魅力的な店主

「じゃあ今日からバイト頑張ってね。そんなに忙しい仕事でもないからさ」


 ついに店主がそれほど忙しい仕事ではないことを自ら認めてしまった。


「ところで、二人はどういう関係?」


 男女で一緒のバイトに申し込むとか、店主の目からすればただの友達には見えなかった。


 隼人は香澄にアイコンタクトを送る。香澄は頷いて、話し始めた。


「一応、付き合ってます。今は同じクラスです」

「おー、青春してるね。ボクはそういうの無かったから羨ましい。よく似合ってるよ」


 店主は目を細めて静かに笑う。年の割には若者に寛容な、珍しい人間のように見えた。


「あ、お客さん来たからボクが接客しとく。君たちもいずれできるようになってね」


 隼人と香澄をいったんその場に残し、店主はレジに入った。

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