第4話 2023/12/07 口が痛え

 腫瘍ができているのだから当たり前だと言われればまったくもってその通りなのだが、口が痛くてかなわん。昨日も書いたように腫瘍は左下顎にあるものの、右の歯でモノを噛んでも痛いのが腹立たしい。


 この痛みから一番早く抜け出せる治療は何だろう。放射線治療か、あるいは抗ガン剤治療か、それとも手術か。できれば手術は避けたいところ。もうあんな思いをするのはゴメンだ。とは言え他の部位に転移があるかどうかで治療法の選択肢は変わってくるだろうしな、次の診察でPET-CTの検査結果を聞くまでは判断のしようがない。


 しかし痛い。ジワジワと痛い。一気にズキーン! とくる痛みではないのだ。口を動かさなければ多少はマシなのだが、食事をするのに口を動かさない訳には行かんしな。食事の時間がストレスフルで困る。いま一日二回の食事回数を一回に減らそうかとも思うのだけれど、人間の体というのは動かなくても腹が減るようになっている。食欲が落ちていると言いながらも絶食には耐えられないのである。


 しかも腫瘍が日々大きくなっていることは感覚的にわかる。ムカつくことに大きくなれば痛みも増すからだ。ああ、また腫瘍が大きくなったなあ、と感じながら飯を噛まずに飲み込む気分は最悪。なるべくなら、こんな余計なことに想像力を働かせたくないのだが。


 検査の結果ガンの転移は左下顎以外に見つからず、そのガンも放射線治療で簡単に小さくなる、なんて展開は待っていないものだろうか。もっと言えば左下顎の腫瘍も良性で、投薬だけで治療できるとかなってくれないものだろうか。世の中がそんなに都合良ければ大変に有り難いことなのだけれど、実際のところそうではないのが現実というヤツだ。


 何で現実はいつもこう大変なのだろう。もうちょっと容赦というか、ご都合主義で話が進んで良さそうな気もするのに、絶対にシビアさを緩めてはくれない。お涙頂戴モノを書いている訳でもあるまいに、あまりに不幸が連続しすぎじゃないか。もうちょっと緩急をつけて最終的にハッピーエンドを目指してはくれないものかね。登場人物を殺したら感動するとか安易に思うなよ。


 さてまったく話は変わるのだが、カンザキイオリという名前をご存知だろうか。私は昨日知ったばかりだ。まふまふが歌った『命に嫌われている』の作詞作曲者だと言えばわかる方もいるかも知れない。彼の曲の動画はYouTubeにたくさんあるのだが、個人的には『不器用な男』と『少年少女』がブッ刺さってしまった。


 特に『不器用な男』は物語を書いている人間にはイロイロ覚えのあることが詰め込まれているように思う。私は基本的にメッセージソングというモノが大嫌いだ。名前は挙げないが著名ミュージシャンの名曲と呼ばれている歌に「ふざけんなボケ」と悪態をつくような人間である。それでもカンザキイオリ氏の曲を素直に受け入れられたのは、死期を悟って弱気になっているからだけではあるまい。


 この世界にはまだ凄い才能がいっぱいある。生きている間にそのうち何割くらいを知ることができるのだろうか。もちろん全部は無理なのだろうけど、少しでも他人の凄さに触れたいと日々思うばかり。


 明日は更新できるかなあ。まあ、のんびりやろう。

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