第4話 ブリーフィングなのです!
エメさんから銃をもらってしばらくし、夜になった。
ちょうどエメさんも地下から帰ってきた。
そして私も夜ご飯がそろそろ出来そうである。
ちなみに今家にいるのはルビーさん、エメさん、私の三人で、トパーズさんとサファイアさんはなんか本部に重大な用事があるとかで、夜はいらないらしい。
今日の料理担当は私だからサクッとワンプレートを用意する。
まぁ、私の
豪勢なのは週末だよ。
と、言っても皆動いて疲れてるからそれなりのボリュームはある。
今日は鶏ももがあったからシンガポールチキンライスを作る。
まず、米をとぎ、鶏もも肉に酒、醤油、生姜、にんにく、胡椒を揉み込み10分程度放置。
今回は量があるから炊飯器ではなく、大きめの鍋に米を入れその上から水も入れ混ぜたら、鶏もも肉を入れて炊く。
炊き終わったら鶏肉を取り出し、食べやすい大きさにカットする。
カットしたら皿に米をもり、レタス、紫キャベツ、トマトを添え、カットした鶏もも肉をのせる。
最後にレモン汁、醤油、オイスターソース、砂糖、生姜、にんにく、胡椒を混ぜて作ったタレをかける。
はい完成。
え?カオマンガイとなにが違うのかって?
知らん。
付け合せに鶏ガラのあっさりとしたスープも作っておく。
そんなこんなで出来た食事をテーブルに運ぶと二人とも眼を輝かせて待ってた。
「「おおぉ~」」
「どうぞなのです。あ、ちなみに冷蔵庫の中にはコーヒーゼリーが入ってるのです」
「やった!頂きます!!!!」
元気よく言い放ったルビーさんはスプーンを眼に止まらない速さで動かしてシンガポールチキンライスを食べる。
でも、味わうことも忘れないのは器用だと思う。
だって一口食べる度に「おいし〜!」とか、「お酒ほし〜!」とか言ってるもん。
たった数分で食べ終えたルビーさんは一目散に冷蔵庫に突っ込んでいった。
そして帰ってきたルビーさんの手には器に盛られたコーヒーゼリーとその上に乗っているバニラアイスがあった。
ハマったんだ、あれ。
実はルビーさんは基本コーヒーゼリーには生クリームだったけど、最近私がバニラアイスを載せて食べていたらそれが気になって自分も試したらハマってしまったという経緯があったりする。
まぁ、そのあと私がチョコミントをコーヒーゼリーの上に載せたら引かれたけど………
「おお、美味しいですねぇ〜」
「ズボラ飯って美味しくて栄養もしっかりあるのです」
「だねぇ〜」
と和やかに食事を済ませ、宵の口も過ぎた頃、サファイアさんからメッセージが届いた。
『すまん!今日は帰れそうに無いからこっちで寝る。だから、私達のことは気にしないでくれ』
そんなに会議の内容がすごかったのだろうか…?
まぁ、苦労しているみたいだし、軽食でも作り置きしとこうかな?
◇◆◇◆◇
翌朝私が眼を覚ました頃にはサファイアさんとトパーズさんが帰ってきていた。
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようなのです」
「あっフルーツサンドありがとな。お陰で元気が出た」
「それは良かったのです」
「トパーズなんか涙流して食べてたぞ」
「お、おう…」
「それ今言う必要ありますかー?」
「さて、ほかもそろそろ起きてくる頃だし、朝ごはんは作ってある。食べておいてくれ。今日は大事な話があるからな」
おう、怖いねん。一晩帰ってこなかった人が言う大事な話は。
あれやで、本社から帰ってきた上司がすぐ自分のこと名指しで呼び出すみたいなもんやで。
おっと、つい口調が……
「わかったのです」
平然を装いごはんを食べ進める。
おいしい。
私が朝ごはんを食べ終わるとルビさんとエメさんも起きてきたようで朝ごはんをサクッと食べ、みんなリビングのテーブルについた。
「さて、大事な話だが………任務だ。初任務」
「おお〜」
「どんどんぱちぱちーなのです」
「で、だ。今回の任務は破壊工作だ」
サファイアさんは目線をタブレットに落としなが説明する。
「概要はタブレットにあるようにコンゴに本部を置くテロ組織サキスの基地壊滅作戦のバックアップだ。
出立は明日のA.M.10:00、イギリス陸軍基地から超大型輸送機のC‐7ISで南アまで飛びそっからヘリだ。
現地到着は明後日の朝頃を予定し、作戦結構は翌日の深夜だ。
まず、二人には夜間の内に基地の近くの発電施設に潜入。
ここは奴らが制圧したあとで、電気は基地にしか流れない仕組みになっているから一般人の迷惑にはならない。
次に、潜入後すかさず、マップの黄色のマーカーの部分、配電盤、電源設備、送電設備、通信用アンテナをプラスチック爆弾※1を設置し離脱だ。
そして夜明けとともに起爆、その混乱に乗じて突入部隊が突入。
基地と発電所を制圧する。
以上だ」
「「了解」」
「で、だ。装備の方はどうだエメ?」
「こっちも実戦投入可能ですよぉ〜」
「そうか、なら今日中にこの二人に渡してくれ」
あの銃以外にもまだ渡すものはあるらしい…
結構バックアップ豊富だね…
がんばらなくちゃ。
「さて、役割だが、私とトパーズ、エメはバックアップ。それと、トパーズは一応医師免許も持っている。そのため、二人の健康管理や、怪我の手当て等のアドバイスをする場合もある。ダイヤちゃんとルビーは現地だ。
私達は一応ジュエルセクションが所有する中型多目的ヘリ※2にいる。
機種はUN‐60Lだ。
武装は30mmチェーンガン※3に7.62mmガトリング※4を2門、空対地ミサイル※5を16発、フレア※6、チャフ※7、ウチ特製の装甲※8だ。
まぁ、この手の説明はエメの担当だろう。
カスタムも彼女が担当したからな」
「そーですよぉ〜」
ハイスペックなエメさん。
つおい。
そのあとも潜入ルートを調整したり、プランの設定など大事なことからエメさんハイスペ過ぎないという何気ない話題まで結構話し合った。
そんなこんなで昼過ぎ、軽食をお腹に入れ、私とルビーさんはエメさんと共に地下へ向かった。
サファイアさんとトパーズさんは仮眠を取るそう。
そして地下の相変わらずきたn…個性的な部屋に入ると、エメさんはてくてくと自分の椅子に座った。
私達は近くのソファに座る。
「さてぇ、お二人さん、覚悟はできたかなぁ〜?」
「「なんの(です)?」」
「フフフ…スイッチオン!」
と、エメさんがリモコンを押すと壁の小さなシャッターが上がった。
そこにはハンガーにかけられた衣類数点と、重火器がいくつかあった。
「はーいぃ〜!ちゅーもくぅ〜!」
意識をエメさんに向ける。
「はい、では早速お二人には装備を渡しますぅ〜」
と言われると私には黒のインナーの上下、ブーツと一体化したおそらく潜入用の特殊なスーツ、ポーチがいくつかついたハーネス、サブマシンガン※9をもらった。
ルビーさんは私と同じでサイズ違いのインナー、スーツ、ハーネスとアサルトライフル※10をもらっていた。
「はい、早速説明しますが、このインナーは特殊な素材で出来た防弾、防刃仕様で、ある程度気候に影響にも耐えれるよう設計してますぅ〜」
だから、首まですっぽり覆う長袖、長ズボンなんだ。
「で、このスーツは私が日本の某ステルスゲームに感銘を受け作ったやつで、性能はどんな環境下でも動きやすくしたり、ボディアーマー的なやつですぅ〜」
「こんなに薄いのに?」
「そーですよぉ、これ、薄いですけど、ピストル弾※11程度なら弾けますよぉ〜」
「へー…」
「で、スーツについてるブーツは吸音素材で出来た消音ブーツで多少の足音は綺麗さっぱりですよぉ〜。まぁ、戸にも角にも1回着てみてほしいですぅ〜」
ということなので着替える。
ぴっちり目のインナーを着、その上からつなぎみたいになってる黒のこれまたぴっちりとしたスーツを着る。
最後にハーネスを付ける。
これで一度体を動かしてみるが、想像以上に動かしやすく、さすがエメさんである。
「これすごいのです」
「だね〜エメちゃんはすごいや」
「へへん、よせやい照れるだろ」
「「まぁ、すぐ調子のるのはどうかと思う(のです)……」」
「さぁ〜て、次はお二人に渡した銃器についてですよぉ〜!
ルビーさんに渡したのはノーバのNB‐15の私オリジナルカスタムですよぉ〜
まず、バレル※12は10.4インチのショート※13にサプレッサー装着ですよぉ〜。
ハンドガード※14は4面でレーザーサイトと、フラッシュライトを付けてますぅ〜。
フォアグリップ※15は握りやすいように少し手を入れたりしてますよぉ〜。
ストック※16はCTR※17のやつで、スコープ※18は私オリジナルの1-6kショートスコープ※19ですよぉ〜。
あとまだまだ言いたいところは多いですがぁ〜…使えば分かると思うので割愛ですよぉ〜」
「ほ~確かに使いやすい」
と、構えながらルビーさん。
うん、傍から見てもアサルトライフルが体にあっていていいと思う。
「さて、ダイヤちゃんですが、アサルトライフルは少々体に合わないと思ったのでSMG※20にしてみましたぁ。
銃はノーバのAMP45ですよぉ〜。
こっちも結構カスタムしててぇ、まず、バレルにサプレッサー、マウントレールは三面でフォアグリップ、レーザーサイト、フラッシュライトを装備していてぇ、みんな軽いものを使ってますぅ〜。ストックは折りたたみのスケルトンストック※21を体に合うよう微調整、スコープマウント※22にはホロサイト※23を装備してありますぅ〜。
こっちも構えてみたら色々分かるはずですよぉ〜」
と言われたので構えてみる。
まず感じるのは軽さ、通常の5ポンド(2.3キロ)より確実に軽い。
そして安定性。
大体、軽い銃は安定性に問題があるのもあるが、これはしっかりしている。
これなら射程圏内ならスナイパーライフル※24にも負けない射撃精度は健在であろう。
次に弾を借りて撃ってみるがこちらも良好である。
ホロサイトは視界を結構とれ、かつ、狙いも付けやすい。
フォアグリップも握りやすく、安定性に磨きがかかっている。
精度は言うまでも無い。
うん、滅多にない代物だね。
よこでは同じ様にルビーさんもはしゃいでる。
その後ろではエメさんが鼻高々にドヤ顔を披露している。
「ありがとうなのです」
「ダイヤちゃんのためならぁ〜ガンシップ※25でも戦車でも戦闘機でも用意しますよぉ〜」
「はたから見るとロリに貢いでる残念な生き物にしか見えない不思議」
そして切れ味の鋭いナイフももらった。
やったね。
そんなこんなで武器も調達したため、ここからは慣れるために試し撃ちとかをしていく。
――――――――――――――――――――――――――――――
※1:プラスチック爆弾
…可塑性爆薬のことで、C-4やセムテックスなどがある。
特徴としては粘土みたいにこねて形を作れること。
※2:多目的ヘリ
…汎用ヘリコプターのこと。大体軍用の中型ヘリがこれに当たる。
用途は戦闘、輸送、後送、連絡、観測と多岐にわたる。
作中のヘリは折りたたみ式のタイヤに羽は4枚、
双発エンジン式の一般的なヘリである。
※3:30mmチェーンガン
…ヘリ底部などに取り付けられる単砲身機関銃の一種。
チェーンガンというのは作動方式の一種から来ている。
※4:7.62mmガトリング
…ガトリングとは機関銃の一種で何本もある砲身がくるくる回って弾を撃ち出す。
作中では7.62mmの口径のガトリングガン、主にヘリの側面に左右一門ずつ
備え付けられ、ヘリに乗っている兵士が側面からの攻撃に使う。
※5:空対地ミサイル
…地上のターゲットに空中から行う砲撃の種類の一つ。
空対地は空から地上へ攻撃だが、逆は地対空である。
主なターゲットは人ではなく、装甲車や戦車など、
装甲がしっかりしているもの。
※6:フレア
…赤外線追尾ミサイルを躱すための囮。
ヘリのエンジンとは違うタイプの赤外線をばらまき、
ミサイルを混乱させることで回避するという仕組み。
※7:チャフ
…レーダー補足型ミサイル、誘導型ミサイルを躱すための装置。
大量の電波を反射させる金属片を巻き、
レーダーを混乱させることで回避するという仕組み。
フレアと共に使われることが多い。
※8:装甲
…戦闘車両とかに付いている防御用の金属板のことだが、ここではヘリの底部や、
側部などに付けけている追加の金属板をさす。
この追加の金属板のことを増加装甲、追加装甲、アップリケ装甲という。
※9:サブマシンガン
…短機関銃、機関拳銃、機関短銃とも言う。
主に拳銃弾を使用し、二脚架・三脚架が要らずに、
個人が抱えて射撃できる小型の機関銃のこと。
代表的なものにドイツのヘッケラー&コッホ社のMP5やUMP45、
アメリカのオート・オードナンス・コーポレーション社のトンプソンM1 、
同じくアメリカのコルト社の
ベルギーのFNハースタル社のP90などがある。
日本では100式機関短銃などが作られていた。
※10:アサルトライフル
…突撃銃とも言われる自動小銃の一種。
中間弾薬と呼ばれる弾を使用し、
代表的なものにコルト社のM16やM4、ソ連のAK-47に連なるAKシリーズ、
ヘッケラー&コッホ社のG3やHK416、FNハースタル社のFALなどがある。
日本では64式小銃、89式小銃などが作られている。
※11:ピストル弾
…主にピストルで撃たれる銃弾のこと。
9mmパラベラム、.32ACP、.45ACPなど。
※12:バレル
…銃身のこと。
ココを通って弾が出る。
基本バレルは長いと射程などが上がり、短いと使い勝手が良くなるなど、
長いのにも短いのにもメリット・デメリットが存在する。
※13:ショート
…ここではショートバレルのこと。
ショートバレルは、バレルが16インチ(41cm)以下のバレルのこと。
※14:ハンドガード
…フォアハンド、先台、木被とも言う。
構える際、通常左手で保持するための部品。
射手の手を銃身の熱から保護する働きもある。材質は複合樹脂製や木など。
この部品の下部に(もしくは取り外したり専用のものに付け替えたりなどして)
グリップを付けたり、グレネードランチャーを取り付ける場合もある。
側面部にはレーザーサイトやフラッシュライトを付けることもある。
※15:フォアグリップ
…主に銃のバレル(ハンドガード)の下部に付けられ、
そこを利き手の逆側の手で握ることで銃のコントロールをしやすくなったり、
長時間の射撃姿勢がつらくなりにくくなる効果がある。
代表的なものにバーティカルフォアグリップ、アングルフォアグリップなどがあ
る。
銃に垂直に付けるバーティカルフォアグリップには通常のモデル以外に、
ショートモデルもある。
※16:ストック
…銃床、バットストックとも言う。
肩に当て、照準を安定させるための部品。
材質も複合樹脂、木材、金属など多様で、
折曲式・折畳式・伸縮式のものも多い。
代表的なものにエンハンドストック、CTRストック、クレーンストック、
アルミニウムストックなどがある。
※17:CTR
…ストックの一種。
アサルトライフルのストックでは定番。
スリムで肉抜きされていて軽い。
※18:スコープ
…眼鏡式(テレスコピック)照準器とも言う。
狙撃銃などの長距離精密射撃用に主に装備される望遠鏡のこと。
代表的なものにショートスコープ、ライフルスコープなどがある。
※19:1-6kショートスコープ
…スコープの種類の一つ。
ショートスコープとは等倍(1倍)から4倍程度の低倍率のスコープのこと。
長距離用のライフルスコープと比べると、視野も広く近距離戦闘に向いている。
1-6kというのは可変型のスコープでどれだけの倍率を図れるかの数値のこと。
可変型スコープとはその名の通り、倍率を変更できるスコープのこと。
つまり、1-6kは等倍から6倍まで変更できるスコープを差す。
作中でのスコープは1-6kまですべて見ることはできず、
等倍、4倍、6倍のみが見えるものとなっている。
※20:SMG
…サブマシンガンのこと(Submachine gun)
※21:スケルトンストック
…ストックの一種。
肉抜き加工が施されたり、ワイヤーやパイプを組み合わせたものだったりと
最低限の骨組みで作られたストックのこと。
作中のやつは”日”の字を90度回転させたみたいなストックである。
気なる人はUMP45で検索するとよく分かる。
※22:スコープマウント
…スコープを付けるための台座のこと。
※23:ホロサイト
…光学照準器の一種。
サイト内にレティクルが現れることで、狙いをつける補助をする。
※24:スナイパーライフル
…狙撃銃とも言う。
狙撃に機能を特化した小銃のこと。
一般的には遠距離の照準をつけやすくするためにスコープを取り付けて、
遠距離からの目標の狙撃に適した小銃のこと。
代表的なものにヘッケラー&コッホ社のPSG1、MSG90、
ドイツの
アメリカのスプリングフィールド造兵廠のM1903、M1ガーランド、
ソ連のドラグノフ狙撃銃、VSSなどがある。
※25:ガンシップ
…歩兵など非装甲目標への襲撃を目的として輸送機の機体を流用して開発した、
局地制圧用攻撃機。
対空砲火で反撃されるおそれのない地上目標と相性がよく、
巨大なCOIN機…対ゲリラ用のなどの軽攻撃機のように運用される。
また、軍事航空用語としては攻撃ヘリコプターを指すことも多い。
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