第4話 ドラゴンがおどる・・

 シゲルくん、某大学の入学試験には、当時としてはやや奇抜なところがあって、なんと、国立大学で英語の試験がすべてマークシート方式の選択問題だったのです。これが良かったのかは不明ですが、❞サクラサク!❝の電報を卒業後のお休み期間にもらい、なんとか予備校通いを逃れ、善治君と一緒に異国の大学に入学できたとです。


 二人が入学した昭和50年ころ、街の洋画館で一世を風靡していたのがカンフー映画で、その最高位にブルース・リーが君臨しておりました。何といっても世界中で話題になった「燃えよドラゴン!」をはじめ、たくさんの類似作品が公開されていたのです。ヌンチャクなるものが流行り、あちこちで「アチョー!」が飛び交っておりました。(笑)

 この影響があったか無かったか、大学構内の中央芝生で演武をしていたのに見入ってしまい、二人は屈強な先輩たちに囲まれ甘い言葉で勧誘されてしまい、ついに空手部という超硬派のクラブに入部してしまったとです。


 そして数日後、クラブの練習に真面目に通ったある日、10名くらいの新入部員と一緒に、稽古が終わってから歓迎会が先輩たちと分け隔てなく、円座にて行われたのです。

 シゲルくんと善治くんはもちろん、他に数名が未成年者だったのですが、当時はそんなのお構いなしで酒席の宴となったのです。先ずは先輩方から「これからも・・」と湯飲み茶わんに日本酒を一升瓶から直接そそがれ、飲み干すと、返杯のあともう一杯づつ各自に回ってくるのでした。先輩も10人くらいはおられたと記憶していたのですが、全部と挨拶するまえに、ほぼ下戸に近い田舎者二人は前のめりに酔いつぶれてしまい、安らかな眠りに落ちていたのでした。

 しかし、何ということでしょう、翌日目覚めたら、ちゃんと二人で同居していたアパートの布団の上だったのです。一緒に出てた仲間が2,3人同宿してくれていたので、二日酔いの頭で事情をきくと、二人が全く反応せず動かないので、先輩の指示で大学にあったリヤカー(昔の荷車)で運んできたとの事。🌊だ


 その後夏休みに、白馬で1週間ほど稽古合宿にハマって、頑張ろうとしていたのですが、シゲルくん、前蹴りの稽古中に足の指をケガしたために、その後休部し根性なく退部してしまい、ドラゴンにはなれませんでした。善治くんはもともと格闘技好きで、他に何人かやめてしまった後も卒業まで根気よく続け、ちょっと小太りのドラゴン完成、えらいですね~

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