第16話 銃撃戦なのです!
8月17日―P.M.7:20―イタリア・ローマ郊外―
―ノア side―
目の前のビルで爆発が起こった。
まぁ、開戦の合図だよね。
とりあえず煙やらで全く見えないからスコープの暗視装置をオンにして援護する。
スコープで見る限り、結構いる……ざっと数十人ほどはいる…
こりゃティア姉辛くない?
とりあえず頭や腕、足を中心的に狙いながらセミオートで撃つ。
そんな風に撃って十数名ほどを沈めると、どうやら相手もこっちに気がついたようでアサルトライフルを担いだ奴らがこっちに撃ってきた。
ババババ!とフルオートで撃ってくるが精度も悪く、私のいるビルから撃たれているとわかってはいるが、具体的にどこからかは分かっていないようだ……
でも、下手な鉄砲なんちゃら〜とも言うし、結構こっちにも飛んでくる。
だから柱に身を隠しては撃ち、しゃがんで壁を盾にしては撃つを繰り返す。
そんな攻防を繰り広げていると、後ろが何やら騒がしい。
おそらく裏から攻めるつもりなのだろう。
そいつ等はどんどん階段を登って近づいてきて、おそらく数秒後にはココに踏み込まれる。
だからドアの裏に隠れ、入ってきたと同時に頭を撃ち抜く。
軽く死体撃ちもして、再びティア姉の援護に戻る。
さらに少し撃つと、爆発がまた起こったと思ったらフラッシュバンの光が私を襲った。
「う”ぅぅぅぅぅ………」
おそらくティア姉のシガーが発生源だと思うが、いきなりは目眩がする。
とっさに地面に伏せ感覚が戻るまで隠れる。
キィィィィィンという耳鳴りが治まるとまた顔を出してAMP45を撃つ。
しかし、ココでハプニングが……
「やばいのです。そろそろ弾が………」
手元にあるのは25発入りが残り二マガジン。
コレだとざっと持って数分である。
とりあえずティア姉に無線だけ入れる。
「ティア姉、マガジンが切れそうなのです。残り新品が2つなのです」
とだけ言い残す。
早い内に気付いてほしいんだよね………
『りょーかい。あと十数名だから押し切るよ』
と、帰ってきたから変に躊躇わず撃つ。
パスパスとセミで撃ちながら時々フルに切り替えて撃つ。
空薬莢が増え、もう残りワンマガジン……25発。
スコープ越しだと残り数人。
なんとか持ちそう…
そのまま撃ち続け残り10発。
ようやく敵影が見えなくなった。
「クリアなのです」
『こっちもだよー』
ティア姉の方もクリアとのことなので今まで撃っていたAMP45を分解し、ケースに戻す。
一応空マガジンも仕舞っておく。
仕舞い終えるとケースを持ってビルを出る。
ビルを出て、ティア姉のいる向かいのビルへと入ると、ティア姉が中を物色してた。
だから私もそれに習ってテキトーになにかあるかを探し始めた。
少し探すとなんかいかにもな金庫が棚にあったからなんとか取ろうとする。
でも、高いところにあって届かない……
全く、最近はユニバーサルデザインが騒がれる時代だと言うのに……
と思ってるとティア姉がひょいと取った。
なんか悲しい……
「なにこれ?」
「いかにもなのです」
どうやらティア姉もこの金庫が気になる様子。
とりあえず鍵がかかってるからピッキングツールを使って開ける。
「およ?なにこれ?」
「たしかこの男って……」
「「フィリック・クルーガー」」
繋がったのです。
こいつらは雇い主であるクルーガーの弱みを探ってたんだ。
自分たちの身を守るために……
こりゃあの二人の言うことは正しいということかな?
まぁ、コレ自体ブラフということもあるけど。
とりあえず報告だけど、車内でいいや。
「とりあえず、ホテルに戻るのです。ケーサツが来ると色々面倒くさいのです」
「だね」
ということでビルを出て車に戻る。
幸いパンクもしてないし、エンジンもかかる。
細工はされてないようだった。
「何かされると思ったんだけどね〜…」
「まぁ、されないに越したことはないのです」
「だね〜」
私達は再び、夜のローマの街を走り始めた。
◇◆◇◆◇
車内にてノアはスマホでサファイアに連絡を取っていた。
「もしもしなのです」
『ノアちゃんか?』
「ノアなのです」
『どうした?』
「取引が終わったのです。結果は制圧という形になったのです」
『わかった。怪我は無いか?』
「切り傷程度なのです」
「わたしもー」
『そうか、なら良かった…して、背後の組織はわかったか?』
「一応わかったのです。その前に取引現場に諜報員を送るべきなのです。まだ何かあるかもしれなし……ケーサツに下手の荒らされちゃ溜まったもんじゃないのです」
『わかった。して警察はもう来てるのか?』
「まだなのです。でも、あれだけ銃を撃ち合ったのです。遅かれ早かれ来るのです」
『わかった。ローマ支部の人間を送らせる』
「ありがとなのです。で、裏で糸引いてる組織なのですが、実業家のフィリック・クルーガーなのです」
『なるほど…わかった。こっちでも調べる。ありがとう。つまり、クルーガーはグレイグ・ジョーのいるイタリアンマフィアと繋がってるということか…』
「なのです」
『わかった。では気をつけて帰ってきてくれ』
「わかったのです」
通信が終わると、ホテルまで数分の地点まで来ていた。
そして、数分走ってホテルの駐車場に車を停め、部屋に戻った。
帰りは明日の便で帰る予定である。
そのまま部屋で夕食を取って、シャワーを浴びる。
そしてふたりともぐっすりと眠るかと思いきや…………
「ねぇねぇノアちゃん。やっぱりさ、撃ち合っと後だと気分が高まるじゃん…」
「ま、まぁそういう人もいるのです」
「でね、私ね、今気分が高まってんだよね……」
「で、何言いたいのです?」
「あのね、興奮するとさ、なんか性的なアレも感じるじゃん……ココまで言えばわかるかい?」
「わかりたくないのです。で、それなら一人で済ませればいいのです」
「そーいわずにさー!」
ガバッ!
「ちょ、ちょっとなにするのです!離すのです!」
「いいじゃんいいじゃん〜!」
「離すのです!寝かせるのですこのロリコン!」
ガサゴソ…
「いいではないか〜いいではないか〜」
「ちょ、どこ触るのですロリコン!」
「グヘ、グヘヘヘ……」
翌日、どこか疲れた様子のノアと、ツヤツヤとしたティリアがいた。
ノアは後日「一線だけは守ったのです」と語った………
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