派閥争いつまらん

「いつまでやってんだこれ」


 微妙に圧を掛け合う愛華派の女子と香澄派の女子を横目に、隼人は一人呟く。


 派閥争いなんて好きにしてくれればいいと最初のころは思っていたが、様子を見続けているとさすがに飽きてきた。今は、早く終わってほしいという気持ちが強い。


 そもそももっと楽しいことがあるだろうになぜ派閥争いに没頭するのか隼人には全く理解できない。


 恭介もどちらかといえば隼人と似たような感性をしているらしく、敵対派閥に所属しているにもかかわらず二人仲良く死んだ魚の目で派閥争いを見ていた。


「俺は派閥争いがしたいんじゃなくて香澄とイチャイチャしたいんだ」


 改めて口に出すとその願望はどんどん膨れ上がっていき、香澄のことがまだ好きだからか微妙な表情になった恭介を置いて隼人は席を立った。


 向かう先はもちろん香澄の元。当の香澄は、隼人が自分の方へやってきているのを認識して表情を輝かせた。

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