第13話 2023/01/08 二泊三日

 さて、今日から二泊三日の入院である。入院といっても今日は何もすることがない。夕食を食べて寝るだけだ。で、明日朝から放射線治療と抗ガン剤治療を開始する。ここで異常が出なければ、以降は通院で治療を受けるという流れとなる。


 言い換えれば治療の初っぱなには異常が出やすいということなのだろうが、まあたぶん大丈夫だろう。過去の経験則くらいしか根拠はないが。明日の朝に放射線治療を受けて、その後抗ガン剤治療、そして翌日また放射線治療を受けて、それで昼飯を食ったら退院だ。病院体験ツアーみたいなものだな。気楽なものである。


 問題はそれ以降。平日は七週間に渡って毎朝午前中に病院に来て放射線治療を受け、併せて週一回抗ガン剤治療も受ける。放射線治療は十五分程度らしいが、抗ガン剤治療は五~六時間かかる。これを二月末まで続けるのだ。もっとも、順当に行けば二月に入ったくらいには体力的に限界が来て入院治療に移行せざるを得ないのだろうけれど。


 そんな先のことはさておき、まずは目先の入院である。入院したことのある人ならわかるだろうが、とにかくヒマだからな。ヒマつぶしのファイアタブレットも持って行かなければならない。タオルも要ればティッシュも要る。風呂に入ることはないだろうが、万一着ているモノを汚したときのために着替えも必要だ。いま使用中の薬も持って行かねばならないし、どうしても荷物がデカくなる。普通の旅行より荷物はアレコレ増えるのだ。


 これを持って電車に乗るのは結構、体力的にも精神的にも苦痛。できればタクシーを利用したい。タクシー捕まってくれるかなあ。この辺、信頼度が低い公共交通機関であると言える。人手不足も理解できるが、客の利便度を下げて自らの必要性や存在意義を低下させては、いずれ業界の存続も危ぶまれよう。この辺上手く考えていただきたいところ。


 入院となるとなあ、冷蔵庫にある食品の賞味期限とかイロイロ注意を払わなければならなくなる。まあいまは冬なので、二泊三日くらいで大きな問題が出てくることは想定されていないが、月末の大きな入院にかけて、冷蔵庫の中身を減らして行かねばならんだろう。生ものは避けインスタント食や冷凍食品を増やす必要がある。いちいち面倒臭いことである。


 飯が食えなくなることを想定して、おかゆ中心の食事を考える必要も出てくるだろう。口の中の痛みがどの程度なのかまだ想像の範疇を出ていないので、副食を用意すべきなのかどうかもよくわからない。おじやが大活躍するようになるのだろうか。とにかく三月いっぱいくらいまでは副作用で苦しむらしいので、何とも悩ましい食事事情である。いまだ、光は見えない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る