初日は適当に終わった

 初日は適当に終わった。


 なんとも適当な説明だという話ではあるが、本当に信じられないほど適当に終わった。


 集まりとかなにもなく、営業終了時間を過ぎると河合さんが「はい終わり。帰っていいよ」と隼人たちに声をかけたので、二人はその合図に従って帰った。


 片付けを手伝った方がいいのではないかとか思ったりもしたが特になにも言われることがなかったので手伝わずに帰った。


「終わり方、めっちゃ適当だったね」


 帰路で香澄が隼人に話しかける。


 想像よりも楽な仕事で、隼人も香澄も体力は有り余っている。


「でもなぜか清々しい気分だ」

「そこは、ほら、一応初仕事ではあるから」


 家から近いバイト先を選んだので、帰りの移動時間はさほど長くない。たわいもない会話を多少しただけで、すぐに家までたどり着いた。


「じゃあ、俺がご飯作っとく。香澄はお風呂沸かしといて」


 まだまだ春だが、熱いお風呂は気持ちいいというのが隼人の見解だ。

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