16話 魔鉄武器

「えっ、いいんですか?」


 あまり看破しくない雰囲気だったからてっきり駄目かと思っていた。作ってくれてもアンネさんへの義理立てだけかと思ったが、まさか快く作ってくれるとは。


「あ、敬語はやめてくれよ」


 その申し出はありがたい。妖女さんの時はなんか立ち振る舞い?とかでなんか本能的に敬語を使いそうになるけど、リュビさん、いや、リュビはなんかゆーりと似てるし話し方的にも敬語だと慣れない。


「お、そうか。俺も敬語苦手だから助かるよ。それで、リュビいいのかほんとに?」


「うんうん、僕の第六感がコーラは大きく成長すると告げてるからね。さて、それじゃ早速やろうか!コーラが苦戦したモンスターの素材で何かいいのはないかな?」


 苦戦したモンスター……一番初めに出てくるの重装甲虫カブトボーグだけど、あれは倒したわけでも部位破壊してドロップした素材も結局拾えなかったからな。あと強かったのは、トプスさんかな。うん、まず倒してないね。というかそもそも人間相手に素材なんてあるわけ……このゲームならあり得る。でもまぁ、俺はそんなサイコパスじゃないし。でも、そうなるとあと残ってる素材はおおかみとかいいのないし思い返してみるとそもそもほとんど売っちゃったしなぁ残ってるのと言えば……


「有翼の偽龍蛇の素材ぐらいか……でも羽と鱗が少しずつしかないしなぁ」


「……せめて牙や骨があれば素体としては悪くないんだけど、それじゃあ創れないかな。はぁ、なんかもっといろいろな素材持ってると思ったけど僕の第六感が外れたかな?」


「いやさ、有翼の偽龍蛇のドロップはそもそも羽と鱗しかなかったし、ここに来たのも急だったからさ。ちょっと時間くれない?」


 あれ?俺今すぐ武器欲しかったんだよな……まぁ、いいか。


「えー僕は今すぐにでも創りたいんだよ。ここまで期待させておいてお預けなんてあんまりだと思わない?僕はね、作りたいときに武器を作り、そして生み出したいんだ。そうだ!この谷の探索をするといいよ。この谷は魔力がたまっていて強力なモンスターが多くいる。並みの旅人であればまだまだろくに戦うことはできないだろうけどアン姐さんが認めた君なら大丈夫だよね?」


「よっしゃまかせて。ちょうどこの谷の探索もしてみたかったし。あーでも武器がなぁ。ここのモンスターは強いみたいだしすでにボロボロ状態のだと修理から必要になるよな。となると、結構時間かかるか……そろそろ、お使いも終わらせたいしな。どうしよう」


「それなら、ちょっと待ってて。えっと、これと、これ、あとはこれがいいかな。うん。はいこれ。」


 ん?これは、短剣と片手直剣、メイス……ちょうど俺が使てる武器だな。


 魔鉄短剣

 ATK+200

 魔力の影響で硬度の上がった鉄で作られた短剣


 魔鉄直剣

 ATK+350

 魔力の影響で硬度の上がった鉄で作られた片手直剣


 魔鉄戦棍

 ATK+350

 魔力の影響で硬度の上がった鉄で作られた戦棍


 うん、普通に強いね。参考までに今まで使っていた装備がこれ。


 鉄の短剣

 ATK+50

 鉄で作られた短剣


 鉄の片手剣

 ATK+100

 鉄で作られた片手剣


 鉄のメイス

 ATK+100

 鉄で作られたメイス


 単純計算で3倍以上倍強くなってるな。攻略ガチ勢の人たちはもっと強いのを使ってたりすると思うけど、店売りの商品と比較すると結構いい性能をしている。多分あと2.3段階あとの装備なんだろう。


「えっと、これは?撲15万しか持ってないから買えないですよ?」


「いやね、手ぐされに作ったやつでいつか売ろうとは思ってたんだけど、僕はどうしても売るのもめんどくさいし色々問題もあるからついつい武器作りに逃げちゃうんだよね。だから、そういう武器はいっぱいあるんだ。まぁ、その3つは1つ5万で売ってあげる。相場は正直わかんないけど多分やすいんじゃない?あ、他にもほしい武器があれば言ってよ。追加でほしいなら頼みを聞いてもらうけどね。あ、でもいくらアン姐さんの所の人だからってあんまり一気に武器変えたら扱いこなせないかな?」


「ああ、その心配はない。俺とりあえずで使いこなすのは得意だからさ、ちなみに頼みっていうのは?」


「そう?ならいいんだけど。ちょっと素材をとってきてほしいかな。ここにある素材だったり売ってる素材ならいいんだけどあいにくと特定の場所にしかない素材で、僕が取りに行くのは面倒だし誰かに頼むにしても頼める人がいないからさ」


「その素材はどこにあるんだ?」


「第一の町の上花天月地の森、そこに世界樹があるのは知ってる?そこで世界樹の固まった樹液を取ってきてほしいんだ」


「え、でも樹液ってことは木に登ってある程度の高さまで登らないとだろ?そもそも登れないしもしも登れたとしても、まだいるだろう重装甲虫に見つかったらGO TO HEAVENよ?」


「いや、それに関しては問題ないかな。樹液は木の根っこからも取れるから、世界樹の下に続く洞窟で採取してほしい。もしも取ってきてくれくれるなら欲しい武器全部タダで上げるよ」


「おぉ、太っ腹!ふむ、それならまぁ……」


 てか、世界樹の下に洞窟があるなんて聞いたことがない。多分、そこも未探索エリアだ。またまたやることが増えちゃったなイベントもあるっていうのに。


「ちなみに、魔力がとても濃いからモンスターも強いんだけどね。多分、コーラなら一撃でやられちゃうんじゃないかな!」


「え、無理じゃん」


「そこは何とかしてよ、トプスさんにも認めれられるんでしょ?それにさっきも言ったけど困難がある方がいい武器が作れるんだ。ま、今すぐっていうのは僕も正直無理だと思ってるからまた今度でいいからさ。で、どんな武器が欲しいの?」


 んー正直未探索エリアってだけで今すぐにチャレンジしてみたいが、あいにくとそこまで時間はない。今は未探索ではないがいまだ情報が回っていないこの谷の探索を進めて武器を作ってもらおう。魔鉄の武器も悪くないが少し重いし特徴がない。ゲームをやるならやっぱ使うならかっこいいものを使いたい。で、どんな武器が欲しいのか、か。正直いくつあっても困らないから全部といいたいがそれはさすがに人間としてどうかと思うし、そうだな……


「大剣と、槍、あとあれば小盾があればうれしいかな」


「ちょっと待っててね……はいっ、どうぞ、ここまでしてあげてるんだからなるべく早くしてね、待ちきれなくて爆発しても知らないよ?」


「え、爆発すんの?」


「色々とするんだよ。ほら行った行った。僕も早く作業やりたいからさ」


「そうだな、俺も早く探索したくてうずうずしてるし武器も気になるからなるべく急ぐよ、じゃあまた。あ、でも少し休ませてもらっていいか少し休憩したい」


 もう相当な時間ログインしてるしお腹が減ってきた。リアルで。とりあえず一度ログアウトしますかね。







「さて、帰ってきましたよっと、リュビー行ってくるわー」


 ふむ、返事がない……多分鍛冶場にいるんだろうな。邪魔しちゃ悪いしちゃちゃっと行きますかね。


 谷の下にあるとは思えないようなおしゃれな扉をくぐり、先ほどまでの鍛冶場がある影響かカラッとした空気とは全く違うどんよりとしたじめっとする空気を肌で感じながら外へ、、、谷底へと出る。


「さて、どんなモンスターがいるかな?こういう谷の定番はアンデット系とか蛇とかだろうけど……アンデッドはちょっと勘弁願いたい」


 俺は別に幽霊とかゾンビとかが出てきても「キャー」とか言って怖がったりはしないしリアルにいると信じているわけでもない。でもねぇ、やっぱちょっと精神が削られるじゃん?そうすると集中力が下がるじゃん?それはよくないことじゃん?それに、ゾンビだと腐った肉とかが飛び散ってくるんだよ?普通にいやじゃん?そういうわけで遠慮願いたいね。別に怖いからとかじゃないからな。


 などと考えながら松明を掲げ奇襲されても大丈夫なように警戒をしつつ探索をする。相当谷が高いからか、はたまたどんよりとした印象を谷に植え付けている霧が原因だろうか太陽の光が全く届かない谷底では松明の光は10メートルも照らすことができない。


 遠距離攻撃には気を付けないとな。まぁ、俺の予想だといないと思うけど。それよかこんな暗闇だしステルスして接近そのままクリティカル攻撃をしてくる敵の方が想像できる。


「ん?おっ、ついにエンカウントしたか。どれ、やりますか!」


 距離にして約10メートル松明がぎりぎり照らしているところにうっすらと見えるのは人型、すなわち……


「っち、やっぱゾンビかよ。ま、リアルバイオ〇ザードだと思えば面白いか」


 既にこちらに気が付きのったのったとこちらに近づいてくる。


「先手必勝!ゾンビといえば銃が欲しいが無いので投げナイフで代用!ん?結構難しいな。えい、えい、えい……っしゃヘッドショット!」


 いや、ヘッドショットじゃないか、ヘッドナイフキル?ヘッドスラッシュ?まぁ、これで倒せればゾンビ定番の頭をつぶせば死ぬ理論が成立する。


「boxoxaaaaaaaaaa!」


 駄目か。今ので倒れて呉れれば楽だったんだけどなぁ。


 襲い掛かってきたゾンビをバックステップで回避し右手に装備した剣で切り付ける。


 攻撃を食らったゾンビは大きくのけぞる。勝てないと理解し逃走を図る……ということはなく、考える脳がないためか先ほどと同じように再び攻撃を仕掛けてくる。


 今度は右手に装備していた剣と入れ替えにメイスを装備して打撃属性を試して見るがあまり大きなダメージを負った感じはなく、少しのけぞる程度にとどまる。だが、その隙を見逃さずインパクトで頭を吹き飛ばす。もしも、このゲームにR18フィルターがなければR指定が付き中学生や小学生はプレイできなかっただろうと思わせるくらいにはリアリティーよく頭が吹き飛びガラス片となり消えていく。流石にこれで生きていられるほど頑丈なわけではなくドロップ品であるゾンビ肉を落とす。


「ふむ、斬撃が利いて打撃はいまいちと……多分刺突もいまいちだろうな。で。ドロップはゾンビ肉と……いらねぇ。」


 でも、あまり難易度は高くなさそうだな。所詮は限られた方法でも第1の町の近くから行ける場所なのか?ま、この調子でどんどん奥まで行きますかね。

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