第6話 初任務なのです!その2
7月21日―A.M0:00―コンゴ民主共和国北部某発電所―
C-4を仕掛けたメインコンピュータのある部屋から出て、2階へと向かう。
ツーマンセルで安定かつ素早く動く。
「おっと、2階やばいよ。監視カメラ多いね」
「確かにです」
「どうする?」
「撃って機能を停止させればすぐに警報が鳴るもんね」
「でも、アレじゃ死角も無いのです」
「だね〜…でもなぁ…ココ抜けないと3階には行けないんだよね〜」
「むむぅ…あっ!」
いいこと思いついた。
とりあえず、今いる部屋の窓を開ける。
窓を開けると、ちょうど窓の下には2階の窓のひさしがあった。
そこにひょいと飛び乗ってそこからひさしを飛び移って監視カメラゾーンを抜ける。
ちなみにルビーさんが乗ると多分、下にいる兵士に気付かれる。
そのため、ココからは別行動。
「だいやなのです。無事、監視カメラゾーンを抜けたのです」
『お、やった。じゃ、私は下でなにかあるか探索してるね。もしかしたら、情報があるかもしれないし』
「なら、よろしく頼むのです」
『ふたりとも、無理はするなよ。この際、通信設備は壊さなくてもいいからな』
「わかったのです」
『頑張ってねぇ~!』
エメさんからの応援を聞いてから無線を切る。
そして再び、進み始める。
基本、敵との交戦は避け、どうしてもという時は殺して、バレないところへ隠す。
そんなことを続け、3階への階段を登る。
「3階は人の警備が多いのです。こりゃ結構殺す必要があるかもしれないのです」
「ダイヤなのです。無事、3階に到着なのです」
『よくやった!その階にあの兵士によると、なにか情報があるらしいが、目的は屋上の通信アンテナだ。くれぐれも優先順位を間違えないでくれよ』
「分かってるのです」
無線を切ると、そのまま階段を登り屋上へと出る。
1階から2階への階段と2階から3階への階段は違う場所にあるけど、屋上へは2階から3階への階段をそのまま登れば着くから楽に進める。
屋上に着くと、アンテナにサクッとC-4を仕掛ける。
「これで、よしっと」
「ダイヤなのです。無事、アンテナに仕掛け終わったのです」
『よし!では離脱だな』
「その前にまだ時間はあるのです。できる限り3階の探索をするのです」
『そ、そうか…でも絶対に無理はするな。最悪、見つかっても強硬離脱という手もあるからな』
「大丈夫なのです。潜入ルートはあるのです」
『そうか、では健闘を祈る』
3階に戻る前に双眼鏡で発電所の様子を見る。
見たとこ、警備の人間が来たときより増えている。
まるで、近いうち何かが来るか分かっているかのように。
一通り見たところで、3階へと戻る。
3階へと戻ると近くの部屋に転がり込む。
この部屋は見たとこ倉庫のようだから、なにか無いか、調べる。
しばらく探索すると、鍵の付いた箱があったから、カチャカチャとピッキングで開けると、中には小さいながらにダイヤモンドが結構入っていた。
「これって…ブラッド・ダイヤモンド※1……」
血のダイヤ、紛争ダイヤとも呼ばれる代物があった。
おそらく、資金源の一つであろう。
こりゃ少し、このダイヤの流通経路も洗ったほうがいいかもしれない。
実際、ブラッド・ダイヤモンドを追えばテロ組織や非合法な武装勢力、果ては国軍まで辿り着くことがある。
そういった輩は金を溜め込んで新たな武器を買ったり、兵器の実験をしているかもしれない。
そういった動きを探るのもISISの仕事の一つだったりする。
そう決まれば、この発電所にはまだ、何か秘密が眠っているかもしれない。
軽く、報告を済まし、進む。
道中で数名、消えてもらいあらかた3階は探索し終えた。
「ここがラスト…」
そっとドアを開けると、中には二人の兵士―それも指揮官みたいな兵がいた。
どうやら、ドアを開けたことはバレてないようである。
そっと入り、物陰に隠れる。
もちろん話し声は聞こえる位置で隠れる。
「おい、クロスロードはどうなってる?」
「ああ、国境は越えた」
「そうか」
「早けりゃ来週にもエジプトだ」
「なら安心だ」
「では、そろそろ俺は本部へと戻る」
「わかった」
会話が終わると一人が部屋を出ていった。
行ったことを確認し、指揮官っぽい兵の背中に銃口を突きつける。
「両手を挙げて、寝るのです」
「あ、ああ」
この人は随分聞き分けがいい。
「さて、色々訊きたいですが、だいじなところだけ訊くのです」
「まず、さっきの会話は誰と、何に着いて話してたのですか?」
「知らんな」
「そうなのですか……」
「では、次の質問なのです。クロスロードとはなんなのです?」
「知らんな」
「では、あんたらの目的はなんなのです?」
「知らんな」
では、死んでもらうのです。
ホントは連れて帰りたいが、この体じゃ厳しいから殺す。
息の根が止まったところで部屋を探索する。
言語は基本アフリカーンス語で書かれているが、なんとか読める。
そんなこんなで探索していると、通信設備を見つけた。
おそらく、ここで無線やらを管理しているはずだから、ココも爆破するに越したことはない。
だから、C-4を置いておく。
「おっと、これって……」
見つけたのなにかの輸送ルートが書かれた資料。
とりあえず写真に撮ってサファイアさん達に送る。
「ダイヤなのです。写真、届いたのですか?」
『ああ、届いたとも。そしてコレは多分、そのクロスロードとやらの輸送ルートだな。で、目的地はおそらくエジプトの
『みんな、こっちも面白いものあったよ。放射能測定装置だよ。おそらく核兵器の実験かなにかはあったはずだよ。少なくとも火力発電所にはそんなもの無いしね』
『つまり、そのクロスロードというのは核ですかね?』
「多分そうだと思うのです。おそらくクロスロードというのはアメリカのクロスロード作戦※2から来ている核の隠語だと思うのです」
『なるほどねぇ〜信憑性高そうですよぉ〜』
『なるほどな、一応、本部にこのことに着いて連絡をしておく、そして、そろそろ3時だ、離脱してくれ』
「「わかった(なのです)」」
ということで、サクッと、施設から出て、発電所から抜け出そうとしたけど…
「ねぇ、警備きつくなってない?」
「そうなのです」
と、途中で合流したルビーさんと言葉を交わす。
さてさて、どうしようかな?
「正面突破でもする?」
「なら私のAMP45が火を吹くのです」
「いつからそれは火炎放射器になったのかな?」
「すり替えておいたのさ!」(某東◯版蜘蛛男)
冗談は程々にしておいて…
「なんかトラックの出入りも少し頻繁になってきたし、行きみたいに潜り込む?」
「できそうなやつがアレばなのですが……」
「「あ、あったわ」」
と言って視線を向けた先にはご都合主義的に運転手がタバコを吸ってサボっているトラックがあった。
でも荷台のはシートが被せられていて、人がいるかどうか、肉眼ではわからない。
「一応私の暗視スコープで覗いてみるね」
でも、暗視スコープなら布越しでも温度を感じ取って人がいるかどうか分かる。
ルビーさんがアサルトライフル―NB-15に付いている暗視スコープを覗いてみると…
「うん、空っぽ」
「なら乗りに行くのです」
空っぽらしいから、ささっと近づき荷台に潜り込む。
一応、出入り口ににエメオリジナルを向けて乗ってきた兵は殺せるようにしてある。
そんな私の後ろではルビーさんが無線をしている。
「こちらルビー。脱出の目処が付きそうだよ」
『そうか、して、どうやって脱出するんだ?』
「またトラックに潜り込んだよ〜」
『そうか、そのトラックは本当に出るんだろうな』
「うん、運転手らしい男に指向性マイク向けたら、早く戻らなくちゃ行けないけど、タバコは吸いたいって言ってたよ」
『なら、近いうちに出るな』
「あ、今運転者が運転席に乗ったのです」
「だね」
『そうか、では私達もランデブーポイントに向かう』
「「了解(なのです)」」
無線を切ると同時に走り始めたトラックは発電所を出た。
その後もしばらく、走り続け、私達はランデブーポイントに近いところでコッソリ降りた。
もちろん周囲には気をつけて降りた。
そしてそのままランデブーポイントまで数分走る。
ランデブーポイントが近くなったら、ヘリが降りてくる。
「乗ってくれ!」
タイヤを出して飛んでいるヘリに乗り込む。
私達二人が乗ったことを確認し、ヘリは空高くへと飛び立っていった。
7月21日―A.M5:30―コンゴ民主共和国北部上空―
ジュエルセクション初の任務は幕を閉じた……
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※1:ブラッド・ダイヤモンド
…血塗られたダイヤモンド、戦争ダイヤモンド、汚れたダイヤモンドとも言う。
内戦地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類のうち、紛争当事者の
資金源となっている宝石類を差す。
例えば、内戦地域で取れたダイヤを買ってもらって得た金で新しい銃を買う
といった際その時売ったダイヤはブラッド・ダイヤモンドである。
※2:クロスロード作戦
…1946年夏にアメリカ合衆国がビキニ環礁で行った一連の核実験を言う。
エイブル実験とベーカー実験の2回の爆発実験が行われた。
中止となったが、本来はチャーリー実験も入れた3回行われる予定であった。
かの有名な日本の戦艦長門はアメリカ軍に接収されたあと、
このクロスロード作戦の標的艦になり、ベーカー実験のあと、沈没した。
(7月29日沈没)
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