第20話 2024/03/01 一旦終了
終わった。週一回の抗ガン剤治療は当初の予定から増え八回に及んだものの何とか終了、そして毎日の放射線治療は当初の予定通り三十五回を終えた。
長かった。約二ヶ月だからな。毎日毎日「ああ明日もか。来週もか」と陰鬱な気分でカレンダーを眺め続けた日々であったが、それもようやく終了である。この開放感たるや。
現在副作用は抗ガン剤と放射線治療を併せて脱毛や肌の乾燥、顔から首にかけての左側面変色、口内炎や舌炎と味覚障害に吐き気、それらに基づく食欲不振、全身の倦怠感、止まらない鼻血と首筋の膿、立ちくらみに頻尿などが見られる。
これら副作用は治療が終わった瞬間に改善に向かうものではなく、今後しばらくはより酷くなる。回復するには数週間から数ヶ月が必要だ。何とも面倒臭いが、まあ仕方ない。もちろん実際のところ仕方なくはないのだけれど、精神的に抑圧されていたこの二ヶ月から解放された喜びの前にはかすんでしまう。この二ヶ月間はそれくらいツラかった。それでも手術をするよりはマシだと思っているのではあるが。
ただ、終わった終わったとばかり喜んでもいられない。治療は目的ではなく手段である。これだけツラい二ヶ月を過ごしながら、ガンが消え去っていませんでした、では目も当てられない。この辺は今後検査を繰り返し、その結果から判断するしかないのだが、本人の体感的にはまだ下顎に腫瘍が残っているような気がする。そしてそうなれば、今後新たな治療を開始しなくてはならない。一難去ってまた一難、となる可能性は常にあるのだ。
前途は多難だ。ガンのことを忘れて暮らすなど、まだまだしばらくはできそうにない。この頭の中にドッシリと腰を下ろした巨大な重しを取り除くには、時間も体力もかかるだろう。しかし諦めるには少々早い。少しのんびりしたら、また頑張ってみるかと思っているところである。
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