21話 アザレアさん再び

「まじか」


 なんかよくわからないけどなんか爆発して死んだ。別に糖と尿が超反応を起こして睾丸が爆発したわけでもないのに死んだ。何が起こった?第六感も反応してなかったし、考えられるのはトラップとか?


「だぁ!まじかぁトラップだったら解除も発見もできないぞ。やっぱソロでやるのには限界があるってことか」


 とりあえずもう一回行きたいが、対策を立てないと同じことの繰り返しになりそうだ。うーん、盾を構えつつ行く?いや、大楯ならまだいけるかもしれないが小盾じゃあ防げる気がしない。なら、走り抜ける?流石に対策されてそうだ。


 ……


 ……


「だぁ!わからん!よし、戻ろう。」








「というわけで戻ってきたがとりまゾンビアタックするか。これもステータスに振ってない俺しかできない作戦作戦」


 チュドーン


 どかーん


 ドーン


 ボカーン


 ドガース


 ジュゴーン


 ドゴーム


「まさか入り口で爆発するとは……でもわかった。これさっきから爆発してるの硝子蝸牛インビシブルスネイルだろ。」


 さっきなんか当たったと思ったら爆発した時にぴかーんって来たよね。で、結局対策方法がないといけないんだが、、、


 そういや、マスターの話じゃ傷つけないように倒してくださいと言ってたなってことは悲痛な呼び声トラオア・ルーフェンで行けるんじゃないか?あれは多分だが精神とかスピリチュアルなダメージだと思うし、行けそうだ。うん、多分ね。


 問題はどうやって見つけるかだな。


「よし、ゾンビアタックだな!」


 チュドーン


 どかーん


 ドーン


 ボカーン


 ドガース


 ジュゴーン


 ドゴーム


「お?湖?おぉ!ここが最奥か、ようやくたどり着いた。が、動きたくねぇ。」


 マスターは水場にいると言っていた。つまりここは周りに大量の硝子蝸牛がいるはずだ。一歩歩いたら爆発なんてこともあるかもしれない。


 ん?


「水際にめちゃくちゃ小さいが波紋が出てる……あそこか。」


悲痛な呼び声トラオア・ルーフェンあ、一撃で倒せた。ということはHPはうさぎとかと同じくらいなのか、さてドロップは~っと」


 テュドーン


 ……あ。







「はぁ、あっぶねぇぎりぎり回収できたか。まさかすぐ近くにもう1匹いたとは……」


 だが、これでお使いクエストのターゲットは全部終わらせたしアザレアさんと所に行けるな。


 ……ま、場所わかんないんですけど。というわけで、、、


「マスター、多分ですけどアザレアさんのこと知ってたりします?お使い終わらせたんですけどそういやアザレアさんがいる場所知らなくて。」


 Barバリアンに来てみた。前にマスターにヒントを貰ったときに言い方がなんかこう知り合いがなんかやらかしてるなぁみたいな感じあったからとりあえず聞いてみようかと。本当に直感だから知らない可能性もあるが。


「はぁ、全くアザレアさんは……よく気が付きましたね。あの方も久しぶりに骨のありそうな人を見つけて舞い上がっていたのでしょうがどこか抜けていますね。地図を貸してください。アザレアさんはここにいます。すでにコーラさんは許可を得ているため幻術に惑わされずにたどり着くことができるはずです。本当は他者が教えることは深く禁止されているのですが、今回はアザレアさんが悪いから特別ということで……」


 ふむ、ここか。にしても、マスターアザレアさんのこと知ってたのか。ふ、流石スキル扱いされた俺の第六感だな、冴えまくってる。


「ありがとうございます。じゃあ、アザレアさんのところ行ってきますね。いつも話聞きに来てすぐ帰るだけだったんで今度ゆっくり来ます」


「いえいえ、お気になさらないでください。何か又聞きたいことがございましたら是非お待ちしております」


 さて、花天月地の森は久しぶりに行くな。以前は重装甲虫カブトボーグに襲われてしっかりと探索したりできなかった。思い出すとなんかこう、うずうずしてくる。いつかあいつにもリベンジしてやりたいが、とりあえず今はアザレアさんの所に行こう。


 リリースしてからある程度の期間が経ち、追加ロッドも中々発売されていないためか初期エリアの無魔平原にも、花天月地の森にもプレイヤーの姿は全然なかった。その分モンスターの数も前に比べたら多かったがフィールドボスはおろかエリアボスまでソロで倒した俺にかかれば瞬殺で終わる。その分経験値は少ないしドロップも特に高く売れるものはないが時間は全くかからずマスターに教えてもらったところまで来た。


「あ、ほんとだ普通にある。ってことはやっぱほかのプレイヤーは見つけられないようになってんのか、すげー」


 木漏れ日を浴びるログハウス。誰しもが一度は住んでみたいと思うような、幻想的な光景。


 ここに来たのは2回目だけど何度見ても美しい光景だなっていう感想は変わらないし、同時に見えるよくわからないちょっと気持ちの悪い草にうーん?って思うところも変わらないな。


「コンコン、アザレアさんいますか~」


「入ってきていいぞ」


 ログハウス独特な香りと注がれている紅茶のにおいが混ざり心安らぐ空間に前回はしっかりと見ていなかったが花や家具などがいい感じに配置されており、リアルでは見られないような錬金術用のフラスコや触媒までもがインテリアとして機能してあるめちゃくちゃオシャレなリビングへと向かう。


「……待っておったぞ?」


 ローブを羽織り白髪が生えた100人に聞いたら100人がこの人は魔法使いですというような見た目をしたおじいさんが指をくねくねさせている。


 ……おじさんが拗ねててもかわいくねぇな。


「すみません、遊びに行こうとは思ったんですけど個々の場所わからなかったんで……」


「え?あれ?言ってなかった?」


「はい」


「……それなら仕方ないの、ん?じゃあどうやってきたんじゃ?」


「Barバリアンのマスター……に聞いて……」


 あれ、マスターって名前なんだっけ?まぁ通じるか?


「あぁ、なるほど。口止めはしておいたはずじゃが今回はまぁ仕方ないかの。……それにもっとも重要なことは言ってないようだし」


「ん?なんかいいました?」


「いや、早速じゃが頼んだものを見せてもらってもいいかの」


 えっと、1つ目が姫薬草、2つ目が月光草、3つ目が硝子蝸牛インビシブルスネイルの素材だったな。インベントリに入ってるものが増えてきて目的のもの探すのに苦労するようになったしそろそろ整理しないとなっと、あったあった。


「どれ……ふむふむ。どれも問題ないの。合格じゃ。着いておいで」


 問題ないと聞いてちょっと安心したけど合格ってなんだ?素材としてのクオリティが合格って意味なんだろうけど、ちょっとニュアンスが違かったような?


 胸の内に少しのモヤモヤを抱えながらアザレアさんについて行き、階段を下る。


「さて、旅人よここから話すことは他言無用、世界の真理に触れる覚悟はあるか?覚悟無きものは去れ」


 世界の真理……


「まぁ、形式的なものじゃしもう話すことは決まっておるがの!」


 アザレアさんェ……空気感ぶち壊してきたな。せっかく厳かな雰囲気だったのに、確かに?俺も去るつもりはないけどさもうちょっとこっちの反応待ってても良かったのでは?


「世界の真理とかいう単語を前にして去る人は旅人にはいないと思いますけどね」


「うむ、ではさらに移動するぞ」


 そう言ってアザレアさんは部屋の奥に設置されたに入りそのまま消える。


「まじか、転移門が街以外にもあるなんて情報見たことないぞ。それに町にあるものとは違いしっかりとくぐるタイプの転送門だ。要するにここは町と同等もしくは、それ以上に価値のある場所なのか?入ればわかることか」

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