告白したい学生に送る。

狸坂

下校

今日の帰り道、初めて告白された。最近少し喋るようになった男子に。

疲れたななんて思いながら、てこてこ歩いていた。呼び止められて、振り向くと、駆け寄ってくる彼がいた。周りには誰もいない。信じられないくらい静かでいたたまれない空気がながれる。

「なに?」

口から出てしまった一言。促すように困り顔も向ける。少し顔を赤らめて、一向に口を開かない彼の様子に私は何かを悟った。いまだに人ひとり通らない周囲を見渡す。彼と向き合って一向に変化しない状況にまた声を出す。

「えっと、、、なに??」

彼はこちらを見てやっと、

「あ、の

好きです。

僕と、、付き合ってください。」

予想していた言葉だった。ただ、私にとって初めての告白だったその言葉は私をただ不安にさせた。『嘘告白』その言葉が頭をよぎる。思わず周囲を見渡す。彼がそういうことをする人ではないと思っていてもどこかに彼の友達が隠れていて、私の反応を見て笑ってるんじゃないかなんて不安で仕方なかった。いない、いない、いない。やっぱりそこには私と彼しかいなくていたたまれない空気がながれる続けている。私はふと思い出す。好きだと、付き合って欲しいと言う彼の言葉に私は答えを出さなければならないと。頭の中を色んな言葉や気持ちが埋めつくしてわけが分からなくなる。遠くから聞こえてくる笑い声に心臓が飛び上がる。そちらの方を見ると彼の友達数人がこちらに向かって歩いてきていた。ああ、なんて言えばいいんだ。何が正解なんだ。分からない、わからないわからない。


「答え、明日でもいいですか。」


「あ、うん」

戸惑いすぎた返答。

「じゃあ、また明日。」

私はそう言って少し早足でそこを離れた。少し遠くから聞こえる彼のグループの声。

え!告ったの?!まじ?!きゃー!

私は明日には答えを出さなければならないんだなというプレッシャーを抱えて家まで走った。

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