第18話 今度は中米なのです!

8月18日―P.M.2:50―イギリス・ロンドン・ISISジュエルセクションホーム―


「「ただいま〜(なのです)」」


「「おかえり(なさい)」」


ジュエルセクションのホームに戻ってきた二人を出迎えたのはサファイアと、トパーズの二人であった。

どうやらエメラルドはどこかへ出ている様子。


「二人共、着替えてゆっくりしたらリビングへ来てくれ。今回の件で話がある」


「「りょーかい(なのです)」」


ということなので二人は部屋へと戻り、荷物を置いて軽くシャワーを浴び、部屋着に着替えてリビングへと戻る。

ちなみにこの二人、ウサミミパーカーとゆったりフレアスカートを着ているが、見事にペアルックである。


そんな二人はてくてくとリビングに戻り、ちょこんと椅子に座った。

ちょうどその時エメラルドも帰ってきた。

ということなので、エメラルドもリビングに呼ばれた。


みんな集まったところで…


「よし、集まったようだから言うが、内容は今回の任務の成果だ」


いつもより気持ち真剣な顔でサファイアが言う。


「早いじゃん」


それに対して、いくらか軽い雰囲気でティリアが返す。


「ああ、ティリアたちが裏にいるのはフィリック・クルーガーといったからな」


「なるほどですぅ〜」


「ああ、奴はリゾート開発をメインの事業としているが、前々から武器やら兵器を売買しているという噂はあったからな。まぁ、一般的なアサルトライフルやハンドガン程度なら対処を後回しにできたが、ワンダーフォーゲル、それも新型となると、早急に手を打たなければならない」


「確かワンダーフォーゲルの新型はアメリカで配備が始まったぐらい…だったのです?」


「ああ、その認識で間違いない。最新鋭の個人携帯ミサイルだ。まだまだ配備には時間を要する。だが、奴はそんなものを当たり前に商品にしていた。だから兵器の出どころも調査対象の一つとなる。そのことは他のセクションが調査に当たるが、ジュエルセクションうちの仕事はフィリック・クルーガー本人の調査だ。今も奴には人が張り付いているが、尻尾は出してはいない。だから、二人には奴を調べ上げ、奴の取引関係を特定してほしい。そして私の勘だが、大体奴みたいな者のバックにはなにか巨大な組織がいる。それこそ…最近うちで話題の”イオプロスビブアンデ”…イオとかな……」


「なるほど。で、今奴はどこにいるんです?」


「今はフランスだが、二人には言ってほしいところがある」


「フランス以上に大事なところなの?」


「ああ、そうだ。私の考えでは今奴に張り付いて調べる人員は足りてる。だから、二人には私が個人的に気になるところを調べてほしい。もちろん許可は取っている。な、トパーズ」


「ええ、それはそれは随分卑怯なやり方で……」


「とりあえず聞くのはやめとくのです」


「「だね」」


まぁ、誰も目に見えている地雷には突っ込まない。


「さて、ココからは任務の概要だが、何やらトパーズが話したがっているからな、ここはオフィサーとして譲ってやろう」


「いや、それはあなたが話すのが面倒くさくなったから……」


「給料カットするぞ」


「みなさん、コレがサファイアさんの本性ですよ……ヤバいですわ〜」


「引くわー」


「ちょっと擁護できないですぅ〜」


「同じくなのです」


「はい、ということで続き、よろしくお願いします」


「ええー…紅茶切れてるから無理」


「出たよ紅茶ジャンキー」


「はーぁ、コレだから紅茶中毒のイギリス人は……」


「おや?ノアちゃんといえども言ってはいけないことがあるんだよ。ベッドで体に言い聞かせてやろうか?」


「ノアちゃん。イギリス人はみんなこいつみたいなやつじゃないんですよ」


「ですよぉ〜」


「そうなのですか……やっぱりロリコンのサファイアさんのみヤバいと……」


「ん?ノアちゃん。当たり強くない?」


「まぁ、残当なのです」


あっ、ショックでサファイアが崩れ落ちた。

ロリコンには辛いものがあったのだろう……多分。

ココでぶれまくった話を戻すために、トパーズが


「はい、ここで崩れ落ちてる人は放おって置いて、お二人の任務ですが……お二人には中米に飛んでもらいます」


「中米?フランスと随分離れたね」


「はい。で、お二人には中米のパニグア共和国に飛んでもらいます」


「パラグア…パラグア…確かニカラグアの西の……」


「はい。そのパニグアです」


パニグア共和国とは、ニカラグアの西の海に浮かぶ島々のいくつかが集まってできた国で、主にリゾート産業で成り立っている国である。

特に360度、全方位に広がるマリンブルーの海は絶景で、見ていて引き込まれる。


「で、あのフィリック・クルーガーはこのパニグアで島を一つ買い上げました。小さな島ですが…で、その島でリゾート開発の計画がスタートしたようで、今、急ピッチで建物やらなんやらが作られてます。…と、ここまではいいです。問題はここからです。なにやらそこ島ではリゾートとは関係のない方々がいるようです」


スッと、テーブルに写真が数枚置かれる。そこには最近内戦やらで大変なことになっている国の重鎮や、ISISにでマークしているテロ組織の中核メンバーなど、確かにリゾートとは無縁な方々が写っていた。


「確かにです……」


「ええ、おそらく、ココからは私とこの横でくたばってるロリコンの持論ですが、このリゾートは隠れ蓑で、中では武器の売買や、下手すりゃ製造が行われている可能性があります。そこで、お二人にはこの島に潜入して、その証拠を押さえてもらえれば、こっちで一気にかたをつけます。ですので、お二人には売買の現場や、製造の現場をパシャリとお願いします。写真は取ったらすぐ、特殊回線を通して私達に送られますから最悪、カメラはなくしても構いませんよ」


「「りょーかい(なのです)」」


すると、横ですくっと倒れてた人が起き上がった。


「さて、こういうわけだから、頼んだ!」


「がんばるのです」


そうして、ジュエルセクションの次の任務が決まった。

内容はおそらく敵の基地と見られるところへの潜入。

そして、その深部を写真に収める。


間違いなくキツイ任務だが、二人のやる気は十分であった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



よんごーです。


もちろんパニグアなんていう国は存在しません。

語感がいい国名をテキトーに作りました。


13話ぐらいでスパイ・アクションにしますとか言ってましたが、色々考えた結果、また潜入アクションになりました。


スパイアクションは次章に回るかもです。






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