19話 私怨を終わりに導く者

「ッしゃああああああ!勝った!どうだ、見たか!っしゃ、っしゃ、っしゃ!」


 馬鹿疲れたけどその成果は十分だな。あまり探索されていないフィールド。そしてその最奥にいるエリアボス。もしかしたら初討伐の可能性はあるんじゃないか?と思っていたがまさか本当に初討伐だとは……悠里にエリアボスについて聞いたときは結構隠れて討伐されているみたいなことを聞いたし誰かに倒されているのかと思っていた。


 相性が良かったな。悲表の虚影の時もそうだが、レアモンスターやエリアボスとしての力をフルに活かしてくるモンスターじゃなくどちらかというとギミック系、気が付けばそこからは早かった。総HPも低かったからソロ且つ攻撃倍率の高いスキルを持ってない俺にとってはまじで相性が良かった。


「【私怨を終わりに導く者】か、効果は?ふむ呪いに対する完全耐性か。あの紫焔によるHP上限削りは呪いだったってことね。にしても、呪いなんて状態異常そうそう使ってくる敵がいないしあまり活躍の場はないかな?」


 まぉ、パッシブだしいつか役に立つとなれば当たりっちゃ当たりだな。


 ドロップは妖刀私怨の残骸だけか。まぁ……影だしな。お、ドロップは少なかったけどレベルもスキルレベルも馬鹿みたいに上がってる。こりゃあイベント貰ったな。


「ふあぁぁぁぁ。リアル時間でもう深夜4時。さすがに眠くなってきたな。いくら夏休みと言え夜更かしは良くない。ま、今日はもういいか、どうせ既に夜更かしだしリュビさんも早く来て欲しいって言ってたからな」


 とりあえずデスルーラしますか。



「さて、夜だけどリュビさんなら起こしてでもいいから早く訪ねてこいって言いそうだし早速行きますかね」


 速攻死んでデスポーンし、登録していた第2の町へ戻ってきたが特に何をするわけでもなくすぐに街を出る。タイムアタックでもするように遠目からモンスターを見つけたら戦わずよけ、谷底のリュビの家までやってきた。うん10分で着いたな。なかなかいいペースだ。


 ふむ、一応ノックするか「コン、コン」……やっぱり返事はないと。


「おーいリュビ~素材持ってきたぞー」


 許可がないと入れない魔法がかかっているため鍵のかかっていない扉をあけリュビを呼ぶがこれまた返事がない。番犬?のサピロスも特に反応することなく寝てるし。さて、とりあえず鍛冶場には……居ない。リビングにはいなかったしやっぱ寝室で寝てるのか?


「あーどしよ、そうだよな。寝てるんなら寝室だし起こさないとだよなぁ。あーぬかった」


 流石に寝ている女性の部屋に無言で入るわけにはいかない。なんなら家も普通アウトだよな、うん。あーほんとどうしよ。うーん、もう、ここまで来たら待ってるか。色々スキルも増えたし家の前にちょうどモンスターもいるしな。


「とりあえず、今日のドロップ全部置いて……外にいます。っとメモ置いて、スキルの確認でもします「うんうん、いいね!想定以上だよ!」うぉ!いつの間に?」


「寝てたんじゃないのか?」


「いやぁ、いい素材のにおいがしたからさ。そりゃ起きるってもんだよ、虚魂結晶多数と……悲魂結晶に妖刀私怨の残骸だね。僕はてっきり無表の虚影の希少種を倒すので精いっぱいだと思っていたのにまさか妖刀まで倒してくるなんてね」


「まぁ、成り行き上で?」


「なんでも成り行きで倒しましたって言われてもねぇ?」


 あぁそういやトプスさんも成り行きで認められました見たいな感じで言ったなぁ。あれ?もしかして俺流されすぎ?もう少し抑えたほうがいい?


「ま、それがコーラってことなんだろうね。アン姐さんが認めた理由もわかるな」


 抑えなくていいみたいです。そうだよな、流されていい結果だしてるんだからこのままで、これが俺のスタイル。


「それじゃあ、どんな武器を創るか詳しく話して行こうかな?。コーラ、僕が今から話すことは他言無用だ。もちろん了承してくれるよね?」


「あぁ、もちろん」


 誰にだって秘匿したいことはある。生産者にとっちゃ技術は宝だ。周りに技術が広まるのは生産者としての努力を踏みにじることになる。プレイヤーであればそれはプレイヤー生命にもかかわってくるだろう。


「うん、ならいい。一度しか言わないからよく聞くんだよ?いいかい、僕は武器を作る。それは間違いじゃないし実際にいつも作っている。ただ、そうじゃなくて、これから僕が作るいや、のは持ち主と共に成長する武器。その名も創生武器ジェネシス・ウェポン


「成長する武器•••••• 創生武器ジェネシス・ウェポン、うん、なんかカッコイイ」


「あはは、創生武器ジェネシス・ウェポンは君の経験を吸収して成長する。ま、相棒のようなものだね。これから多くの経験をすればするだけその武器の可能性は広くなり収縮する。さ、細かい所の話に入ろうか。といっても、君の持ってきた素材、妖刀私怨の残骸の性質上刀以外は作れないんだけどね」


「刀か……うん、いいね。まだ持ってないし」


 それに誰しも一度は武士、侍に憧れて刀を振るってみたいと思たことがあるはず。ふ、見せてやるよ俺の飛〇御剣流〇てんみつるぎりゅう


「ここからが本番なんだけど、このまま僕が最高の刀を創ろうと思うとその素材に残ったによって変わるから創ってみないとわからないけど呪いが付いちゃうと思う。そこで今2つの選択肢がある。1つは呪いがついてでも最高の刀を創る。もう1つは呪いを抑えて創る。ただこの場合は数段力が落ちてしまうかな」


 ふむ、ようするに何かしらデメリットはあるが性能のいい刀か使い勝手はよいが呪い付きと比べると性能が落ちるのどちらがいいか。ふむふむ。多分だが、前者はここぞというときの切り札として優秀、もしくは使用状況が限りなく狭い。でもそういうの嫌いじゃない。ピーキー装備っていうのはいつの世も俺たちをひきつける。異論は認めない。ただ、装備解除不可とか、何か致命的な呪いで産廃になったら萎えるしリュビさんにも申し訳ない。


「うーん、これはどうし……あ、あー、呪いなら多分大丈夫。なんか俺呪い無効にできるらしいから」


「え、そうなの?じゃあ、呪い有りコースで創るね」


 いや、呪い有りコースって。


「ふふ、楽しみだなぁ。久しぶりに本気を出す時が来たみたいだ、ふふふ」


 そういって奥の部屋に入り早速と何かよくわからない材料や鍛冶道具を手に持ち始める。


「いやいや、待って待って。どれくらいで出来上がる?いつ来ればいい?」


「はっ、ごめん気が付いたらなんか準備始めてた。えっと、1週間後に取りに来てくれたら多分できてると思う」


「おぅ、まじか。わかった、それじゃあよろしく頼む」


「うん、じゃあ早速作り始めるから1週間後ね」


「あ、そうだ。悲魂結晶でも武器を作ってくれない?」


「ん?うん、そうだねぇ虚魂結晶も全部使っちゃうけどいい?」


「あぁ、いいよ。どうせ使わなかったら売るだけだしな」


「武器種は?」


「うーん、どうしようかな」


 今持ってる片手剣、両手剣、棍、拳、槍、短剣、あと作ってもらえる刀以外がいいか。でも、刀と拳以外はリュビからもらったつなぎだし……何がいいかな。


「なんでもいいんなら、僕に任せてみない?素材を生かした武器を作ってあげるよ」


「じゃあまかせようかな」


「うん!じゃあ、普通の武器だったらすぐ出来るから明日取りに来てよ。創生武器の前の手慣らしにちゃちゃっと作っちゃうから。あ、もちろんこっちも全力で作るから安心してよ。じゃあ、早速作ってくるから、明日ね」

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