夜の神様、人間になる(意味深)。
夜風 天音
第0話 始まりの怨念
姉さん、みてみて!すごいでしょ!!
ほんとだ、綺麗に折れてる。────はすごいね。じゃあ、コレをあげる。
一面に薄紫と白色の花が咲き誇る花園で、姉さんは俺の髪に白い花を差して笑った。
今思えば、あれはただあしらわれただけなんだろう。
それでも、嬉しかった。
その時の俺は、雑でぐちゃぐちゃな折り鶴を最高神である姉に渡すような子供だった。
そんな俺の髪に、白のゼラニウムの花を指す姉さんも姉さんだが。
そんなこんなで俺は、自分が神である自覚も何もなく、世界の全てを姉と他の神々に任せきっていた。
自分が神で、世界を管理しないといけない存在なんだと自覚したのは、いつだっただろうか。
人間で言えば…、七、八才。
姉が、別世界のいわゆる邪神と戦って、血まみれで帰ってきたのだ。
あぁ、そうか。
俺たちは神だけど、絶対的な存在じゃないんだ。
目の前が真っ暗になった。
御伽話のように『不老不死』なんてものは、存在しないんだ。
最愛の姉を失うなど、考えるだけでも気が狂いそうだった。
守らないといけない。
世界を、他の、一緒に遊んでくれた神たちを、そしてなにより姉を守りたい。
誰にも奪われたくないし、奪わせない。
絶対に。
それから俺は、『最高神の弟』としてではなく、『夜の神』として動くようになった。
力をつけて、神としての格も上げ続けた。
もっと、もっとだ。
まだ、たりない。
姉さんを守るのだ、姉さんより強くならなければ、『守る』も何もないじゃないか。
そう、思っていた。
煌々と燃える目の前のゼラニウムの花畑を見て、俺はふと思った。
俺は…、一体何をしたかったのだろうか。
守りたかった。
みんなを守りたかった。
…………本当に?
今まで積み上げてきたものが、ガラガラと崩れ落ちるような気がした。
あぁ…、俺は。
力をつけるだけつけて、結局、何もできなかった。
『なんだ、弱いじゃないか』『強いっていうからイタズラしにきたのに、手応えがないぞ』
あぁ、許せない。
姉さんからの贈り物を踏み躙って。
あぁ、憎らしい。
この世の全てが。
あぁ…、もういっそ。
「みーんな、しんじゃえ」
許さない許さない許さない許さない許さない許さないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないユるさないユるさないユるさないユるさないユるサないユるサないユるサないユるサナいユるサナいユるサナいユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ…………
ー→↑↓←*→↓↑←ー
「久しぶりに見たな…、あの夢」
俺はベッドから起き上がり、一言つぶやいた。
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やぁ。作者こと天音だよ。
前作神狐様の執筆に疲れて、かといって短編の黒猫を進める気にもなれなかったから、新しく書くことにしたの。
これも短編なんだけど、もしかしたら完結前に終わるかも…。
一応八話で終わる、予定。
予定だからね?予定。
十話に伸びたらごめんなさい!
土下座…、いや、五体投地します!!
この世界線、神狐様とも黒猫とも違うから、わかりにくさ倍増。
それでも付き合ってくれる神のようなお方々がいるのであれば、私は感涙のあまり
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