる?」
「知らん」
「じゃあ(ry」
もう一人首にナイフを刺された。
二人も殺されると、向こうも流石にビビったのか吐いた。
「ホ、ホテルの地下には兵器製造のラインがあるって話だ!詳しいことは知らんが、よくクルーガーの部下が話しているのを聞いた!」
「そう、他には?」
「そ、そういや島の北がなんとか言ってたぞ!」
「ふーん…じゃね」
ダイヤとルビーはもう用済みだと言わんばかりに全員の首にナイフを突き立てた。
「よし、とりあえず北に行こっか。にしてもマップ無いのは痛いよね〜」
「なのです。なんでも航空写真のみで内部の詳細な地図が無いのですからね」
実はこういう作戦時には詳細な地図…特に内部の青写真とかがアレばいいのだが、今回はあるかわからないところに潜入するため、そういったものが無いから、潜入ルートも現地で考える必要があった。
「その前に無線」
「忘れてたのです」
「私も」
この二人、以外に抜けているところがある。
「はろー。ルビーだよ〜。とりあえず北を目指すね」
『了解した。ただし、気を付けていけよ』
「あい」
今までは西に進んで今度は北に進むこととなった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※1:レッグホルスター
…足の太ももにつけるホルスターのこと。
基本的にハンドガン程度の小型の銃を仕舞う。
主に右利きなら右の太ももに、左利きなら左の太ももにつける。
よんごーです。
すこし、リアルが忙しくなるのでしばらく更新がなくなるかもしれません……
ごめんね!
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