31話 俺たちの冒険はこれからだ

「これからよろしく頼むわねェ」


「えぇよろしく!」


うん、一瞬で決まったな。本当に一瞬だった。だってこれ、もう自己紹介とか過ぎた後の時空だと思ってるでしょ?それが違うんだから、ちぇりーさんが来ての第一声がこれなんだから。なんか魂同士で通じ合ったんだろうな、こうビビッと。


「その衣装、プリンキュアの主人公魔法少女プリンちゃんのコスプレね!完成度高いわね」


そう言えば見たことあるなぁとは思ってた。なるほどプリンちゃんのコスプレだったのか、完成度たっけぇなオイ。


「えぇ、そうよぉ、ほら、ステッキもこんな感じで作ってて、ここのフリルも色が少し違うんだけどねェ重なってる他のフリルの色もしっかりと見えるような作りにしたり……」


「なるほど、だからここの色が映てるのね個人的にはここの形が第2クールの時……」


うん、長くなりそうだな。


「ねぇ、コーラ。これ、僕もいつかコスプレ衣装着せさせられる流れだよね」


「そうだな、諦めて受け入れる他ないぞ」


 まてよ?ゆーりの方が写真映えがいい……となるとゆーりを人柱にすれば先生はともかくちぇりーさんの気はそらせるはずだ。


「おーい2人とも魔法少女のコスプレならゆーりが似合うんじゃないか?」


「「確かに」」


「ウフフ、ゆーりちゃんこっちおいで優しくしてあげるわよん」


「諦めるのねゆーりくん。さあ、撮影スタジオに行きましょうか」


「おのれ、コーラ!!」


っく。すまねぇゆーり、俺の力が足りないばかりに……すまねぇ


「さて、嵐は去った。それで、改めて確認するが妖女さんはこのままギルド悠久の風に参加するってことでいいんだな?」


「はい、お願いします。私もソロから引退ですか……それにしても驚きましたよ、コーラさんからのお誘いでしたから話に乗りましたが、コーラさんの友人に嫌われるわけにはいかないためスク水を着ていくか悩みました。結局スク水で来たわけですがそんな私を彼らはかも普通のことであるように、そしてそれはコーラさんと同じように私が信頼に足ると思うに値する行動でした。それにこっちがびっくりさせられるとは思いませんでしたよ」


「まぁあいつらは変わってるからなぁ。それに俺も忘れがちだがあいつら有名プレイヤーだし」


「えぇ、一言言っておいてほしかったですよ、おかげで一度も破られたことない私自慢のポーカーフェイスが破られてしまいました」


「一度もって……」


「……っちょそれは勘弁して!」


「本当ですよ?撮影会も盛り上がってるみたいですね、面白そうですし見に行きましょうか」




「コーラ……絶対許さないからね」


「おおぅ、お前そんなになるまで」


 先生の撮影スタジオまで行くとそこにはダメージ加工のされたボロボロの魔法少女の服を着たゆーりが何か触手のようなもの、十中八九先生の魔法だろうけどに縛られて、カメ子2人に囲まれていた。……かわいそうに


「ほら、ちぇりーさん自己紹介もまだですよね?先生さんもそれ以上やるとコーラさんに向いてるヘイトが先生さんに向きますよ?」


「あらぁ、私としたことがついついテンション上がっちゃったわぁ」

「それもそうね」


「おぉ、この状態の先生がすぐに……妖女さんいったい何者?」


「あら?聞いてないのね、じ、つ、は「ちぇりーさん?」ウフフ、わかってるわよ、それじゃあ改めて自己紹介するわねぇ。ちぇりーよんジョブは裁縫師、みんなの服だったら喜んで作ってあげるわぁ」


「先生よ、妖女さんもだけどさん付けじゃいらないわ、先生さんってなんか変じゃない?魔法使いよ一応ね」


「ゆーりです、知ってくれてるみたいだけど配信者してます、あ、もし迷惑かけたら言ってね?対処するから。前に出ても戦えるけど、一応バッファーかな?」


「じゃあ俺も一応、コーラです。……前衛アタッカーだけど、避けタンクもできます?」


「まぁ確かにコーラの自己紹介って難しいよね、役割ちゃんとしてないし野良パーティ入れないんじゃない?よかったね僕たちがいて」


何も言い返せん。アタッカーにしてはDPS低いしタンクにしてはもろすぎる。ヘイト管理もできないし……

何でもできる分何かに特化した人に勝てるわけがない。となれば特化した分他の人と協力し穴を埋めるというパーティを組めないのは当たり前か。


「ま、そうだな、俺は別にソロでボスも倒せてるしソロでもいいんだが、たまにはパーティ組むのもいいよな」


「そういえばこのギルド具体的に何を目的として活動するのでしょうか?人数は少ないですが戦闘力はなかなかの物だと思います。仮にですが次のイベントがギルド対抗だった場合でも上位入賞はできると思いますし目標をそこにさだめますか?それとも、」


「適当に、だな。何かボスで倒せないのがいたり素材集めしたりただただ一緒に冒険したり、そんなもんだろ、ギルドって?」


「そうですね、それぐらいの気軽さがちょうどよいかもしれません」


「それじゃあさ、あしたPvPやったあと前から話してたボス倒しに行かない?」


「あーいいね。ちぇりーさんには言ってなかったかな?明日PvPするんだ。そうだなぁ、夜ご飯食べ終わった後くらいにここ集合でそのあとPvPして戦力確認してからボス倒しに」


「俺もそれでいいかな、2人も大丈夫?」


「ええ、大丈夫です」


「私も大丈夫よん、といっても戦えないから見学だけだけどね。そうだわぁ、優勝した人には私がボスの素材で防具をつくるっていうのはどうかしら?」


「それはいい提案なんだが、ボスドロップは別に裁縫に使えるようなものじゃないぞ?」


「あぁ、大丈夫よん。私もちょーっと特殊な裁縫師でねェ、鉱石だろうと問題なく製作できるのよぉ」


 ほぉ、それは知らないかった。このゲームの上位陣はこのギルドを見てわかる通り特殊なジョブ居ついている人が多い。そしてそれは戦闘職だけでなく生産職の方も同じことがいえるわけか。細かい理屈はわからないがどんな素材であろうと使えるなら創造の幅が広がるし、選択肢事態も多いわけか。結構楽しそうだけど、素材の特徴とか覚えることも多そうだし俺には難しそうだ。


「それにしても本当に落ち着く場所です……リアルでもこう言った和風の家を買うのありかもしれませんね」


「そうねぇ、お手入れとか大変そうだけど、たまに使うくらいであれば1ヶ月に数回お手伝いさんを派遣すればいけるかしらねぇ」


「私は実家がこういう家だけど、堅苦しいだけよ?いくら掃除しても埃が立つし、冬は寒いし」


 先生の実家は行ったことないが話では硬派な家だと聞いてる。行ってみたいとは思うがまあ、それ以上に……妖女さんとちぇりーさん何者なんだ?


「そうだ、妖女さんもちぇりーさんも自分の部屋選んで良いからね。あ、ちぇりーさんは作業部屋とかもあった方がいいかな?ま、何処でも好きなところ選んでいいから」


「あらぁ、ありがとう、そうねぇ……倉庫用の部屋とかあるかしらぁ?」


「ないかな」


「それじゃあ、倉庫も作りたいわぁ、大丈夫かしらん?」


「はい、大丈夫ですよ」


「なん部屋でも。もう自分の家だと思って好きに使っていいんで。家族と過ごしてるとでも思ってくれ」


「ありがとん」


「……家族ですか、そうですね。ありがとうございます」


 そこまで感慨深そうにされると、ただ思ったことを言っただけなのにこっちも恥ずかしくなってくる。でもまぁ、そこまで嬉しそうにされるなんてな。


「そういえばこのギルドのリーダーってどなたなのですか?」


「はいはーい、私よ!」


「表面上だけな」


「はい、コーラはリーダー権限で脱退決定ね」


「ほら、リーダーの権限なんてないでしょ。でもそうだね、リーダーなら新しい仲間も出来たことだしギルド始動の音頭を取ってもらおうかな、役目でしょ?」


「それもそうね、えーそれじゃあ改めて。ゆーりくんとコーラとはこうしてギルドをいつか作るんだろうなって考えてたけど、私が交換したギルド証にコーラのおかげで手に入れることができたギルドホーム。……いろいろやってくれたゆーりくんと皆の協力で多分だけどプレイヤーで初のギルド設立ができたわ。これからも協力して頑張りましょう」


「突っこみたいけど、ここは我慢しておくよ……何もしてないのは事実だし」


「ごほん、そして新たに仲間になった妖女さんとちぇりーさんもさっきコーラが言ったように家族、とまでは言わないけど仲間としてもっと肩の力を抜いて楽しくやりましょう。もちろん最初は私たちの空気になじめないかもしれないけどまぁ、何かあったら気軽に相談してちょうだい私のことが好きになっちゃった、とかね。とにかく私は先生、だから皆の相談に乗るのは当たり前でしょ?そして、リンにタマにペプシンもギルドハウスにいるときはよろしくね。ギルドの目標はとにかく頑張る!せっかくなら有名ギルドになって悠久の風という名を……その名の通りアーコズ、この世界に大きな風を巻き起こし悠久に記憶に残しましょう!それじゃあ悠久の風~、おー」


「「「「お、おー『シャー』『ぽよ』『シャーン』」」」」


「いきなり言われても合うわけないじゃん」


「いつか合うようになるわよ、きっと」

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