23話 第一回公式イベント開始の宣言をしろ!磯野ぉ!!

 場所は街の中央から転移してくることのできるイベント用特設フィールドに多くの人がにぎわい生産職プレイヤーによる出店も相まってお祭りのような雰囲気の王都に似た町に聞いたことのある声のアナウンスが響き渡る


『第1回公式イベント、その名もバトルロワイヤルを開始します!』


「「「「「「うおぉぉぉぁおぁぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」


 そう、今日は待ちに待ったイベントの日。


「おー、盛り上がってるなぁ」


「まぁ、初イベントだからね」


「それにしてもやっぱりあの子可愛いわよねぇ。チュートリアルの時に見た以来だけど妄想捗っちゃうわ」


「先生も可愛いキャラデザにすればよかったんじゃないの?」


「いやぁ、私はそういうタイプじゃないでしょ?やっぱり教師たるものクールビューティ一択じゃない?」


「……そうですね」


 いや、確かに学校での教師としての先生はクールビューティだよ。生徒からの人気もあるしな、でもなぁ、あまりに素とのギャップが。


「アーコズで3人集まるのは初めてだしまだ慣れんな」


 アザレアさんの研究所で色々な話をした翌日秋葉原に行ったが、やっぱりリアルで話すのとは目線の高さが違かったりして違和感がある。イベント前に出掛けたわけだが、その後3日フルでスキルのレベル上げや新スキル獲得レベル上げに費やして今日を迎えた。


 ふっふっふ、こいつらを倒すための準備は万全だ。大量にあったスキルの使い方の研究も済んだし実践で使うのが楽しみだ。


『もうわかっている方がほとんどだとは思いますが改めてルール説明を致します。今回のイベント、バトルロワイヤルでは3時間フィールド上でのPvPを行います。参加するプレイヤーは全員が1ポイントをもって開始します。キルをすることでそのプレイヤーの持っているポイントを獲得することができます。もし、5ポイント持っているプレイヤーをキルすれば5ポイント入ります。ですので多くのポイントを持っているプレイヤーを狙うことで効率的にポイントを稼ぐことも出来ますがこのような考えを持つプレイヤーに狙われることになるため最後まで戦闘せず温存することも可能です。また、イベント中は名前の代わりに獲得ポイントが頭上に表示されます。ポイントは死んでも得たポイント分は後程イベント用商品に交換できるため頑張って多くのポイントを稼いでください。そしてイベント上位入賞者には追加でボーナスがありますので上位目指して頑張ってください。』


「まぁ、事前情報通りだな」


「うん、そうだね」


『なお、イベントで使用されるフィールドは街を中心に北東に森、北西に平原、同様に南東に平原、南西に荒野の特別フィールドとなっています』


「結局街集合にしようって話になったのよね?」


「あぁ、他の人も街に来るだろうけど有象無象に負けるぐらいならその程度って話で収まっただろ?」


『それでは5分後にバトルロワイヤルを開始します!参加者は自動的に特別フィールドへと転移されます』


「お、始まるみたいだな」


「うふふ、ついにこの時が来たわね。うずうずするわ」


「僕が勝って海に行くんだ」


「いや、俺が勝って焼肉に行くんだ!というより、この2人の願いを聞きたくない」


『それでは開始します』



 お、始まったな


「それじゃあ……」


「「「2時間後に!!中央の街で!!」」」



「さてここは……平原か?あー北西の方の平原か。とりあえず街に向かいますかね」


 何人くらい参加しているのか知らないがすぐ近くにプレイヤーがいるなんてことも無いだ「ピュン」


「ヒェッ、あっぶねぇ第六感無かったら死んでた説あるぞ、っち、見えねぇけどあっちから飛んできてたな」


 くそ、これが平原の特性だな。見渡しが良すぎる、ほら、ちょっと走っただけで弓を構えているやつが見えてきた。っと危ねぇ。なるほど、打った瞬間に屈んだから見えなかったわけだ。最低限芋砂になれているみたいだが、撃ったら移動しないとダメだぞ。じゃないと


「【デスラッシュ】」


「くっ、ぐああぁ!」


 よし、まずは1キルっと。だいたい200メートルくらいか?遠くからだと草も相まって豆粒にしか見えないが今の人は弓使いだったし多分遠距離を見えるスキルがあったんだろう。にしても、【デスラッシュ】は辞めるまで連続で切りつけ続けるという性質上使い勝手は悪いが火力は高いな。隙のある相手であればがん刺さりする。


 よし、中央向かおう。


 あ、あそこもやり合ってるな。


 よし、漁夫ろう。


 1人目は剣士だな。あまり強そうな装備ではないから警戒度は低い。圧されている2人目は同じく剣士だがタンクよりかな?大きめの盾を持っているがこちらもあまり強そうな装備ではない。


「【スラッシュ】」


「【パリィ】」


 なかなかやりきれない状態に焦れたのか剣士がスキルを使うが、タンクはそれを予想していたのか剣を弾き剣士へと必殺の一撃を入れようとしたんじゃないかな?その結果は神のみぞ知るってな。


「【デスラッシュ】」


 いい勝負中失礼しますっと。これこそがバトルロワイヤルだな。漁夫サイコー、かんたんに2ポイント獲得して合計3ポイントとなったわ、


「よしよし、この調子でどんどん行こう」


 街へ向かっている途中もやり合っているプレイヤーや襲ってきたプレイヤーをポイントに変えつつ進んでいく。ついさっき襲ってきたプレイヤーは中々手強い双剣使いだったが鎌や槍の射程のゴリ押しで倒させてもらい多めに落としたポイントでホクホクしてたところだったのだが……


「……ここで何が起こったんだ?」


 平原が空爆でも食らったかのようにボコボコになっているところに出くわした。


「ここはやばそうだし早めに去ろう……」


 バトルロワイヤルでは強そうな相手とは無理に戦わず避ける。鉄則だ。


「ん?あれは?」


 爆心地を避けたところに中央が見えないがなにかに群がる人混みを見つけた。


「なんだなんだ?あ、あれは……そういう事か、大変だなあいつも。スルーで」


 人混みからちらっと見えたのは先程話していた2人のうちの片方だったな。さすが人気VTuberゆーりちゃんだ。


「……さーて、街の中央に向かいますかね」


 さらに道中、街に近づくにつれ多くなるプレイヤーをちぎっては投げちぎっては投げたおかげでポイントも溜まった。既に選別されているのか、強めなプレイヤーが多く来て一撃で倒すと言うことが行かなくなり楽しくなって来た。


「多分そろそろ街に着くと思うんだけど、、、」


 ミニマップイベントが使用可能なのは細かいところだが助かるな。マップの境目とか人通り多そうだな、特に街に入るための門付近はやばそうだ。とか自分がどこにいるのか分かるだけでも作戦は立てられるしゲーム性が上がる。


「お、街が見えてきたな。にしてもそうかその考えはなかった」


 あーそりゃそうか、街に入るまでの入口が数個しかなかったらやばいんなら門を作らない、外壁がなければ良いと。うん、なるほどな。パッと見は王都っぽいためか外壁が無い違和感がすごいな。


 ともあれ、街には着いたぞ


「ッ!【スラッシュ】第六感が反応しなかった?」


 残りHP2割、あっぶねぇ回避に少しでも遅れてたらそのまま死んでたな。回復回復っと。


「にゃにゃ!仕留め損なったにゃ?君なかなかやるにゃぁ」


「アサシンタイプか……想定はしてたがめんどくさいな」


 やはり第六感になれてしまうと感が鈍るな。第六感の悪い所が出てしまった。


「さて、やりますか」


 素早い動きに対応するため片手剣と短剣に装備を切りかえる。


「にゃ、私正面切って戦うのは得意じゃないのにゃ大人しく引かせてもらうにゃぁ、それじゃあ」


 そう言って目の前の猫耳の女アサシンは消えていった。っち、この燃え上がった戦闘心はどうすれば。うん、先生で満たそう。


「にしてもあの猫耳すげぇポイント持ってたな、アサシンタイプで街スポーンだったんだろうか?運がいいな」


 平原スポーンのアサシンはあまり驚異になり得なかったが街中では隠れる場所が多いし中々な脅威だ。


 なるほど、平原とはまた違った戦い方になりそうだな。


 現在の俺のポイントは64ポイント。さっきの猫娘が200ポイント


 俺は積極的にキルしに行ってるわけじゃないからポイント数は少ないが猫娘みたいに足が速い人がキル集めに走ったらポイント集めが楽そうだ。まあ、このイベントは後半がメインだしな。後半、如何にポイント集めができるか、そこにかかってる。


「あら?遅かったわねぇ」


「いやぁ、平原スポーンでまあ遠かったからな。先生は?」


「私はここスポーンだったわよ?おかげでほら、ポイント大量でしょ?」


 そう言って頭上を指さしてくる。


 どれどれ、150!?たかっ!やっぱり皆中央に集まってたんだな。あ、でもそう考えるとやっぱりあの猫耳強かったんだな。


「ゆーりくん来るかしらねぇ?」


「あーあいつなら途中で見かけたが、ファンに囲まれてたよ」


「大変ねぇ、ってことはまだまだね。じゃあ、やることは1つ」


「やりますか、ッね!」


 そうして戦いの火ぶたが切られたのであった。


 次回、「コーラ 死す」決闘スタンバイ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る